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塩摂取量増加は起立性頻脈症候群に有益であることを証明する

Increasing Salt Intake Proves Beneficial in POTS

By Sue Hughes

Medscape   2021.04.26

 

 起立性頻脈症候群(POTS)患者のために塩摂取量はより自信を持って増加させられ、この治療戦略を支持する確かな証拠をもたらす最初の研究を示唆している。その結果は、高塩摂取量は血漿ノルエピネフリン濃度を下げられ、起立性頻脈症候群患者の立位および定位性頻脈が改善されることを示した。「これらの結果は、塩摂取量増加がこの状態の治療のために良い理論的根拠であることを示唆しており、この研究は、塩摂取量増加によりPOTS患者に正しいことをしていると言う安心感を与える。」と上級著者のサティシュ・R・ラージはMedscape Medical Newsに語った。

 筆頭著者エミリー・M・ガーランドの研究はJournal of the American College of Cardiology426日にオンラインで発表された。カナダ、アルバータ州のカルガリー大学カミング医学部の心臓科学教授であるラジャは、POTSには脈拍と血圧を制御する自動神経システムに影響を及ぼす一連の障害を含んでいると説明した。「それは起立性不耐性の障害で-横になると患者は気分が良くなる。POTS患者が立ったとき、血圧は必ずしも下がらないが、過度に上昇する症状の起立性低血圧とは異なる。」POTS患者では立っていると脈拍数がいくらか上昇するのは正常であるが、脈拍数は過度に増加する。この状態は、起立性低血圧がない場合に少なくとも30拍/分(または1219歳の個人では40拍/分)の起立性脈拍数の増加として定義される。

 この障害は、立ちくらみ、息切れ、動悸、および労作不耐性を含む症候群の範囲によって特徴付けられ、直立した状態ではさらに悪くなる。患者は慢性疲労や知覚された認知障害も経験すうr、とラジャは述べた。POTSの典型的な人口統計は若い女性である。状態はしばしば10代の間に始まる。患者はしばしば低血液量で、したがって、治療法の1は血液量を増加させるために塩と水の摂取量を増加させることである。「これは治療の柱の1つであるが、実際に適切に研究されたことはない。」とラジャはコメントした。塩摂取量増加は「心臓専門医からの珍しいメッセージであり、従来のアドバイスに反して推奨していることが懸念され、したがって、我々はこの推奨を支持する証拠を急ぐ必要がある。」現在の交絡研究では、POTS患者14人と6日間にわたって低塩食(1日当たり0.6 g)または高塩食(1日当たり18 g)による治療を受けた13人の健康な対照者が登録された。

 仰臥位および立位の脈拍数、血圧、血清アルドステロン量、血漿レニン活性、血液量、および血漿ノルエピネフリン量およびエピネフリン量を測定した。結果は、POTS患者で高塩食は低塩食と比較して、直立脈拍数と立位時の脈拍数の変化を減少させたことを示した。脈拍数は、高塩食では46回/分に増加したが、低塩食では60回/分に増加した。総血液量と血漿量は増加し、立位ノルエピネフリン量は低塩食と比較して高塩食で減少した。しかし、立位脈拍数、脈拍数変化および立位ノルエピネフリン量は高塩食の対照者よりもPOTS患者で高いままであった。低塩食の人々と比較して高塩食のPOTS患者で比較的低い症状負荷スコアーについて無意味な傾向があった。高塩食では精神錯乱、動悸、立ちくらみ、頭痛のスコアーが低下傾向にある。

 「我々は、高塩食が望んでいたことをしたこと明らかにした。つまり血液量が増加し、立位のノルエピネフリン量が低下し、そして脈拍数の過剰な増加を低下させた。脈拍数を完全に正常化させなかったが、かなり低下させた。」とラジャは言った。研究からのもう1つの観察は、塩摂取量増加は患者の全範囲にわたって有益であるように思われた。「交感神経活性のレベルが非常に高い患者がおり、このグループでは塩摂取量増加があまり上手く行かないかもしれないと言う事例報告がある。」と彼は言った。「この研究では、我々は区別できなかったが、平均ノルエピネフリン量は非常に高かく、多くの患者が高アドレナリン作動姓である見做される。我々の結果は、この治療法がこれらの患者にも役立つことを示唆している。」

 塩摂取量は食事を通してこの研究で増加した、と彼は述べた。「我々には特別な代謝キッチンがあった。臨床診療では、患者に通常の食卓塩を食品に加えることを勧めており、食事でそれほど多くの塩に耐えられない場合にのみ塩錠剤を使う。」その様な治療法を長期間使用すると、高血圧が懸念される可能性があることを認識し、この研究では血圧上昇の兆候はなかった、とラジャは言った。「しかし、コクラン・レビューは当分の間、短期間の治療法と見做されるべきで、生理的機能が変化するにつれて、患者は数年毎に再評価される必要がある。」と彼は言った。著者らは、POTSが人口の最大1%に影響を及ぼすと推定している。現在状態についての診断コードがないので、全ての発生率データは推定である。

 ラジャは、潜在的に多くの人々が影響を受けていると指摘するが、患者と医師の間で状態の認識はほとんどない。「多くの家庭医はPOTSを知らない。」と彼は述べた。「患者はしばしば自分で症状を調べて素の状態を医師に知らせなければならない。多くの患者は何年間も待って、正しく診断されるまでにしばしば多くの別の医師の診察を受ける。」POTS患者はしばしば精神病として診断される、と彼は説明した。「彼等は不安とレッテル付けされる動悸、心臓のドキドキ、震えをもたらす主に若い女性である。」と彼は言った。

 立ち上がったときに患者の症状が悪くなる場合には、臨床医にPOTSを検討するようにラジャは促す。立ち上がったときに血圧は下がらないが、脈拍数が少なくとも30回/分まで上昇すれば、診断が確認される。十分な専門家がこの状態を治療していないので、家庭医は診断して治療を始める必要がある、と彼は述べる。もっと積極的な治療が必要であれば、患者は専門家に相談できる。

 「問題の1つは、この状態が様々な専門分野にまたがっていることである。誰も素の分野に携わっていないので、無視される傾向がある。しかし、POTSに関心を持っている臨床医がおり、鍵はこれらの一人を見つけることである。「我々はついにこの高塩食がPOTS治療に役立つことを確立した。」と彼は結論した。「我々はしばらくの間それを使用してきたが、今では患者の全範囲にわたってそれを使用する証拠がある。」

 付随する論説で、オハイオ州トレドのトレド大学医学センターのブレアー P. グラッブは言っている。「ガーランドらによる優れたこの研究は、POTSで起こっている病態生理学的プロセスの理解をより良く確立するのに役立つ、と同時に治療の基礎の1つとして塩摂取量増加の良い証拠を提供している。」

 彼はこの分野の研究がもっと必要であることを付け加えている、「POTSをより良く理解し、この衰弱姓の病気に苦しむ人々を助けるための治療法を詳しく説明すると言う我々の要求に応じるためである。」