フォルクスワーゲンが支援するナトリウム・イオン電池搭載のJAC Yiwei EVが中国で量産開始
Volkswagen-Backed JAC Yiwei EV Powered by Sodium-Ion Battery Starts Mass Production in China
By Jiri Opletal
https://carnewschina.com/ 2023.12.27
JAC Yiwei EVが中国で生産ラインを離れ、ナトリウム・イオン電池を搭載した世界初の量産電気自動車となった。JACは2024年から納入を開始すると発表した。Yiwei EVハッチバックには、北京に拠点を置くHiNa Batteryの円筒形ナトリウム・イオン・パックが搭載され、JACのUEモジュール技術が採用される。UEはその外観からハニカム・デザインと呼ばれる。CATLのCTPやBYDのブレード電池のような別の電池構造コンセプトである。
Yiweiは2023年に設立された安徽江淮汽車(JAC)傘下の新しい電気自動車ブランドである。JACの親会社である安徽江淮汽車集団ホールディングス(JAG)は50%国有で、残りの50%はフォルクスワーゲン・グループが所有している。ドイツの自動車大手は、2020年に中国の国有自動車メーカーに投資するという前例のない動きでその株式を取得した。これは多くの論争を巻き起こし、フォルクスワーゲンの中国における合弁パートナーであるSAICとFAWは、この動きについてコメントを控えた。2023年7月、フォルクスワーゲンは別の中国の電気自動車メーカーであるXpengに7億ドルを投資し、交換で約5%の株式を取得し、同社のE/E Edwardプラットフォームへのアクセスを獲得した。
合肥を拠点とするJACも、かつてはNio車の契約製造者であった。
2023年2月、JACはリチウム・フリーのナトリウム・イオン電池を電気自動車に搭載した最初の自動車メーカーであると発表。その電気自動車はSehol EXハッチバックで、ナトリウム・イオン電池の仕様は以下の通りであった:
● 容量25 kWh
● エネルギー密度120 Wh/kg(単セル140 Wh/kg)
● 3 Cから4 C充電(20分で10%から80%)
● E10Xの航続距離252 km
● HiNa NaCR32140セル
Seholはフォルクスワーゲン安徽合弁会社の傘下のブランドで、2021年にフォルクスワーゲンがJACに移管した。2023年5月にYiweiブランドが立ち上がられた際、JACはSeholブランドを廃止すると発表し、すべての車両はJACまたはYiweiにブランド名が変更される。
JACが本日公開した写真から、この新しいナトリウム・イオン駆動電気自動車はSehol E10Xであることが分かる。JACはまだYiweiブランドの新しい車の名称を確認していない。Yiwei E10Xである可能性もあるが、JACの確認を待つ必要がある。
JACは最近、ナトリウム・イオン電池の研究開発に力を入れている。2023年4月の上海モーターショーで、同社はYiweiブランド初の車であるYiwei 3を披露した。この車にはナトリウム・イオン電池が搭載されていた。しかし、この電気自動車は6月後半に発売され、従来のリン酸鉄リチウム電池のみを搭載し、Na+バージョンは後日発売されると約束した。
Yiwei 3は、Wuling Bingo、BYD Seagull、ORA Furky Carと競合するコンパクト・ハッチバックである。パワー・トレインのオプションには2つあり、どちらも前輪駆動で、70 kWと100 kWのモーターである。最大航続距離は51.5 kWhの電池で505 km CLTCである。
YiweiのXia Shunli会長は、「ナトリウム・イオン電池はリン酸鉄リチウム電池を補完する重要な電池タイプとなり、大衆向け電気自動車の普及を促進する低コストの解決策となるであろう。」と述べた。
編集者のコメント
ナトリウム・イオン電池は、今後、電極構成において重要な役割を果たすと予想されている。最適な用途は、定置型エネルギー貯蔵、二輪車、エントリー・レベルの電気自動車である。リン酸鉄リチウム電池よりも安価で、リチウムを必要とせず、冬季の条件でより優れた性能を発揮する。一方、ネルギー密度は低くなる。中国では、多くの自動車メーカーがナトリウム・イオン電池の開発に力を入れている。BYDは最近、三輪車大手の淮海グループとの合弁で徐州に30 GWhのナトリウム・イオン電池工場を建設すると発表した。総投資額は100億元(14億ドル)に達する。もう1つのプレーヤーはCATLで、すでにいくつかのプロトタイプを公開しているが、量産計画はまだ発表されていない。注目していきたい。