塩代替品は高齢者の健康な血圧の維持に役立つ
塩化物イオンは甘味受容体に結合し、味覚を呼び起こす。
Salt Substitutes Help to Maintain Healthy Blood Pressure in Older Adults
https://www.sciencedaily.com/
Source: American College of Cardiology 2024.02.12
Journal of the American College of Cardiologyに掲載された最近の研究によると、通常の塩を塩代替品に置き換えると、低血圧エピソードのリスクを増加させることなく、高齢者の高血圧の発生率を減らすことができる。代替塩を使用した人は、通常の塩を使用した人に比べて高血圧の発生率と高血圧を経験する可能性が40％低かった。
世界保健機関によると、高血圧は心血管疾患と死亡率の主な危険因子である。世界中で14億人以上の成人が罹患し、年間1,080万人が死亡している。高血圧のリスクを軽減する最も効果的な方法の1つは、ナトリウム摂取量を減らすことである。この研究では、塩を単独で減らすよりも、健康な血圧をコントロールし維持するためのより良い解決策として塩代替品に注目している。
「成人は、簡単に入手でき、手頃な価格の加工食品を介して過剰な塩分を摂取するという罠に陥ることがよくある。」と、この研究の筆頭著者であり、中国北京にある北京大学臨床研究所のエグゼクティブ・ディレクターであるYangfeng Wu医学博士は述べた。「食事の選択が心臓の健康に与える影響を認識し、減塩の選択肢に対する国民の意識を高めることが重要である。」
この研究の研究者達は、中国の介護施設に居住する高齢者の血圧に対する減塩戦略の影響を評価した。これまでの研究では、減塩により高血圧の新規発症を予防または遅らせることができることが証明されているが、長期的な減塩と回避は困難な場合がある。
DECIDE-Salt研究には、48ヶ所の介護施設からの55歳以上の参加者611人が2通常のグループに分けられた。通常の塩を代替塩に置き換える24施設(参加者313人)と、通常の塩の使用を継続する24施設(参加者298人)である。参加者全員の血圧は140/90 mmHg未満で、ベースライン時に降圧薬を使用していなかった。主要な結果は、高血圧症を発症した参加者、降圧薬の投与を開始した参加者、または追跡調査中に重大な血管系有害事象を発症した参加者であった。
2年時点で高血圧の発生率は、代替塩を摂取した参加者では100人年当り11.7人、通常の塩を摂取した参加者では100人年当り24.3人であった。代替塩を使用している人は、通常の塩を使用している人に比べて高血圧を発症する可能性が40％低かった。さらに、塩代替品は高齢者によく見られる低血圧を引き起こさなかった。
「我々の研究結果は、人々が自分の健康を守り、心血管リスクの可能性を最小限に抑えながら、好きな食事に美味しい風味を加えるという特典を享受できる方法を提供する、血圧維持における画期的な進歩を示している。」とWuは述べた。「以前の研究で証明された血圧降下効果を考慮すると、塩代替品は高血圧者でも正常血圧者でもすべての人々に有益であることが示されており、したがって高血圧と心血管疾患の予防と管理のための望ましい人口戦略となる。」
この研究の限界としては、事後分析であること、研究結果が事前に特定されていないこと、多くの患者で追跡調査の受診ができなくなったことなどが挙げられる。分析の結果、これらの欠損値はランダムであることが示され、多重感度分析は結果の堅牢性を裏付けている。
アムステルダム大学医療センター内科の研究者、腎臓学者、臨床薬理学者であるRik Olde Engberink医学博士は、付随する編集コメントの中で、塩摂取量を減らすという失敗した戦略に代わる魅力的な選択肢を提供すると述べたが、疑問と努力が残っている。
「DECIDE-Saltの試験では、代替塩が厨房スタッフに与えられる、施設は週に1回以上外部から調達した食品を提供することを許可されなかった。」とOlde Engberinkは述べた。「このアプローチは潜在的に血圧の結果により大きな影響を与える可能性があり、このため、加工食品のナトリウムとカリウムの比率が改善されるよう、食品業界は食物連鎖の早い段階で塩代替品を採用する必要がある。」
