ナトリウム・イオン電池の世界市場報告書
-市場分析、規模、シェア、成長、見通し-
2028年までの業界動向と予測
Global Sodium-Ion Battery Market Report – Market Analysis, Size, Share, Growth, Outlook - Industry Trends and Forecast to 2028
https://www.blackridgeresearch.com/より 2022.
報告書について
世界のナトリウム・イオン電池市場は、ナトリウム・イオン電池の固有の利点、風力や太陽光などの断続的なエネルギー源の迅速な設置、電気自転車や電気人力車などの低速電気自動車の採用の増加、無停電電源供給の需要の高まりにより、ナトリウム・イオン電池市場のニーズを牽引している。
促進要因:
● 高度なエネルギー貯蔵技術への投資を通じた政府からの支援拡大。
● ナトリウム電池の研究開発プロジェクトの増加-主にインド、インドネシア、中国、日本で。
● 世界的な再生可能エネルギー貯蔵プロジェクトの増加-主に中国とアメリカで。
● 温室効果ガスの排泄削減を求める様々な利害関係者による社会的および環境的圧力。
● 経済は、CO2排出量を削減するために電力に急速に移行している。
● 配電網解決、マイクログリッド、および消費者における電池エネルギー貯蔵システムの需要の高まり。
● 電気自動車の充電ステーションの需要が高まっている。
● リチウム金属価格の上昇により高度な電池エネルギー貯蔵システムの需要が高まっている。
ナトリウム・イオン電池は陽極と陰極からなる電気化学電池に基づくエネルギー貯蔵システムである。ナトリウム・イオン移動はイオン伝導性電解質を介して電極間で起こる。
ナトリウム電池技術は市場の牽引力を得ることに成功しており、リチウム・イオン電池と競争力を持つ可能性がある。自動車や蓄電システム向けのナトリウム・イオン電池の実用化は、低速電気自動車や電池エネルギー貯蔵システムにおいて増加している。低コスト、高エネルギー密度、高電力貯蔵、改善された熱安定性、顕著なサイクル寿命およびナトリウムの容易な入手可能性は、ナトリウム・イオン電池の需要を牽引している。
リチウム・イオン電池とナトリウム・イオン電池の比較:
パラメーター |
ユニット |
Liイオン |
Naイオン(液体) |
Naイオン(非液体) |
期間 |
時間 |
0 - 6 |
2-6 |
2 - 6 |
往復効率 |
% |
82 - 97% |
80 - 85% |
80 - 85% |
サイクル寿命 |
サイクル数 |
2000 - 5000 |
5500 |
3500 - 4500 |
放電深さ |
% |
80% |
100 |
100 |
電圧 |
V |
3.6 |
- |
|
比エネルギー |
Wh/kg |
120 - 220 |
56 |
140 - 155 |
エネルギー密度 |
Wh/L |
200 - 620 |
150 - 190 |
150 - 210 |
操業周囲温度範囲 |
℃ |
10 - 55 |
0 - 40 |
0 - 40 |
自己放電率 |
%/日 |
0.10% |
0.10% |
0.10% |
保証期間 |
年 |
5 -10 |
15 |
10 |
推定フルシステム費 |
ドル/KWh |
250 - 1000 |
500 |
- |
ナトリウム・イオン電池の利点
● 低コストの材料:ナトリウム塩は地球上で最も豊富な元素の1つであり、したがって、それに応じて価格設定される。これはシステム費がリチウム・イオンよりも低いことを意味する。
● 放電深度:上記の全てナトリウム技術は電池を劣化させることなく完全に放電することができる。
● 低温:全てのナトリウム・イオン電池は-20℃で高い容量維持率の90%で動作する。
● 熱暴走:全てのナトリウム・イオン電池は高い熱伝導率を有する。
ナトリウム・イオン電池の欠点
● 容量:ナトリウム・イオンはリチウム・イオンよりも大きな原子である。したがって、電池はより低いエネルギーを貯蔵することが出来る。しかし、これらの課題は最新の電池設計/技術では最小限に抑えられている。
ナトリウム・イオン電池エネルギー貯蔵システムおよびその用途:
● 固定式エネルギー貯蔵システム:
〇 ナトリウム・イオン電池は新興技術であり、より安価でクリーンなエネルギー供給のための解決の重要な部分である。
〇 ナトリウム・イオン電池システムは電力需要が低い時に充電し、ピーク電力を削減するための電力を供給することができる。さらに、ナトリウム硫黄電池システムは、停電や瞬間的な電圧降下時の非常用電源として使用できる。ナトリウム硫黄電池は風力発電機や太陽光発電機からの出力を安定させるために、ますます活用されており、再生可能エネルギーの普及やスマートグリッドの確立に有益であることが証明されている。
〇 これらの電池は、小規模の局地的な電力供給ネットワーク、エネルギー環境への影響とコストを低減するマイクログリッド、蓄電電力を有効利用する需要応答プログラム、および世界中に広がる他の新しいエネルギー解決に組み込むことができき、その普及と開発に貢献する。
● 輸送:
〇 ナトリウム・イオン電池は高価な鉛蓄電池の代替品として機能することができる。
〇 ナトリウム・イオン電池は、マイルドハイブリッド電気自動車のスターター点火12V電池または48V電池の可能性を秘めている。
〇 ナトリウム・イオン電池は、はるかに広い航続距離を提供することにより、電気スクーター、電気人力車、電気自動車などの低コストの電気自動車に使用できる。
ナトリウム・イオン電池の課題:
● 生産能力-多くの企業がスタートアップ段階から生産確立に移行するにつれて、量はまだ限られている。
● 生産ライン:ファラディオン社および電池解決を追求する他のメーカーは、現在、リチウム・イオン電池の製造に使用されている既存の生産ラインを利用できる。しかし、これらの電池の需要が増加し続けるにつれて、これらはリチウム・イオンのままである可能性が高い。
ナトリウム・イオン電池の機会:
● 家電製品やスマートデバイスに対する需要の高まり。
● データ・センターや電気通信における無停電電源装置の需要の高まり。
● 世界中で再生可能エネルギー発電が増加しているため、配電網エネルギー貯蔵システムの需要が高まっている。
● 予算の電気自動車の需要の高まり。
ナトリウム・イオン電池の抑制:
● 工業用供給網の欠如はナトリウム・イオン電池の積極的な使用を支持しない。
● リチウム・イオン電池やその他の高度な電池技術との熾烈な競争。
以下省略