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塩を取って下さい

Pass the Salt

By Michael McNamara

1977年に健康の専門家達はナトリウムとの戦争を宣言した。我々は一粒の真実を求めて塩の科学の山をふるいにかける。

http://www.cbc.ca より 

 

 一部の健康専門家達は、塩は危険であり致命的でさえあると言うが、他の人は、塩は必須栄養素であり、我々がはねつけなければならない悪習や悪い習慣ではないと言う。

 塩、または塩化ナトリウムは食品の保存、調理、味付けに良く使用される。塩漬け肉を乾燥させ、野菜をゆでて料理の食感を変えることさえできる。オンタリオ州ストラッドフォードにあるストラッドフォード・シェフ・スクールのインストラクターであるランディ・ラドナーは、塩なしでは質の高いレストランを経営することは不可能だという。

 登録栄養士のチェルシー・クロスは心臓、神経、筋肉の機能だけではなく、血圧の調節にも不可欠であると述べる。

 しかし、砂糖、脂肪および塩は公衆衛生への脅威であるとアメリカ政府の栄養報告が述べたとき、塩戦争が1977年に始まった。証拠は不確実であったが、塩は心臓発作、脳卒中、高血圧の原因となった。1日当たりの塩推奨の制限値は3 gであった。

 医者達はナトリウムと心血管疾患との関係を長い間受け入れてきた。「塩を取って下さい」でペーター・リン博士は、高塩摂取量は血圧を上昇させる可能性があるが、全ての人々に当てはまるわけではない、と説明している。エジンバラの腎臓専門医であるマシュー・ベイリー教授は「塩に敏感」なのは34人に1人だけであると付け加える。それでも両方の専門家達は、我々が必要以上に摂取していると考えている。

 一方、心臓専門医でアメリカ心臓協会の前会長であるクライド・ヤンシー博士が最新のナトリウム研究をレビューしたとき、彼は「塩制限の利点はまったくない」と言うことにショックを受けた。彼は様々な背景、性別、体型の人々に関する証拠が増えるまで、ナトリウム制限を一掃することは、善より害を及ぼす可能性がある、と考えている。

 低すぎないか?ハミルトンの人口健康研究所のアンドリュー・メンテ教授によると、低すぎる。彼は94,000人を追跡し平均8年間、心血管の健康と塩摂取量を監視する国際研究を主導した。彼のチームは中国で一般的であるように、平均摂取量が15 gを超えた場合を除いて、塩摂取量と主要心血管疾患との間には関連性を見られなかった。しかし、彼等は低すぎると体内で有害なホルモン反応を引き起こす可能性があることを観察した。他の必須栄養素と同様に、塩摂取量に関しては「適正値」があると彼は言う。

 我々は海水中の生物から進化したので、塩を強く望んでいるという理論がある。我々が陸上に住んでいる今、我々の内部に「内海」を運んでいる、とベイリーは言う。しかし、我々の塩とのつながりは古くからあるかもしれないが、まだ発見すべきことが多くある。

 2009年にロシアで複数年にわたる火星宇宙ミッションのシミュレーション中に塩摂取量の管理された長期間研究が可能になった。ドイツの科学者イェンス・マルク・ティッツェは乗組員の食事を管理し、彼等が摂取および排泄したナトリウムの正確な量を監視した。彼と彼のチームは、我々が今日食べている全ての塩が明日は排泄されるという長年の信念が完全に間違っていたことを発見した。代わりに被験者の体は塩を蓄えているように見えた。現在、ティッツェは体内の塩分堆積物を検出するように適合されたMRIスキャナーを使用してシンガポールで研究を行っている。彼はそれがどこに、そしてなぜ保管されているのかを知りたがっている。それは利益か、危険か、それとも両方か?

栄養学はまだ揺籃期にある。しかし、食事リスクと利益に関する新しい声明が毎日出てくるので、我々はそれらを一粒の塩と一緒に摂取することを忘れないように。