耐火電池性能
The Fireproof Battery
https://www.power-and-beyond.com/ 2024.10.28
もともと電気自動車用に開発された塩電池は、現在では携帯電話のアンテナに電力を供給し、将来的には地区全体にも電力を供給する可能性がある。塩電池は安全で長持ちする電池技術であり、大きな可能性を秘めている。Empaの研究者達は、産業界のパートナーと協力して、この特殊な電池をさらに展開している。
1997年、メルセデスベンツAクラスは、エルクテスト中にカーブから外れて転倒するという有名な事故を起こした。この悪名高い自己の原因の1つは、この車がもともと電気自動車として設計されていたことである。内燃機関に切り替えたことで重い電池がなくなり、重心が上方に大きく移動した。
Aクラスに搭載されるべきであった電池は、いわゆる塩電池であった。カソードとアノードが共通の液体電解質プールに浸されている他のほとんどの電池とは対照的に、塩電池の電解質は固体、つまりナトリウム・アルミニウム酸化物をベースにしたセラミック・イオン伝導体である。固体電解質は不燃性であり、アノードとカソードを分離できるため、電池の耐用年数が長くなる。塩電池のカソードは、塩とニッケル粉末の顆粒をベースにしており、ナトリウム金属アノードは充電中にのみ形成される。
電気自動車の場合、この電池技術は最善の解決策であるとは証明されていない。今日の電気自動車は、より軽量で充電が速いリチウム・イオン電池で動いている。しかし、他の用途では、塩電池はリチウム・イオン電池の競合製品よりも優れている。このため、塩電池はEmpaなどで現在も研究が続けられている。
安全で耐久性がある
この研究協力は、ティチーノ州に拠点を置く塩電池メーカーのHORIEN Salt Battery SolutionがEmpaにアプローチした2016年に始まった。同社は、innosuisseプロジェクトの一環として、電池セルのナトリウム・アルミニウム酸化物(ベータアルミナとも呼ばれる)からなるセラミック電解質を改良したいと考えていた。これにより、他のタイプの電池とは大きく異なる塩電池のセル形成と電気化学に関するさらなるプロジェクトが生まれた。「研究目的の塩電池セルの組立は非常に複雑で、その正確な作用メカニズムに関する研究はほとんどない。そのため、これらのプロジェクトは我々にとって非常に興味深いものになっている。我々は多くの事を学び、産業界のパートナーと一緒に理解を深めることができる。」と、Corsin Battagliaが率いるエネルギー変換材料研究所のEmpa研究者Meike Heinzは述べている。
この異なるセル構造により、塩電池はリチウム・イオン電池に比べていくつかの利点がある。例えば安全性の点では、塩電池は300℃程度の動作温度を必要とするが、燃焼や爆発は起こらない。そのため、鉱山やトンネル建設、沖合の石油・ガス生産プラットフォームなど、リチウム・イオン電池の使用が許可されていない場所でも使用されている。また、動作温度が高いため、塩電池はリチウム・イオン電池に比べて温度に対する感受性がはるかに低くなっている。このため、携帯電話などの重要なインフラに最適な緊急電力貯蔵システムとなっている。遠隔地や露出した場所でも、長持ちしメンテナンス・フリーの塩電池は数十年にわたって確実に機能することができる。
しかし、動作温度もこの電池技術の欠点である。塩電池は、使用可能にするために能動加熱が必要である。電気を必要とする電池が、一体どうやってコスト効率を高くできるのであろうか?「用途によっては、電池を冷やすよりも高める方が効率的である。」と、Meike Heinzは説明する。「充電中および放電中にセルの抵抗により熱が発生する。最適なシステムでは、大型電池はそれ自体を加熱することができる。」と、Empaの研究員Enea Svaluto-Ferroは付け加える。
未来のセル化学
材料科学者であるMeike Heinzと彼女のチームは、セル化学に焦点を当てている。塩電池の原材料のほとんどは安価で、大量に入手可能である。セルの構造もリサイクルしやすいように作られている。しかし、カソード材料であるニッケルがますます重要視されるようになったため、HORIENとEmpaは、スイス連邦エネルギー庁が資金提供したHiPerSoNickプロジェクトの一環として、セルのニッケル含有量の削減に着手した。効率的で長持ちする塩電池を実現するには、セルの構造と微細構造を非常に正確に調整する必要があるため、これは簡単な作業ではなかった。
2025年半ばまで続くEUプロジェクトSOLSTICEの一環として、HORIENとEmpaは他のプロジェクト・パートナーとともに、溶融塩電池のニッケルを亜鉛で完全に置き換えることができるかどうかを調査している。「亜鉛の融点が低いため、現在の動作温度では課題がある。」とMeike Heinzは言う。しかし、研究者達はすでにカソードの微細構造を安定化する有望なアプローチを見つけている。
Empaチームがニッケル・フリー塩電池のさらなる改良とスケールアップを目指すさらなる後続プロジェクトが既に計画されている。結局のところ、塩電池は安全性、長寿命、そして危険な原材料の回避により、定置型蓄電池として理論的である。塩電池を安価かつ大量に生産できれば、携帯電話のアンテナだけでなく、住宅街全体に電力を供給できるようになるかもしれない。