科学者達はわずか数秒で急速充電できる電池を開発
Scientists Develop Battery Capable of Rapid Charging in Just a Few Seconds
By The Korea Advanced Institute of Science and Technology (KAIST)
https://scitechdaily.com/ 2024.04.26
ナトリウムはリチウムの500倍以上存在し、ナトリウム・イオン電池技術への利用の可能性から、最近、大きな注目を集めている。
しかし、既存のナトリウム・イオン電池は、出力が低い、貯蔵特性が制限される。充電時間が長いなどの根本的な制限に直面しており、次世代のエネルギー貯蔵材料の開発が必要となっている。
KAIST(代表:Kwang Hyung Lee学長)は4月11日、材料科学工学部のJeung Ku Kang教授率いる研究チームが、急速充電が可能な高エネルギー、高出力のハイブリッド・ナトリウム・イオン電池を開発したと発表した。
この革新的なハイブリッド・エネルギー貯蔵システムは、電池で一般的に使用されるアノード材料とスーパー・キャパシタに適したカソードを統合している。この組み合わせにより、このデバイスは高い貯蔵容量と急速な充放電速度の両方を実現でき、リチウム・イオン電池の次世代代替品として位置付けられる。
技術的課題への取り組み
しかし、高エネルギーおよび高電力密度のハイブリッド電池の開発には、電池型アノードの遅いエネルギー貯蔵速度の改善と、比較的低いスーパー・キャパシタ型カソード材料の容量の向上が必要である。
これを考慮してKang教授のチームは、ハイブリッド電池の最適な合成のために2つの異なる金属有機構造体を利用した。このアプローチにより、金属有機構造体から得られた多孔質炭素に微細な活性材料を含めることで、反応速度が向上したアノード材料が開発された。
さらに、高容量のカソード材料を合成し、カソード材料とアノード材料を組み合わせることで、電極間のエネルギー貯蔵率のバランスを最適化し、差を最小限に抑えたナトリウム・イオン貯蔵システムの開発が可能になった。
性能と潜在的用途
新たに開発されたアノードとカソードで構成される組み立てられたスルセルは、高性能のハイブリッド・ナトリウム・イオン・エネルギー貯蔵装置を形成する。この装置は、市販のリチウム・イオン電池のエネルギー密度を上回り、スーパー・キャパシタの電力密度の特性を示す。電気自動車からスマート電子機器、航空宇宙技術に至るまで、急速充電用途に適していると期待されている。
Kang教授は、急速充電が可能で、エネルギー密度247 Wh/kg、電力密度34,748 W/kgを達成できるこのハイブリッド・ナトリウム・イオン・エネルギー貯蔵装置は、エネルギー貯蔵システムの現在の限界を克服する画期的な成果であると指摘した。同教授は、電気自動車を含むさまざまな電子機器に幅広く応用されることを期待している。
この研究は、Nanomaterial Technology Development Projectを通じて、韓国科学技術情報通信部と韓国国立研究財団の支援を受けて実施された。