塩代替品は新たな高血圧のリスクを軽減する
Salt Substitute Reduces Risk for New Hypertension
By Megan Brooks
Medscape 2024.02.12
通常の塩を塩代替品に置き換えると、低血圧を引き起こすことなく、通常の塩を摂取したグループに比べて新たな高血圧の発症率が減少したことが新しいデータで示された。
血圧が正常な高齢者のグループの中で、食卓塩を塩化ナトリウム62.5％、塩化カリウム25％、風味料12.5％からなる塩代替品に取り替えた人は、高血圧を発症する傾向が40％減少した。通常の塩を使い続けた同等者よりも2年長かった。
「公衆衛生の観点から見ると、我々の研究結果は高血圧症であろうと正常血圧症であろうと、国民全員が通常の塩をカリウムを豊富に含む塩代替物に置き換えることで恩恵を受けることができることを示している。」と主著者であるYangfeng Wu医学博士、教授兼エグゼクティブ・アソシエイトは述べている。中国、北京にある北京大学臨床研究所の所長はtheheart.orgのMedscape Cardiologyに語った。
「したがって、高血圧や心血管疾患の予防と管理のための国民全体の戦略として、塩代替品を検討し、推進すべきである。」とWuは述べた。この研究は、2月12日にJournal of the American College of Cardiologyにオンライン掲載された。
「世界中で塩摂取量を減らす戦略が失敗していることを考えると、塩代替品は魅力的な選択肢である。食品業界と当局は、塩代替品を大規模に導入するための戦略を準備すべきである。」とアムステルダム大学医学部のRik Olde Engberink医学博士は述べた。オランダのアムステルダムのセンターは、リンクされた論説で書いた。
高血圧予防のための人口戦略
DECIDE-Salt臨床試験は、55歳以上の1,612人(男性1,230人、女性382人)が参加し、中国の48ヶ所の居住型高齢者介護施設で実施されたクラスター・ランダム化試験であった。この試験では、塩を塩代替品に置き換えるという2つの減塩戦略と、塩の供給を段階的に制限するという2つの減塩戦略が血圧を下げる効果を評価した。
元の研究では、塩代替介入により通常の塩群と比較して収縮期/拡張期血圧が7.1/1.9 mmHg有意に低下した。塩の漸進的な制限は、通常の塩または塩代替グループと比較して血圧に影響を与えなかった。
DECIDE-Saltのこの事後分析は、ベースライン(平均血圧、122/74 mmHg)で正常血圧であった参加者609名(平均年齢71歳、男性74％)に焦点を当てた。そのうち298名が通常の塩摂取群で、313名が塩代替群であった。
通常の塩グループと比較して、塩代替グループは2年間で高血圧の発症率が低く、高血圧のエピソードの増加はなかった。ベースラインから2年まで、塩置換グループでは収縮期/拡張期の平均血圧に変化はなかったが、通常の塩を摂取したグループでは収縮期/拡張期の血圧が大幅に上昇した(平均、7.0/2.1 mmHg)。
DECIDE-Saltの事後結果は、ペルーで行なわれた以前の研究と一致している。この研究では、同じくほとんどが正常血圧の参加者を調査し、Theheart.orgのMedscape Cardiologyで報告されたように、塩代替群では高血圧の発症率リスクが51％低いことが報告されている。
「この研究には55歳以上の参加者のみが含まれていたが、高血圧の蔓延とナトリウムおよびカリウム摂取量との関係は高齢者に限定されない。したがって、塩代替は若い人にも有益であるはずでると我々は信じている。」とWuは述べた。
注目すべき分析
ロードアイランド州プロビデンスにあるブラウン大学ウォーレン・アルパート・医学校の腎臓病・高血圧科のAnkur Shah医学博士にコメントを求めたところ、この研究は「血圧が正常な人における塩代替の影響についての報告が限られており、矛盾しているため、注目に値する。」と述べた。
「高血圧の制御における塩代替の影響に関する文献は増えているが、予防についてはほとんど知られていない。」とこの研究に関与してないShahはtheheart.orgのMedscape Cardiologyに語った。
「施設レベルでのクラスター・ランダム化試験の設計により、高齢者介護施設におけるナトリウム代替という実施への明確な道筋が示されているため、この研究は確かに集団レベルでの影響を持っている。とは言え、これが最大の限界でもある。一般人口はせいかくではないかもしれない。」とShahは指摘した。
また、通常、カリウム摂取量を減らすことが推奨されている腎臓病患者にとって、塩代替品には潜在的な懸念がある。「カリウムの補給は高カリウム血症を引き起こす可能性があり、重度の場合は生命を脅かす可能性があり、腎臓のカリウム排泄能力を妨げる薬を服用している患者も同様に注意する必要がある。」とShahは述べた。
この研究は、中国科学技術部国家重点研究開発プログラムからの助成金によって支援された。楡林の中国塩総会社は、研究で使用される通常の塩と塩代替品を無料で提供した。Wu、Engberink、およびShahには、関連する利益相反はなかった。
