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論評

塩代替物に関するSSaSS試験からの肯定的な結果は

塩懐疑論者を沈黙させるか?

Will the Positive Findings from the SSaSS Trial on Salt Substitution

 Silence the Salt Skeptics?

By John M. Mandrola and Bruce Neal

Medscape   2021.09.02

 

John M. Mandrola, MD: 皆さん、Medscape Cardiology/heart.orgのジョン・マンドロラです。オーストラリアのニュー・サウス・ウェールス大学の医学教授であるブルース・ニールス教授と同席できて嬉しい。彼は塩代替物と脳卒中研究(SSaSS)の筆頭者で、SSaSSはヨーロッパ心臓病会議でホットラインとして提示され、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された。これは本当に重要な試みである。ようこそ、ニール教授。

Bruce Neal, MB ChB, PhD: 有り難う。ジョン。

Mandrola: この重要な研究の主要な結果を話してくれますか?

Neal: 我々は塩代替物に対して20,000人以上をランダム化しました。塩代替物は通常の塩に代わるナトリウムを減らして/カリウムに代替した物でした。我々は約5年間彼等を追跡しました。我々は研究中に約3,000件の脳卒中、4,000件の死亡、そして5,000件の主要な悪い心血管疾患を集めました。そして我々は脳卒中危険率で明らかな14%の低下を0.006と言うP値で得て、そして我々は2つの二次的な結果に対しても明らかな保護が見られました、すなわち、全部で主要な悪い心血管疾患の13%低下と早死にでも12%低下でした。そして結果の両方とも0.001以下のP値で、かなり明らかな有効性のあるエビデンスです。

 他の鍵となる観察は、塩代替物で懸念される高カリウム血症の危険率増加は見られなかったことでした。危険率は1.04でした。したがって、それはかなり説得力のある結果です。

Mandrola: そしてこれは非常にユニーク試験環境でしたね?

Neal: そうです。我々は中国農村部で研究を行いました。減ナトリウムと増カリウムが実際に結果を変えるかどうかの仮定をテストするためで、もちろんナトリウムを減らせることと食事にカリウムを加えられることが必要です。中国農村部では、人々が食事から摂取しているナトリウムの約50%は調味料として食卓で振り掛ける、または調理や食品を保存するときに使う塩として実際に使われました。より先進国では、食事からの多くのナトリウムは加工食品や包装食品から来ており、置き換えることがずっと難しいのです。

Mandrola: 独自のクラスター・ランダム化試験設計もありました。ほとんどの心血管試験は個人的なランダム化を使っています。クラスター・ランダム化試験法について教えて下さい。

Neal: 我々は塩または塩代替物に対して21,000人の人々を個人的にランダム化しないで、その代わり600ヶ村をランダム化しました。そして、それらの村のそれぞれで、我々は35人を募集しました。そしてその後、村、つまり35ヶ村のグループを塩または塩代替物のいずれかにランダム化しました。それで、この種の設計を使用すると、統計力が少し失われますが、他の点ではそれを補います。クラスターのランダム化を行った理由は村の人々のグループに塩代替物介入を行う方がはるかに簡単であったためです。そして同じ村に二人いて、一方が塩を使い、もう一方が塩代替物を使っているという状況はありません。そして彼等は質問をし、全体が本当に複雑になります。それが我々がそれをした理由です。多くのクラスターを持っていれば、多くを逃すことはありません。

Mandrola: 塩代替物により厳しい健康結果を大幅に削減しました。患者はかなり高い危険率であったことを気付いていました;これは明らかに二次的な予防または高危険率集団でした。患者について教えて下さい。

Neal: 患者は脳卒中歴があるか、または60歳以上あるいは血圧をほとんど管理していない老人のいずれかの成人でした。我々がそのグループを選んだのは、それが恩恵を受ける可能性がある唯一のグループであると信じているからではなく、テストする必要のある疾患が多数あるグループであるからです。率直に言って13 – 14%の比較的控えめな相対危険率の減少でした。

 我々がしてきたことはサブグループの効果を調べるための大きな力でした。したがって、ほとんど高危険率の集団で研究をしながら、我々は脳卒中歴のある人々で効果が見られたが、脳卒中歴のない人でも効果が見られました。我々は高血圧でない人々と同じように高血圧者で効果を見ました。

Mandrola: 私はニュー・イングランド誌の論文と貴方の論文から、平均血圧低下はせいぜい3 mmHg程度であると気付きました。その程度の血圧低下による確かな結果でその様な強力な低下をどの様に説明しますか?

Neal: 人々は危険因子の血圧がどれ程重要であるかを忘れています。病院で座っているときは3 mmHgの収縮期血圧はそれほど大きいようには思わないが、実際には3 mmHgの収縮期血圧低下は非常に強力です。多分、血圧低下効果のほとんどを示すアンジオテンシン阻止剤やアンジオテンシン受容体阻害剤による血圧低下の大規模な試験の幾つかで実際に観察していることとそれほど違いはありません。

 この研究で、我々は脳卒中を研究し、脳卒中は血圧低下に対して独特に応答します。中国では、出血性脳卒中の比率もわずかに高くなります。そして出血性脳卒中は血圧低下に対してもより敏感ですから、これは我々がSSaSSで見た効果であり、他のものではないと確信しています。

Mandrola: 何人かの同僚から、中国農村部の村でクラスターのランダム化を処理する際の運用上の課題と、その結果に自信があるかどうかを尋ねられました。

Neal: 私は結果に本当に自信があります。私は幸運にも中国で25年近く中国の同僚と一緒に現場で仕事をすることが出来ました。我々は本当に強いチームで本当に良い関係を持っています。我々を本当に助けてくれたのは、中国人が地方に国民皆保険制度を持っていることでした。つまり、重篤な事象が発生して病院に入院した場合、その医療費の大部分が払い戻されます。調査対象者の99%以上がこのシステムに登録しているため、人々を追跡し、死んでいるか生きているかを知り、病院に行ったことがあるかどうかを識別することもできます。

 我々は驚異的な追跡をすることが出来ました。この研究では、生命状態の完全な追跡を記録しました。私はこれまでそれを行うことができなかったし、一連の大規模な試験を行ったことがあります。ですから、私はデータの品質にかなり自信を持っています。

Mandrola: 推測してみて下さい。つまり、高血圧と健康における塩とその役割について非常に多くの事が言われてきました。これらの結果がナトリウム論争に告げていることをどのように思いますか?

