塩水電池:最も安全な長期間貯蔵解決策
Saltwater Battery: The Safest Long-Term Storage Solution
https://www.aquionenergy.com/
太陽光発電やその他の再生可能エネルギーに使用されるエネルギー貯蔵システムはもはやニッチ市場に限定されていない。リチウム・イオン電池と鉛蓄電池は成熟した技術であるが、人々は他の信頼できる代替品を探している。これはエネルギー貯蔵市場にプラスの影響を与える可能性のある塩水電池技術に絶好の機会を提供する。この技術は毒性がなく、したがって、あるかに安全に使用でき、環境への影響がほとんどない水ベースの電解質を使用している。
エネルギー貯蔵市場での用途向けの塩水電池には大きな可能性があるが、それにもかかわらず、は塩水電池が携帯機器用のリチウム・イオン電池にすぐに取って代わることを意味するものではない。これらの電池はリチウム・イオン電池よりもエネルギー密度が低く、同じ量の電力を供給するためにより多くのスペースを必要とする。したがって、彼等は大きな規模に焦点を合わせている。
人々がメンテナンスを必要とせず、一般的に安全であるより安全なエネルギー・システムを求めるにつれて、塩水電池技術はますます人気が高まっている。この記事では、塩水電池技術、その長所と短所、およびそれらについて知る必要があるすべてについて詳しく説明する。
塩水電池とは何か?それらはどの様に違うか?
塩水電池のエネルギー貯蔵用途に進む前に、それらがどの様に機能し、他のオプションとどの様に区別されるかについての基本を理解することが重要である。
電池の基本原理の理解
最も基本的なレベルでは、塩水電池は他のタイプの電池と同じように機能する。これらは、電池が充電されているか放電されているかに応じて、電解質を使用して一方向または他の方向にイオンを交換する、正/負の端子として機能する陰極と陽極で構成されるエネルギー・ブロックである。
リチウム・イオン電池の例では、陰極はグラファイトでできており、リチウムの陽極は金属酸化物でできている。これらの電池には陰極と陽極が互いに接触して爆発を引き起こすのを防ぐセパレーターがあるが、それでも誤動作することが知られているため100%安全ではない。
塩水電池は他の電池とどの様に違うか?
塩水電池とリチウム・イオン電池や鉛蓄電池などの他の電池との主な違いは、電池の化学的コアにある。この電池は電解質として海水から精製された塩水を使用しているため、その名が付けられている。これにより、ナトリウムを主導体にすることができ、リチウム・イオンまたはリン酸鉄リチウムのオプションよりもはるかに安全なオプションになる。
従来の電池とは異なり、塩水電池技術は予防保守を必要としない。さらに、これらの電池は危険または有毒な材料を使用して製造されていないため、爆発の危険性がなく、人体の有毒な化学ガスを放出することはない。
塩水電池の製造に有害化学物質が含まれていないため、安全性が向上するだけでなく、完全に放電することができる。
塩水電池の主な長所と短所は何か?
ソーラーパネルや他の再生可能エネルギーと組み合わせた場合、エネルギー貯蔵システムの主なオプションとして塩水電池を使用することには、幾つかの長所と短所がある。
長所
塩水電池使用の長所は次の通りである。
1.より安全でより毒性が少ない
太陽光発電の電力貯蔵に設置されている小売用電池の中には100%の火災安全性が補償されている者はほとんどない。特に、ほとんどが爆発性の有害物質を使用しているためである。塩水はエネルギー電池内に塩水を含み、不燃性および非爆発性であるため、このカテゴリーで非常に優れている。
2.より容易なリサイクル
環境にとって驚くべきニュースは、塩水電池のリサイクルがはるかに簡単なことである。塩水電池の製造工程では、重金属や有害物質を一切使用していない。つまり、寿命が尽きた後でも簡単に廃棄してリサイクルできる。また、重金属を抽出する必要がないため、製造時に環境に優しい製品である。
3.より長い寿命
塩水電池は約5,000サイクルを保持でき、危険性なしに指定されたサイクルを超えて使用できる。これにより、塩水電池の寿命が長くなり、一般的にソーラーパネルと組み合わせるのに最適である。寿命が長いため、鉛蓄電池のように使用途中で電池を交換する必要もない。
4.放電性能の最大深度
通常の電池を完全に放電すると、寿命が短くなり、メンテナンスが必要になる可能性があるが、塩水電池の場合はそうではない。これらは完全に放電され、電池セルにエネルギーがなくても、寿命を縮めたりコンポーネントに損傷を与えたりすることはなく、長期間耐えられる。
5.過熱がない
重要な特徴は、電解液が主に水で構成されているため、電池が過熱することがない。これは212○Fを超える可能性がある内部の化学的相互作用がないことを意味する。これは内部に含まれるすべての水を蒸発させ、開回路シナリオにつながるためである。
短所
塩水電池使用の短所は次の通りである。
1.製造コスト
リチウム・イオン電池の製造に使用される大規模な製造工程は、長年にわたって着実に価格を下げてきた。塩水電池技術は比較的新しいものであり、長期的に塩水電池のコストを保証する電池の大規模生産についてはまだ進展がない。
2.低いエネルギー密度
塩水電池の主な制限の1つはその大きさである。これらはエネルギー密度が低いため、リチウム・イオンまたは鉛蓄電池と同じ量の電力を蓄えられない。技術の現段階では、塩水電池は一般的な電力蓄積が再生可能エネルギー・システムに提供するのと同じえエネルギー貯蔵容量を提供するために、はるかに大きなスペースを必要とする。
塩水電池対リチウム・イオン電池:何を知る必要があるか?
