高塩摂取量は腎臓病のリスク増加と関連している
High Salt Intake Linked to Increased Risk for Kidney Disease
By Nadine Eckert
Medscape 2024.01.22
イギリス・バイオ・バンクのデータを利用した研究によると、食卓での食事に習慣的に塩を加えている人は、知らず知らずのうちに腎臓を危険に曝している可能性があるという。ルイジアナ州ニューオリンズにあるチューレーン大学の疫学博士候補者Rui Tangが率いる研究者達が明らかにしたように、慢性的な塩類の添加は慢性腎臓病発症のリスク上昇と関連している。この研究は、JAMA Network Openに掲載された。
大規模な研究試料
37~73歳のイギリス・バイオ・バンク参加者46万人以上からなる集団ベースのコホート研究で、Tangらは食品への食卓塩の添加と慢性腎臓病リスク増加の関連を調査した。参加者は、食事に塩を加える頻度を、まったく、またはめったにない、時々、頻繁、または常にと回答した。追跡期間は10年を超え、期間の中央値は11.8年であった。この間、約22,000件の新たな慢性腎臓病症例が記録された。データ分析により、塩を頻繁に添加する人の間で慢性腎臓病リスクが高いことが明らかになった。
リスク上昇の程度は塩の添加速度によって変化した。時々塩を加える人でも、まったく塩を加えない、またはほとんど塩を加えない人よりもリスクが7%高かった。頻繁に塩を摂取する人のリスクは12%増加し、常に塩を追加する人のリスクは29%増加した。これらの結果は年齢と性別で調整された。
全体的な健康状態の悪化
研究グループは、塩分を頻繁に添加する人は一般に健康状態が低く、不健康な生活様式を採用し、社会経済的地位が低いと指摘した。彼等は、研究開始時に体格指数が高く、喫煙する可能性が高く、糖尿病または血管疾患を患っており、推定糸球体濾過率が低下していた。さらに、物質的な剥奪を示すタウンゼント剥奪指数はより高かった。
これらの要因を考慮して、研究者達は年齢や性別だけでなく、民族、タウンゼント剥奪指数、推定糸球体濾過率、体格指数、喫煙状況、アルコール摂取量、身体活動、コレステロール値の上昇、糖尿病、心血管疾患、高血圧、感染症、免疫系障害、腎毒性薬の使用なども考慮して結果を調整した。
関連付けは存続する
これらの要因を考慮した後でも、減弱されたとは言え、塩添加と慢性腎臓病リスクとの有意な関連性は依然として残った。時々塩を添加する人では、リスクが2%、頻繁に塩を摂取する人では5%、常に塩を追加する人では6%増加した。
Tangが率いる研究グループは、食事に塩を加えることは一般集団における慢性腎臓病のリスク増加と関連している可能性があると結論付けた。しかし、研究結果を解釈する際に考慮すべきいくつかの制限も強調した。
減塩
主に、自己申告による塩の添加頻度は、実際の塩の消費量を正確に反映していない。以前の研究ではこの変数の正確性が検証されていたが、研究者達は頻繁な塩の添加が不健康な生活様式の単なるマーカーである可能性を認めた。
それにもかかわらず、著者らは、食事への塩の添加頻度を減らすことが、一般集団における慢性腎臓病リスクの低下に貢献する可能性がある。と推測した。彼等は事後分析または臨床試験の追跡調査で結果を検証することを提案した。