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低ナトリウム食は血圧を低下させないかもしれない

Low-Sodium Diet Might Not Lower Blood Pressure

https://www.sciencedaily.com/

Source: University of Alberta    2022.04.02

 

過去一世紀の間、心の弱い人々は塩摂取量を減らすように言われてきたが、今まで、この勧告の背後にある科学的証拠はほとんどなかった。

 

 ナトリウムの減少と心不全を調べる最大のランダム化臨床試験は、ランセットと週末のAmerican College of Cardiologyの第71回年次科学セッションで同時に結果を報告し、結果はまちまちであった。

 塩摂取量を減らしても心不全患者の緊急訪問、入院、死亡は減らなかったが、研究者達は腫れ、疲労、咳などの症状の改善と、全体的な生活の質の向上を発見した。

 「すべての患者に包括的な推奨を行うことはできなくなり、ナトリウム摂取量を制限することで、死亡または入院の可能性を減らすことができるとは言えないが、それによって人々の生活の質が全体的に向上する可能性があると快適に言える。」とアルバータ大学医歯学部教授でカナダVIGOURセンターの副ディレクターである主筆者のJustin Ezekowitzは言った。

 研究者達はカナダ、アメリカ、コロンビア、チリ、メキシコ、ニュージーランドの26ヶ所の医療センターで806人の患者を追跡した。全員が心不全に苦しんでいた。心が弱くなり、効果的に血液を送り出すことができなくなる状態である。研究参加者の半数は通常のケアを受けるようにランダムに割り当てられ、残りは食事による塩摂取量を減らす方法について栄養カウンセリングを受けた。

 試験の栄養カウンセリング部門の患者は、自分の地域の食品を使用して栄養士が設計したメニューの提案を与えられ、塩を加えずに自宅で調理し、高塩成分を避けるように促された。Ezekowitzによると、ほとんどの食事性ナトリウムは、食卓で振り掛けられるのではなく、加工食品やレストランの食事に隠されている。

「私が食事療法士から学んだ大まかなルールは、バッグ、ボックス、または缶の中の物は、一般的に思っているよりも多くの塩を含んでいるということである。」とMazankowski Alberta Heart Instituteの心臓専門医でもあり、U of A’s Cardiovascular Research Instituteの所長であるEzekowitzは言った。

 目標のナトリウム摂取量は1日当たり1,500 mg、つまり小さじ1杯の塩の約3分の2に相当する。これは心不全の有無に係わらず、ほとんどのカナダ人にカナダ保健省が推奨する制限値である。

 研究前は、患者は1日当たり平均2,217 mg、またはティースプーン1杯弱を消費していた。1年間の研究後、通常のケア・グループは1日当たり平均2,072 mgのナトリウムを摂取したが、栄養指導を受けたグループは1日当たり1,658 mgを摂取した。これはティースプーンの4分の1に相当する量より少し少ない量である。

 研究者達は2つの研究グループで、あらゆる原因による死亡率、心血管の入院、および心臓血管の緊急部門の訪問を比較したが、統計的な有意差は見つからなかった。彼等は3つの異なる生活の質の評価ツールと、心不全の重症度の尺度であるニューヨーク心臓協会の心不全分類を使用して、低ナトリウム・グループの一貫した改善を発見した。

 Ezekowitzは心不全患者に塩摂取量を減らすようにアドバイスを続けると述べたが、今では期待される利益についてより明確になるであろう。彼は臨床医に、食事の変更が一部の患者にとって有用な介入になる可能性があることを認識するように促す。

 チームは将来、より的を絞った個別の食事処方を提供できるようにすることを目的として、低ナトリウム食から最も恩恵を受けた患者の血中のマーカーを分離するためのさらなる研究を行う。研究者達はまた、24ヶ月と5年で試験患者をフォローアップし、長期的にあらなる利益が達成されるかどうかを判断する。