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米国の地下核廃棄物処分場の説明

US Underground Nuclear Waste Dump Explained

By Susan Montoya Bryan  

https://apnews.com より  2019.03.23

 

ニューメキシコ州アルバカーキ(AP)-原爆が日本に投下され、第二次世界大戦が終わってから間もなく、米国は、冷戦を通して続く防衛関連の核研究と爆弾製造によって生成された廃棄物を処理しなければならないことに漠然と気付き始めた。プルトニウムやその他の元素で汚染されている廃棄物-手袋、布、道具、その他の材料-は何処にも残せなかったので、貯蔵所はニューメキシコ州南東の砂漠に深く掘って埋めることに決めた。

 

核廃棄物隔離パイロットプラントとは何か?

 WIPPはアメリカ合衆国唯一の地下貯蔵所で、超ウラン元素廃棄物、またはウラニウムよりも重い放射性元素で汚染された国立核兵器計画で発生した廃棄物として知られている物を貯蔵する許可を取っている。低レベル廃棄物を受け入れる他の商用施設はアメリカ合衆国に2,3あるが、そのような深さまで廃棄物を下ろせる所はない。

 約半マイル(800 m)地下の古代塩鉱床を切り開いた地下の埋立地はニューメキシコ州カールスバッドの外側に位置しており、今や主要な油とガスブームの本拠地であるかつて人口がまばらだった地域である。何年かの研究後に、議会は研究開発プロジェクトとして貯蔵所の建設を初めて命令した。操業20年と12,380回以上の出荷をした後では、実験段階をはるかに超えている。ドラム缶、特別な箱、その他の容器で包装された廃棄物は塩層の中を掘削された一連の部屋の中に置かれている。ある廃棄物は遠隔操作で取り扱われなければならず、壁に開けられた穴に置かれている。部屋が一杯になると、密閉される。

 

どうしてニューメキシコ州か?

1950年代に、世界のトップ科学者の考えはこの廃棄物をどうするかについて意見を検討し始めた。非常に長い時間で減衰していく材料を取り扱う最高の方法は深い地下の貯蔵所に置くことであると彼等は結論を下した。最初の努力はカンサス州中央で廃棄された塩鉱山に集中した。技術的な問題でもっと適した場所を探すことが促進された。焦点はニューメキシコ州に移った。そこは古代ペルム紀代前の海が蒸発して後に厚い塩層が残された。科学者達は塩がほとんど不浸透であることの利点を言っている。そしてニューメキシコ州南東の層が非常に古く膨張力があるので、より安定性があると考えている。

 

WIPPは安全か?

 政府当局者と核専門家達は安全であるという。連邦政府の核兵器計画をモニターしている監視グループは他のオプションを持っており、放射性物質が誤って取り扱われた数十年間にわたる安定性の失策や事例をしばしば引用している。一番良いエビデンスは、ほぼ3年間の貯蔵所閉鎖を強制し、政策変更を一掃することに導いた2014年の放射線漏れである。放出は原子爆弾の誕生地であるロスアラモス国立実験場で不適切に包装された廃棄物の結果であった。塩鉱床で廃棄物を処理することは地下水源や地表との隔離を維持できる、と科学者達は言っている。その考えは、塩が自然に流動し、自分で塩鉱床の割れ目を塞ぎ、空間を埋めるので、結局、廃棄物は埋没される。塩の流動は必ずしも穏やかな工程ではないので、貯蔵所はメンテナンスされていない領域では天井崩落の事例が数多く記録されてきたことを批判者達は言っている。

 

廃棄物は何処から来るか?

 国内で12ヶ所以上の国立実験場や政府機関は廃棄物を包装しそれをWIPPに送る。ロスアラモスからの2箱である最初の出荷は19993月の夜明け前の時間に高らかなファンファーレでもって到着した。住民はカールスバッドの通りに並んでトラックが通過したときに旗を振った。貯蔵所では数百人の職員が思いもよらなかった一瞬を正門で待っていた。

 アイダホ国立実験場はデンバー郊外のロッキーフラッツ・プラントに続いてWIPP6,200回以上も出荷してきた。廃棄物はワシントン州ハンフォード・サイトや南カロライナ州のサバンナ・リバー核保有所からも送られてきた。当局は1,400万マイル(2,250km)以上も小さな防護壁だけを持った輸送トラックで送られてきた、と言っている。

 

WIPPを近代化するために何をするか?

 WIPPの管理者と労働者は2014年の放射線漏れの影響をまだ処理している、と言っている。地下処理地域の汚染のために、労働者達は防護服と呼吸器を着けなければならない。十分な換気も問題である。新しい換気装置を設置し、新しい縦坑を掘り、そして他の改善をするための費用は総額5億ドル以上にもなる。研究は必要で、30年前の家を整える人と何ら変わりない、と管理者は言っている。初期の地下通路の幾つかは1983年にさかのぼるWIPPで建設された。当局は塩を採鉱し廃棄物を移すために使われる代替設備も探している。オプションにはより効率の良いディーゼルエンジンあるいは電気自動車が含まれる。