塩水電池はリチウム・イオン電池とは大きく異なる。どちらも電池の基本原理は同じであるが、電解質と導体が異なるため、両方の電池の化学的性質が全く異なる。
リチウム・イオン電池は電解質としてリチウム塩を使用する。これは、危険で可燃性の物質になる可能性がある。塩水電池は電解質として海水を使用しているため、完全に耐火性がある。
リチウム・イオン電池と塩水電池の最大の違いは大きさとエネルギー密度である。リチウム・イオン電池はエネルギー密度が高く、エネルギー・セル内でより高い電荷を保持するが、塩水電池はエネルギー密度が低く、同じ大きさの電池に蓄える電力がはるかに少なくなる。塩水電池の安全性を考えると、大きさが問題にならないのであれば、これらの電池は長期的には太陽光発電の家庭で信頼できる可能性がある。
両方の技術のもう1つの違いは価格である。リチウム・イオン電池の大量生産により、製造価格は飛躍的に下落した。業界は塩水技術の実験を始めたばかりで、その製造価格はまだ高すぎる。リチウム・イオン電池はここにとどまるが、特に安全制御パラメーターが重要である商業または産業用途では、塩水電池が取ることができる良い市場規模がある。
家庭で塩水電池の作り方
電解質としての塩水の有効性を理解するために、DIYの充電式塩水電池を使用できる。これは簡単な科学プロジェクトで、塩水電池を作り、15 Vの電球または同様の電圧のものに電力を供給する方法を学ぶ。
次の物が必要になる:
● 離乳食用ジャー20個
● 20本の亜鉛メッキ釘(長さ3~4フィート)
● 260フィートの♯12銅線(ワイヤーを20本の同じ長さの18フィートの銅線に切断)
● 10.5“×13”合板(または他の種類の木材)
● 鉛筆
● 定規
● 電動ドリル
● 木の棒
● 水
● 食卓塩またはエプソム塩
● マルチメータ
● 15 VのLED電球
DIY充電式塩水電池の作り方
独自の充電式塩水電池を作成するために必要な材料を準備した後、以下の簡単な手順に従って作る。
1.セットアップの準備
DIY充電式塩水電池の最初のステップは合板の上に食用ジャーを置き、各ジャーの正方形のスペースに定規と鉛筆で印を付ける。10.5”×13”の合板は4×5の瓶の配列を取得するが、サイズを変更してDIY充電式塩水電池をカスタマイズできる。
各正方形に定規を使用して印を並べて、お互いにある程度の距離を置いて2つの印を描画する。これらは各セルの陰極と陽極になる。セル毎に次のセルへの直列接続を行う必要があるため、セルの陽極を次のセルの陰極に最初から最後まで接続する必要がある (正負の接続)。
2.穴開けと結合
印付けが完了したら、それぞれに穴を開ける必要がある。ここでは、陰極用の銅線と陽極用の亜鉛メッキ釘を配置するので、穴の大きさを適切に設定する。
家庭用ホウキに使われている木の棒のような小さな円柱の周りに銅線を巻き付けて、銅線からコイルを作る。電池セルの接続に使用するには、カールせずに4~5インチのままにしておく必要がある。
それぞれの釘をその穴に合わせ、陰極のために十分なスペースのある瓶に収まるかどうかを確認する。次に、合板の下からコイルを挿入して、釘と同じ高さに設定する。次のセルの釘の周りに銅線を巻き付けて、合板を上に曲げる。各セルはセルの陽極(銅線)から次のセルの陰極(釘)に接続する必要がある。最終的には、各コーナーに1つの接続してない陰極と陽極があり、DIY充電式塩水電池の正負の端子になる。
3.塩水混合物を加える
最後になったが、水と塩を注ぐ。電池の完璧なエプソムの塩と水の比率は、水1リットル当たり大さじ2.5杯の塩である。食卓塩を使用する場合は、水1リットル当たり大さじ6杯を追加し、各瓶を縁まで満たす。次に、充填されたジャーの上に陰極と陽極を備えた合板を置き、各セルの内部にそれぞれが1つずつあることを確認する。
4.テストする!
