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ヨーロッパの塩制限政策はいまだ遅れている

European Salt Restriction Policies Still Lagging Behind

By Liz Schere

Medscape   2023.03.12

 

 世界保健機関の新たな報告書によると、ヨーロッパ地域は国民のナトリウム摂取量を減らす政策の実施に向けて大きく前進しているが、完全に推奨事項を定めている加盟国はチェコ、リトアニア、スペインの3ヶ国だけであるという。世界では、194の加盟国が2030年までに総人口摂取量をほぼ3分の1削減することを約束している。しかし、WHOのデータは、世界的な取り組むが目標達成に向けた軌道から外れていることを示している。

 過剰なナトリウム摂取量が心臓病、脳卒中、早死のリスク増加と関連しているとの数十年にわたる研究にもかかわらず、世界の平均摂取量は、WHOが推奨する1日当たりの塩摂取量を5 g未満とする量の2倍以上と推定されている。20229月に雑誌「Public Health Nutrition」に掲載された体系的レビューの結果は、WHOのヨーロッパ地域全体の塩摂取量がこれらの推奨レベルを普遍的に超えているが、明確な東西勾配があることを強調した。東ヨーロッパ諸国の塩摂取量は、一般にヨーロッパ諸国や北欧諸国よりも高かった。

 現在、ヨーロッパ地域加盟国の過半数(47%または25)WHOのナトリウム国スコア3を保持しており、包装食品のナトリウム含有量を申告していることを意味する。

 具体的には、14ヶ国(オーストリア、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、ギリシャ、ハンガリー、ラトビア、モンテネグロ、オランダ、ポルトガル、セルビア、スロバキア、ウズベキスタン)が食品中のナトリウム制限を義務付けており、14ヶ国(ブルガリア、エストニア、フランス、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イスラエル、ラトビア、マルタ、ポーランド、ルーマニア、トルコ、ウクライナ、イギリス)は、公共の食料調達とサービス政策を導入している。16ヶ国(デンマーク、ドイツ、アイルランド、イタリア、ノルウェー、スエーデン、スイスを含む)は、包装済み食品のナトリウム含有量の申告を義務付けているが、その他の強制措置はなく、スコア2(少なくとも1つの自主方針)を持っている。6つの加盟国はスコア1のままであり、摂取量を削減するという国家的公約を行なっているだけであることを意味するが、2ヶ国(アンドラとモナコ)は何の行動も講じていないか、状況が不明である。

 ナトリウム制限が広く実施されれば、2030年までにナトリウム摂取量が全体で23%減少し、心血管死が3%減少する可能性がある。次の4つの主要な介入も推奨されている。1) 影響を減らすために食品を再調整し、食品/食事中のナトリウム目標を設定する。2) 公共機関における塩分・ナトリウムの多い食品を制限するための公共食料調達政策を確立する。3) 消費者の低ナトリウム製品の選択を促すための包装前面表示。4) コミュニケーションおよびマスメディア・キャンペーン。