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減塩は常に有害か?

Is Cutting Salt Ever Harmful?

By Nayan Arora

Medscape   2021.04.12

 

 減塩はアメリカの医者が行っている最も一般的な食事勧告の1つである。しかし、どれくらいまで下げるか、そして減塩が常に有害であるかどうかに関するコンセンサスはない。我々が進化してきた祖先が乾燥した土地に向けて塩辛い海の環境を離れたとき、塩と水の維持は腎臓の負担となった。「強力な塩の保持は脊椎動物の腎臓機能の中で(最も原始的でないにしても)最も原始的な機能の1つである。」と魚から哲学者まででホーマー W. スミスは書いた。

 時間が経過して食習慣は変化し、現在のアメリカ環境では、塩の欠乏はない。1つの国家を代表する調査はアメリカの成人で9.1 g/d以上と言う塩摂取量を報告した。主要な科学協会は我々に減塩するように要請することで団結しているが、塩域値に関しては一時的に異なっている。例えば、疾患予防管理センターは5.8 g/dと言う限界値をアドバイスしており、アメリカ心臓協会はもっと低く3.8 g/dとしており、そしてWHOは中間の5.1 g/dを設定している。

 

塩摂取量と高血圧

 減塩食は血圧を下げることは明らかである。185研究のコクラン・レビューは、途方もない29.2 g/dから9.7 g/dへの平均的な減塩は高血圧者で収縮期血圧5.5 mmHgと拡張期血圧2.9 mmHgの平均的低下と関係していたことを示した。

 収縮期血圧と拡張期血圧に及ぼす減塩効果

 低塩食は中間-または高塩食と比較して血圧に直線に近い改善と関係している(図参照)最近の高品質な85試験のメタアナリシスは、減塩と収縮期血圧および拡張期血圧の両方の低下との間の湖の直線的な関係を確認した。しかし、減塩は心血管疾患を改善することになるか?ここのデータではそれほど明確ではない。

 

塩摂取量と心血管疾患危険率

 JAMA1つの観察研究は高危険率の心血管疾患の2つのコホ-トで心血管疾患に及ぼす減塩効果を調査した。心血管疾患の増加と関係した7.6 g/d以下の塩摂取量とJ字型曲線が明らかにされた。PURE研究は7.6 g/d以下の塩摂取量と心血管疾患増加との間の関係を同様に明らかにした。この観察研究の参加者の大多数は根元的な心血管疾患を示さなかった。塩摂取量の90%以上は尿中に排泄され、塩摂取量の測定には尿は理論的な試料である。これら2つの観察研究に伴う問題は24時間塩排泄量を推定するために、批判され臨床的に広く使われていない方法である川崎式による一回のスポット尿収集を使っていることである。

 塩摂取量を調べるために注意深く収集された3回から7回の24時間尿収集の平均値を使った高血圧予防試験調査はJ字型曲線を観察できなく、その代わり低い塩摂取量(3.8 g/d)でも心血管疾患でかなりの低下を明らかにした。コクラン・レビューでは、減塩は神経ホルモン活性と関係していた。活性は理論的に臨床的危害につながる可能性があるレニン、アルドステロン、ノルアドレナリン、そしてアドレナリンの各濃度増加によって定義される。南アメリカのヤノマモ族は2.5 g/d以下の摂取量であることを示しており、これまで記録されてきた最高のレニンやアルドステロン量と関係していた。しかし、彼等の総合的な短命によって混乱されているかもしれない結果である心血管疾患の危険率増加は見られなかった。

 

減塩と慢性心不全

 心不全患者は神経ホルモン活性に対して特に脆弱である可能性がある。心不全で減塩をアドバイスすることは疑問を読んできた。イタリアの調査は6.8 g/dまたは4.6 g/d以上の食事に排泄量を減らした232人の心不全患者をランダムに指定した。両グループは飲料水1リットル/日に限られ、利尿剤と他のガイドラインが勧めている心不全薬を与えられた。より自由な塩摂取量グループは、より厳しい塩制限グループと比較して、脳内ナトリウム利尿ペプチド濃度が低く、再入院率と死亡率が低下した。

 同じ研究グループによる同様の試験で、減塩食の心不全患者はレニン、アルドステロン、そして炎症性サイトカイニンの各濃度がより高く、同時に通常の塩摂取量にランダムに指定されたグループと比較して再入院率が増加した。これらのイタリア調査は幾つかの欠陥がある。2つの調査間のデータに重複があると言われている。さらにそれらは結果に影響を及ぼしたかもしれない厳各な利尿プロトコールを含んでいた。より厳しい減塩食の患者がより多くの塩摂取量の人々と同じほどの利尿剤を投与されれば、そのことはより大きな体液量減少とそれに伴う二次的な神経ホルモン活性の危険にさらすことになる。すなわち、(ある程度の)減塩は神経ホルモン活性もたらすことが理論的に可能であり、そのことは、臓器灌流を維持するために心不全患者で最初の償いである;しかし、時間が経過すると、この神経ホルモン活性は不適当になり、予後不良と末端器官障害の推進要因である。

 心筋肥大、糸球体繊維症、血管内皮細胞増殖因子の増加、および一酸化窒素の減少を含めて、塩は明らかに身体に有害な影響を与える可能性がある。

 

陰イオンのせいか?

 しかし、塩への我々の焦点が近視眼的であればどうなるか?減塩したとき、我々はナトリウムと塩化物の両方について実際に議論している。ナトリウムは様々な形態で摂取されるが、食卓塩、または塩化ナトリウム(その多くは加工食品に隠れている)は塩摂取量の90%に及ぶ。慢性心不全疾患の塩化物量低下は利尿薬耐性、神経ホルモン活性、そして死亡率増加と独立して関係していた。したがって、かなりの程度の減塩は塩化物不足のために心不全患者で悪い結果をもたらす可能性がある。

 私は、私の心不全患者が自由に塩振り出し器を使うことを勧める準備は出来ていないが、それは少なくとも思考の糧である。