Neal: 論争は、減塩に関係する危険性があるかどうかについてですが、率直に言って、その多くはかなり弱い観察的な疫学に基づいています。私はその重要性を大きく信じたことはありませんが、それは非常に現実的な関心です。SSaSSは食事中のナトリウムを実際に低レベルに下げなかったために、全ての懐疑論者の質問に答えるつまりはありません。しかし、食事中のナトリウムを減らし、カリウムを追加することは非常に安全で効果的であることを明確に示しました。私はこれが論争の最後の言葉になる事を望んでいますが、そうなることはありません。ほとんどの人が塩を食べ、ほとんどの人が必要以上に塩を食べるので、ここには多くの人々のためにメッセージがあると思います。多くの場合、SSaSS足跡はそれらの全ての人々に関連しています。これは私が塩を食べた場合に行うことであり、私は食べませんが、全ての友人にそれをお勧めします。

Mandrola: 貴方は2つのことをしました:ナトリウムを減らし、カリウムを加えたことです。どちらの効果が優勢であるか、または両方であるかを教えてくれるサブスタディはありますか?

Neal: 我々はその論争を避けるために非常に注意深く論文を書きました。塩代替物を使用したと言ったのですが、それは本当に効果的でした。それが論文からの最も実用的なメッセージだと思うので、そうする必要があります。とは言うものの、我々が調査した集団はかなり多くの塩を食べますが、彼等はそれほど多くのカリウムを食べません。これが、食事中のナトリウム減少と食事中のカリウム補給の両方によって引き起こされた効果であったことは間違いありません。ナトリウム/カリウム比を変えて食べ始めた場合、ナトリウムを摂取することとカリウムを追加することで得られるメリットの場合が異なる可能性があります。これは、我々がこの研究のためにまだ解決していない事ですが、それは確かにすべきことのリストにあります。

Mandrola: アメリカ合衆国やどの国でも、我々のナトリウムは加工食品から来るので、我々は本当にそれを管理できません。この研究が我々の食品供給の観点から政策決定に役立つと思いますか?2,3年前に我々は食品供給の中からトランス脂肪を取り上げ、そのことにより疾患が大幅に減少したようです。加工食品中の塩代替物についても同じ事が言えますか?

Neal: 加工食品業界へのメッセージは間違いなくあると思います。証拠が少し不足していて、そこで多くの論争があったので、彼等もおそらく加工食品中のナトリウム含有量に作用することを特に強く感じていませんでした。これが食品業界および食品業界を規制する人々に新たな推進力を提供することを願っています。貴方は本当にナトリウム摂取量を少なくし、最初に新鮮な果物や野菜の中にある全てのカリウムが加工中に流出しないようにする必要があります。

 それをどの様に規制しますか?ところで、ナトリウムの最大許容量について基準を設定しようとした幾つかの国があります。カリウム量に関して誰かが何かをしたことを私は知りません。もちろん、全体的な健康状態やナトリウムなどの特定の成分について食品に表示することも出来ます。これは可能です。

 発表と実行の観点から、我々が望んでいるより大きな部分は、食事中のナトリウムの50%以上を塩代替物で直接置き換えられる自由に摂取できる塩から来ている低・中所得国に焦点を当てたいと私は思います。そして、そこで鍵となるのは多分、通常の塩と同じ価格で塩を代用することと、スーパーマーケットの棚で広く利用できるようにすることです。

Mandrola: 同僚と私からの最後の質問は塩代替物との味の違いについてです。味に違いがあれば、試験で盲検化に問題があった可能性はありますか?人々が塩代替物を使用していることを知っていた場合、彼等は危険性を減らす他の事をするでしょうか?

Neal: 先ず第一に、これは公開研究でした。塩代替物のみを提供しました。隠すことはありませんでした。コントロール・グループの人々は通常の塩を食べ続けました。その盲検化の欠如を制御するために、我々は難しい結果を測定しました。脳卒中かどうかを間違えることはほとんどありません。しかし、死んだかどうかを間違えることは非常に難しいことです。盲検試験ではなく公開試験であるという事実によって、結果が悪い影響を受けたとは思いません。

 味については、塩化ナトリウム/塩化カリウムの75/25混合物を選択しました。これは通常の塩と一緒に調理すると味が非常に似ているためです。それを多く食べると、少し苦い味がします。幾つかの西洋のスーパーマーケットの棚で入手可能なアミノ酸または幾つかの調味料を含む少し洗練された製品を使用すると、ほとんど同じ味です。味は問題ではないはずで、92%の人々が5年間の終わりに介入グループはまだ固執していました。それを達成した確かな味のない薬物療法の別の試験を私は知りません。

Mandrola: ニール教授、お話しできて本当に光栄です。この本当の重要な研究、おめでとうございます。我々は多くの研究をレビューしますが、これは本当に特別なものです。ですから、我々と同席して頂いてありがとうございました。