ナトリウム・イオン電池は中国で現実のもの。BYDが30 GWhの
ナトリウム電池工場を建設へ
Sodium-Ion Batteries Are Real in China. BYD to Build 30 GWh Sodium Battery Plant
By Jiri Opletal
https://carnewschina.com/ 2023.11.20
BYDは、北京と上海のほぼ中間に位置する徐州市に100億元(14億ドル)規模の新電池工場を建設する契約を締結した。年間生産能力は30 GWhで、世界最大のナトリウム・イオン電池工場となる。
ITHouseの報道によると、11月18日、BYDの子会社であるFindreams Batteryと三輪車大手のHiaihai Groupが、100億元のナトリウム・イオン電池工場を共同で建設する契約を締結した。調印式は深圳にあるBYD本社で行なわれた。
両社は、ナトリウム・イオン・パックを最も有効に活用できる電気自動車として、徐州をマイクロビークルとスクーターの電池生産の中心地にすると発表した。これはBYDと淮海グループの最初の協力ではない。両社は2022年11月に標準電池工場を建設するために提携した。共同で100億元を投資した。31万平方メートルの工場はほぼ完成しており、2024年3月に試作を開始する予定である。
2023年のナトリウム・イオン開発
BYD Seagullは、ナトリウム・イオン電池を搭載した最初の量産電気自動車であると噂されてきた。しかし、4月に発売されたとき、BYDの標準リン酸鉄リチウム電池が搭載されていた。
他の中国メーカーも眠っていない。CATLは4月に、ナトリウム・イオン電池を使用する最初の自動車メーカーはChery AutoのiCarブランドになると発表した。しかし、それ以降の進歩は発表されていない。
中国の電池メーカーHinaは2月に、ナトリウム・イオン電池を搭載した初の電気自動車を発表した。Hinaの電池を搭載した車は、フォルクスワーゲンとJACの中国合弁会社が製造したSehol E10Xであった。ナトリウム・イオン・パックの容量は25 kWh、エネルギー密度は120 Wh/kg、航続距離は250 kmであった。しかし、この電池は試験目的の試作品であったため、量産はされなかった。
中国の電池メーカーでナトリウム・イオン電池工場の建設を発表した最新の企業は江蘇省中山である。同社は年間20 GWhのナトリウム・セルを生産する施設を建設する予定である。電池工場の建設は11月19日に安徽省広徳市で始まった。
編集者のコメント
多かれ少なかれ妥当なさまざまな化学特性を備えた新しい電池のプロトタイプが多数登場しているため、どれが量産され、どれがサンプルのままかを把握するのは簡単ではない。そのため、ナトリウム・イオン電池が定着しているのは喜ばしいことである。
低コストでエネルギー密度が低いため、ナトリウム・イオン電池は、エントリー・レベルのハッチバック、電動スクーター、三輪車などの安価な電気自動車に搭載されるであろう。ナトリウム・イオン電池の量産により、リチウム(カソード材料としてナトリウムが代替)や、三元NMC電池で使用されるコバルト(NMCパックはエネルギー密度が高く、最高級の電気自動車で使用されている)などの問題のある他の材料を必要としないため、貴金属抽出への圧力が緩和される。
ナトリウム・イオンの長所と短所をまとめてみよう:
長所:
● 一般的にリチウム電池より安全
● 低温でも性能が良い
● 放電速度が遅い
● 製造コストが安い
● 環境に優しい
短所:
● 充電速度が遅い
● 到達電圧が低い
● リン酸鉄リチウム電池よりエネルギー密度が低い