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低ナトリウム食は血圧を低下させないかもしれない

Low-Sodium Diet Might Not Lower Blood Pressure

ScienceDaily

Source: Experimental Biology 2017    2017.04.25

 

2,600人以上の男性と女性を16年間追跡した新しい研究では、ナトリウム摂取量を減らすことは血圧低下とは関係ないことが分った。新しい調査結果は、現在のアメリカ人の食事ガイドラインで推奨されているナトリウム制限に疑問を投げかけている。

 

 ボストン大学医学部のリン l. ムード准教授は、42226日にシカゴで開催されるアメリカ栄養学会の科学セッションと年次総会で新しい研究を発表する。

 「ナトリウムの少ない食事が血圧に長期的な有益な効果をもたらしたと言う証拠は見られなかった。」とムーアは述べている。「我々の調査結果は、ナトリウム摂取量に関する現在の推奨事項が誤った方向に進んでいる可能性があると言う証拠が増えていることを示している。」

 2015年-2020年のアメリカ人の食事ガイドラインでは、健康な人々のナトリウム摂取量を一日2,300 mgに制限することを推奨している。この研究では、研究者達はフラミンガム子孫研究の一部であった3064歳の2,632人の男性と女性を追跡調査した。参加者は研究の開始時に正常な血圧を持っていた。しかし、次の16年間で研究者達は一日に2,500 mg未満のナトリウム量を摂取した参加者は、大量のナトリウムを摂取した参加者よりも血圧が高いことを発見した。

 過去数年間に発表された他の大規模研究では、研究者達がナトリウム摂取量と心血管疾患危険率との間にJ字型関係と呼んでいる曲線が見つかった、つまり、低ナトリウム食の人々(アメリカ人の食事ガイドラインで推奨されている)と非常に高い人々を意味するナトリウム摂取量(平均的なアメリカ人の通常の摂取量を超える)は、心疾患の危険率が高かった。危険率が最も低い人は、ほとんどのアメリカ人が摂取する範囲であるナトリウム摂取量が中央にあった。「我々の新しい結果は、一般の人々の食事によるナトリウム摂取量が少ないという知恵に疑問を呈しているこれらの他の研究を裏付けている。」とムーアは述べている。

 研究者達はまた、カリウム、カルシウム、マグネシウムの摂取量が多い研究の人々では、長期的に血圧が低いことを発見した。フラミンガムでは、ナトリウム(平均して1日当たり3,717 mg)とカリウム(平均して1日当たり3,211 mg)の合計摂取量が多い人々の血圧が最も低かった。

 「この研究や他の研究は、特に血圧とおそらく心血管系の転帰においても、カリウム摂取量を増やすことの重要性を指摘している。」とムーアは述べている。「この研究が、健康的な血圧を維持するためにカリウム、カルシウム、マグネシウムが豊富な食品の摂取量を増やすことの重要性について、現在のアメリカ人の食事ガイドラインに再び焦点を当てるのに役立つことを願っている。」

 ムーアは、ナトリウム摂取量を減らすことで恩恵を受ける塩に感受性のある人々の母集団がいる可能性が高いと言うが、塩感受性を検出するためのより簡単な方法を開発し、この塩感受性グループの中でナトリウムとカリウムの摂取量の適切なガイドラインを決定するためにより多くの研究が必要である。