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NEJM論文 進行中の塩論争に参加

NEJM Papers Add to Ongoing Salt Debate

By the NEJM Journal Watch Editors  

NEJM Journal Watch  2014.08.14

 

 ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの新しい研究は塩摂取量、血圧、心血管疾患との関係に関して進行中の論争に参加した。

 第一に、研究者達は年齢、性、国に従って世界の塩摂取量を調べるために塩摂取量に関する国際的な調査からのデータを使った。その後、彼等は5.1 g/dの参考塩摂取量と比較して、心血管疾患死亡率に及ぼす現在の塩摂取量の影響を調べるモデルを開発した。2010年の世界の塩摂取量の推定平均値は10.0 g/dであった;地域全体の平均推定値は5.5 -14.0 g/dの範囲であった。心血管疾患死(165万人)のほぼ1/10が参考値以上の塩摂取量に寄与していた。これらの死亡数のほとんどは低-中所得国で生じており、40%以上は70歳以下の若い人で生じていた。

 他の研究は18ヶ国の高収入-低収入国からの約10万人を含んでいた。空腹時の尿中ナトリウムとカリウム測定値を使って、研究者達は摂取量の代わりとして毎日のナトリウム排泄量とカリウム排泄量を推定した。

 主要な血圧結果は次の通り:

  毎日の高いナトリウム排泄量は有意に高い収縮期血圧と拡張期血圧に関係していた;関係はナトリウム排泄量が3 g/d以上の参加者に限られた。

  毎日の高いカリウム排泄量は有意に低い収縮期血圧と関係していた。

  最高のナトリウム排泄量と最低のカリウム排泄量の参加者の平均血圧は最低のナトリウム排泄量と最高のカリウム排泄量の参加者の平均値よりも12/5 mmHg高かった。

3.7年間の追跡中に主要な様々な結果(死または主要な悪い心血管疾患)についての主要な結果は次の通り:

  17.8 g/d以上の塩摂取量は10.2 – 15.2 g/dの塩摂取量と比較して主要な結果についての大きな危険性と関係していた。

  7.6 g/d以下の塩摂取量も主要な結果についての大きな危険性と関係していた;したがって、最高と最低の塩摂取量は両方とも悪い臨床研究と関係していた(U字型関係)

  血圧値について調整すると、主要な結果と高いナトリウム排泄量(しかし、低ナトリウム排泄量ではない)との関係を弱くし、血圧は高い塩摂取量結果を部分的に緩和していることを示唆している。

  低カリウム排泄量は主要な結果についての危険性を高くすることと関係していた。

 最初の研究をコメントすると、NEJMジャーナル・ウォッチ・カルディオロジーのジョアン・フーディは次のように言った:“これらの結果は高い塩摂取量の実質的な世界の義務に重点を置いており、集団の減塩運動を支持している。予防的治療で、このような外挿的解析も、ガイドライン勧告に従って塩摂取量を最低にすることは心血管疾患危険率を下げられると言って、臨床医が患者を説得するのに役立つかもしれない。”

 第二の研究をコメントすると、NEJMジャーナル・ウォッチ・ゼネラル・メディシンのアラン・ブレットは次のように言った:“一部の観察者について、これらの結果は、低塩、高カリウム食が実質的に血圧を下げ、好ましい臨床結果を促進させることを示唆しているようであるが;しかし、研究の観察的要求は食事介入の因果関係または影響について強い推論を排除した。塩摂取量と悪い臨床結果との間のU字型関係は前の研究でも述べられており、高い危険率の患者がもっと減塩すると、逆相関を表せる。代わりになるものとして、著者らは、行き過ぎた減塩は高血圧になり易い患者のレニンーアンジオテンシンーアルドステロン系を活性化させることにより有害になるかもしれないことを推測している。”