岩塩ドームの起源
Origin of Salt Domes
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一般的に褶曲を伴う岩塩構造は、褶曲を引き起こしたのと同じ力と関連付けられている。しかしながら、明らかな褶曲が見られない地域における岩塩構造は、初期の地質学者を困惑させ、数々の複雑な仮説を生み出した。現在では、岩塩構造(およびダイアピル構造やピアセメント構造)は、重力、地殻変動、あるいはこれらの力の同時あるいは相乗効果によって形成されるというのが一般的な見解である。正確な状況がどうであれ、ダイアピル構造の形成には流動性のある岩石が必要である。
岩石の流れは動きが遅いため視覚化が難しいが、その結果ははっきりと見ることができる。石積みがたわみ、鉱山やトンネルの開口部が流れて閉じられ、岩塩の氷河が氷河の特徴をすべて備えて山腹を下って移動する。非常に長い期間と埋没深度による比較的高い温度と圧力を考えると、塩などの比較的可塑性のある物質が大きく移動することがある。例えば、100万年かけて1年に1 mm移動すると、正味の移動量は,000 mになる。流れる最も一般的な岩石は、岩塩、カリ石、石膏、高圧頁岩である。また、これらの岩石は砂岩などの固結した岩石よりも密度が低く、砂岩に埋もれると重力的に不安定性不安定になる。これらはすべて通常の堆積作用によって堆積し、堆積層に広く分布している。
模型と天然の塩構造の研究により、岩塩ドームの形成過程における一連の出来事が再現された(図2参照(省略))。まず、厚い岩塩が堆積し、より密度の高い堆積層に埋没する。岩塩とその上にある地層は不安定になり、変形していない岩床から丸みを帯びた岩塩枕へと岩塩が流れ始める。岩塩の流れは枕の中心へと続き、上にある地層をドーム状に盛り上げる。同時に、塩が流れ出した部分は沈下し、縁向斜を形成する。塩の上にある地層は、文字通り広がっているため、張力を受け、亀裂(断層)が生じる。最終的に塩はドーム状の部分の中心を突き破り、ドーム状、上向き、または穴の開いた地層の中心にプラグ状の塩の塊を形成する。塩の上向きの成長は、さらなる地層の堆積とともに急速に進み、塩の塊は地表または地表付近の位置を維持する傾向がある。成長中のドームへの塩の供給が成長中に枯渇した場合、ドームがどの段階に達したとしても発達は停止し、ドームは地中に埋もれてしまう。
岩塩構造の分布
岩塩構造は、厚い岩塩鉱床が後に厚い堆積層に覆われたり、地殻変動によって変形したり、あるいはその両方を受けた堆積盆地で発達する。シールド地域を除き、岩塩構造は広範囲に分布している。その性質上、重力不安定性のみによって形成される典型的な岩塩ドームは、大きな地殻変動によるストレスを受けていない地域に限られる。しかしながら、一部の岩塩ドームは地殻変動によるストレスを受けた地域にも発生する。世界中に数多く存在する岩塩構造のうち、北アメリカのメキシコ湾地域、ヨーロッパの北ドイツ・北海地域、そして中東のイラク・イラン・アラビア半島の3地域は、世界を代表する地域である。
岩塩ドームの経済的意義
岩塩ドームは、周囲の堆積層がドーム状に盛り上がり、遮断されているため、炭化水素を閉じ込めるのに最適な場所となる。石油と天然ガスの主要な集積地は、アメリカ合衆国、メキシコ、北海、ドイツ、ルーマニアの岩塩ドームに見られる。テキサス州とルイジアナ州のメキシコ湾岸沿平野では、今後数年間、岩塩ドームが重要な炭化水素源となるであろう。ルイジアナ州沖の岩塩ドーム地域では、豊富な石油資源が発見されている。この地域の岩塩ドームの中には、5億バレル以上の埋蔵量を持つものもあると考えられている。ドイツ北部の岩塩ドームでは、長年にわたり石油が産出されている。北海における岩塩ドーム油の探査により、沖合での生産も拡大している。
メキシコ湾岸の浅い岩塩ドームの帽岩には、多量の元素硫黄が含まれている。岩塩ドームは、メキシコ湾岸とドイツにおいて、塩とカリウムの主要な供給源となっている。岩塩ドームからは、地下採掘と塩水回収によって岩塩とカリ石が採取される。
岩塩ドームは、液化プロパンガスの地下貯蔵にも利用されてきた。貯蔵用の「ボトル」は岩塩に穴を開け、その後、溶液を注入して空洞を形成することで作られる。このような空洞は、その不浸透性から放射性廃棄物の処分場としても検討されてきた。