さあ、DIY充電式塩水電池をテストしよう。ソーラーパネルまたは太陽電池充電器を接続し、電池セルが充電されるときに釘がどのように泡立ち始めるかを確認する。時間が経つと、銅線のためにセルが緑色に変わる。
充電後、マルチメーターで電圧を測定する。全てがチェックアウトしたら、15 V電球を差し込んで、作成した塩水電池で何時間もの再生可能エネルギーを楽しむ。
塩水電池の商品化:我々はそこに到達しているか?
塩水電池には多くの可能性があるが、それらの製造と商品化のプロセスに深く踏み込んだのは、Aquion Energyと言う1社だけである。それらについて、そして塩水電池業界にとってそれらが何を意味するかについてもう少し話す。
Aquionのエネルギー、製品、および軌跡
Aquion EnergyはJay F. WhitacreとTed Wileyによって2008年に設立された会社である。同社は塩水電池製品を不燃性で揮発性のない100%安全な電池であるAqueous Hybrid Ion電池でブランド化した。この会社はKleiner Perkins, Advanced Technology Ventures、さらにBill Gatesなどの人気のある投資会社から資金提供を受けた。
Aquion塩水電池のオプション中で、最も人気のあるものの1つはAspen 48Sであった。これは100%の放電深度と約3,000サイクルの寿命を備えた2.5 kWhの電池スタックである。もう1つの人気のある製品はAquion S30-0080電池、アスペン48Sと同様の仕様の2.6 kWh電池、および4~20時間の放電の長時間サイクルであった。
塩水電池は、他の選択肢よりもエネルギー密度が低く、製造コストが高い大型の電池を使用することで、同社にとって明らかな不便さをもたらした。これが、2017年にAquion Energyが自主的に破産を宣言した理由である。その年の後半、同社はJuline-Titans LLCに買収され、塩水電池のオプションをさらに発展させることを目指して未来に向かった。
これまでで最大の塩水設置プロジェクト
2017年、Aquion EnergyはEIWAT Storageプロジェクトで塩水電池を使用する日本での大規模貯蔵装置の契約に署名した。九州にある鹿児島県に設置されたアスペン48M-25.9電池とも呼ばれる122 kWhのアクイオン塩水電池を搭載した貯蔵装置である。この塩水電池はShneider Electricが提供するソーラー・アレイから電力を供給されていた。
Aspen 48M-25.9電池は100%の放電深度と70%の保持容量で3,000サイクルの寿命を備えている。その技術により、この電池は過熱または爆発することがなく100%安全である。その内部コアは、水が蒸発して電池回路が開くポイントである212 °Fの最高温度に達する可能性がある。
電池のコアは、塩水電解質の水性ハイブリッド・イオン化学で製造された。その陰極と陽極は、それぞれ酸化マンガンとリン酸炭素チタンでできており、合成綿のセパレーターが付いている。
結論
塩水電池は再生可能エネルギー貯蔵の将来の答えか?塩水技術は非常に印象的であり、それを否定することはできない。これらの電池は環境に優しく、再生可能エネルギー貯蔵システムにはるかに安全であり、メンテナンスがほとんどまたはまったくなく、寿命がさらに長くなる。
塩水電池の人気が高まり、製造価格が下がったとしても、リチウム・イオン技術はエネルギー密度が高いため、住宅用貯蔵解決策にとっては依然として優れた技術である。
塩水電池はまだ長い道のりがある。これらは非常に印象的で、はるかに安全で、今日では実用的な用途があるが、業界は技術をさらに実験し、いくつかの技術的な問題を解決する必要がある。塩水電池の過カウンセリングを下げる必要があり、おそらく研究者達は安全性を犠牲にすることなくエネルギー密度を上げる方法見つけることができ、鉛蓄電池やニッケル型電池の強力なライバルになる。