血圧に関する6つのよくある誤解を解明
6 Common Blood Pressure Myths, Debunked
By Rachel Nania
https://www.aarp.org/ 2024.05.01
数値に影響を与える可能性のある食べ物、飲み物、習慣の裏にある真実
アメリカの成人のほぼ半分、60歳以上の60%以上が高血圧で、心臓病や脳卒中のリスクが高まっている。そして大きな問題は、多くの人が高血圧であることに気付いていないということである。
これは、多くの健康状態とは異なり、高血圧(130/80 mmHgを超えるもの)は、通常、警告の兆候や症状で自らを告げないためである。「そのため、高血圧はサイレントキラーと呼ばれている。」とクリーブランド・クリニックの血圧障害センターの共同ディレクターであるLuke Laffin医師は言う。
高血圧は、対処する前に症状が出ると言う考えはよくある誤解であると、Laffin医師は言う。ここでは、血圧に関するその他の6つの誤解と、健康的な血圧を維持するために使えるヒントを紹介する。
誤解1:塩の種類によって良い塩と悪い塩がある
塩は血圧に大きな影響を与える。塩の摂り過ぎると、体内にナトリウムを薄めるために余分な水分が保持されるため、血圧が急上昇する。(血管内の余分な水分は血圧を上昇させ、心臓の負担を増やす。) また、アメリカ心臓協会によると、塩は時間の経過と共に血管を収縮させ、血圧を上昇させる。
したがって、高血圧の人は塩の摂取量を制限するようアドバイスされることが多いのも不思議ではない。多くの人が食塩を海塩やヒマラヤ塩に替えればそれが達成されるのではないかと考える。しかし、そう簡単にはいかない。「塩化ナトリウムは依然として問題である」とメイヨ-・クリニックの腎臓専門医で医学教授のSandra Taler医師は言う。
「血圧に関しては、何よりも先ずナトリウムのmg数が問題である。そして、ナトリウムはすべて血圧上昇に悪影響を及ぼす。」とLaffinは付け加える。
アメリカ心臓協会は、成人の大半が1日当たり2,300 mgを超えないように、理想的には1,500 mgを超えないように推奨している。それでも、疾病管理予防センターによると、大半のアメリカ人は1日当たり約3,400 mgのナトリウムを摂取している。
そのナトリウムはすべて塩入れから摂取されるわけではない。実際、その大部分は加工食品や包装食品から来ている。であるからこそラベルを確認することが重要である。Talerは、パンのようなシンプルな食品がナトリウムの大きな供給源であることを知らない人が多いと言う。ピザ、サンドイッチ、スープ、チーズにもナトリウムが多く含まれている。
誤解2:血圧を下げたいならコーヒーを控えよう
血圧測定の30分前にはカフェインを摂取しない方が良いと言うのは本当である。直前にコーヒーを1杯飲むと、一時的に血圧が急上昇し、不確定な数値が出る可能性がある。しかし、ほとんどの人にとってコーヒーを飲んでも血圧に長期的な影響はない、と健康専門家は言う。
それでも、アメリカ心臓協会とアメリカ心臓病学会は、1日のカフェイン摂取量を300 mg(コーヒー約3杯分)に制限することを推奨している。
誤解3:ワインは心臓に良いので、血圧のリスクにはならない
短期的にも長期的にも血圧を上昇させ飲み物の1つがアルコールである。メイヨ-・クリニックによると、飲酒量を減らすと、大酒飲みの人は収縮期血圧(血圧測定の上の数値)を約5.5 mmHg、拡張期血圧(下の数値)を約4 mmHg下げることができる。
誤解4:高血圧の家系に遺伝があれば、自分もそうなる運命
必ずしもそうではない。「必ずそうなるわけではない。でも、将来、高血圧になるリスクは高まる。」とLaffinは言う。
同氏のアドバイス:疾患を予防し、さらには遅らせるよう努める。そうすれば、薬を早く飲み始めなくてもよくなるか、薬の服用量を減らすことができるかもしれない。「ライフスタイルの観点から行なうことが、それに役立つ。」とLaffinは言う。これには健康的な体重を維持すること、定期的に運動すること、喫煙しないこと、心臓に良い食事をすることが含まれる。
誤解5:血圧を下げるには、大幅に体重を減らす必要がある
減量に関しては、血圧に良い変化が現れ始めるのにそれほど時間はかからないとTalerは言う。わずかな減量でも変化は現われる。
アメリカ心臓病学会とアメリカ心臓協会のガイドラインによると、体重が約2ポンド減る毎に血圧が約1 mmHg下がると予想される。つまり、15~20ポンドの余分な体重を減らすと、薬を服用した場合と同等の血圧への影響がでる可能性がある。
誤解6:血圧の薬を飲んでいるから、生活習慣を変える必要はない
血圧を下げるために薬を飲んでいるからといって、健康的な食事や運動習慣を捨て去る必要はない。「それらは基本的に相乗効果をもたらす。」とLaffinは言う。
例えば、塩分を例に挙げよう。「高ナトリウム食を摂っている場合、ACE阻止剤やアンジオテンシン受容体遮断薬などの特定の降圧薬の効果は、低ナトリウム食を摂っている場合ほど顕著ではない。」とLaffinは言う。「実際、それらは密接に関係している。」
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ストレスと血圧に関する真実
ストレスの多い状況に陥ると、血圧が上昇することがよくあるが、それは一時的なものである。これは、体がストレス・ホルモンを放出し、血管が収縮して心拍数が速くなるためである。アメリカ心臓協会によると、ストレス反応がなくなると、血圧は正常値に戻る。
しかし、慢性的なストレスは、血圧に長期的な影響を及ぼす可能性がある。「そのため、それに対処するためのシステム、または少なくともそれに対処するための戦略を確実に整備することが重要になる可能性がある。」とLaffinは言う。2023年にアメリカ心臓協会誌に掲載された研究では、注意すべきことを実践した成人は、実践しなかった成人と比較して、6ヶ月後の収縮期血圧の数値が大幅に低くかった。
怒りは心臓にリスクをもたらすこともあると、新たな研究が示唆している。5月1日にアメリカ心臓協会誌に掲載された研究によると、短時間の怒りは健康な成人の血管機能に悪影響を及ぼすことが分った。ヒューストンのベイラー医科大学の医学心臓学教授のGlenn Levine医学博士は、心臓の健康は食事や運動などの従来の要因だけでなく、ストレス、怒り、うつ病などの心理的要因にも影響されるという点がポイントであると述べている。
「これらの要因が通常より多いと感じたり、うまく対処できていないと感じたりした場合は、メンタルヘルスの専門家に相談する価値がある。そうすれば、これらのネガティブな心理的要因を軽減または制御できるだけでなく、おまけに心臓の健康全般に少なくとも少しは貢献する可能性がある。」とアメリカ心臓協会のボランティア専門家でもあるLevineは述べている。