どこまで下げるべきか?
専門家達は最近のナトリウム戦争の論文で論争
How Low Should You Go? Experts Debate Latest Salvo in the War on Sodium
By Michael O’Riordan
www.medscape.com 2013.05.16
サンフランシスコ発:今週の初め、科学文献を総合的にレビューした医学研究所(IOM)は連邦の食事ガイドラインで現在示めされ、勧められている低いナトリウム摂取量には十分なデータがない、と結論を下して論争を引き起こした。
高いナトリウム摂取量と心臓血管疾患の危険率とのポジティブな関係を支持する十分なエビデンスはあるが、それらは血圧に及ぼす高いナトリウム摂取量の効果を示す過去の研究に基づいているとIOMは述べたが、中程度のナトリウム摂取量の人々には摂取量を下げるメリットはない。事実、一日のナトリウム摂取量を1,500 – 2,300 mg/dの範囲に下げることを勧められるほどエビデンスは確かではない、とこれまで医学研究所は述べてきた。
アメリカ心臓協会(AHA)、アメリカ医学協会、アメリカ公衆保健協会を含む多くの機関は、アメリカ人は1日当たり1,500 mgのナトリウムを目標にすべきである、と述べているアメリカ心臓協会が決めたナトリウム摂取量の低減を支持している。アメリカ人の食事ガイドライン2010は一般人には1日当たり2,300 mg、51歳以上の老人、アフリカ系アメリカ人、高血圧、糖尿病、慢性腎臓疾患の人々には1,500 mgを勧めている。
それでは2,000 – 2,400 mgのナトリウム摂取量であれば、問題なく生活できる
報告書が出た翌日に、アメリカ心臓協会は、報告書は“不完全で”あるとし、高血圧と過剰なナトリウム摂取量糖濃度関係を示す膨大なエビデンス考慮していない、と医学研究所の報告書を批判した。その上、血圧は厳しい心臓血管疾患の結果の適当な代わりとなる、とアメリカ心臓協会は言った。
アメリカ高血圧協会2013年科学セッション開始前日に医学研究所報告書は発表された。アメリカ心臓協会とアメリカ高血圧協会の元会長であったスザンヌ・オパリル博士(バーミンガムにあるアラバマ大学)は出来るだけ塩摂取量を下げようとする意欲は国民保健メッセージを容易に理解してきたことを述べて、医学研究所報告書に同意することをheartwireに語った。“減塩は科学にあまり基づいていなかった。減塩は比較的容易に行われ、害もないので、我々が人々に減塩するように勧告すべきことを考察することであった。今、新しいことは、厳しい長期間の減塩は有害であることを示唆した研究があることだ。逆の因果関係についての関心のために、エビデンスは完全ではない。塩をあまり食べない人は食べ物もあまり食べないかもしれず、始めたときに病気であったために、あまり食べなかったかも知れない。しかし、それでも、塩摂取量を下げれば下げるほど有益であるというエビデンスはない。”とオパリルは言った。
メッセージの解釈
heartwireへ、医学研究所執筆委員会の会長であるブライアン・ストロム博士(フィラデルフィアのペンシルヴァニア大学)は大量のナトリウムを摂取している人で、特にファーストフードや加工食品を沢山食べ続けている人、あるいは高血圧者はナトリウム摂取量を下げることを目標とすべきである。しかし、心筋梗塞、脳卒中のような厳しい心臓血管疾患または死亡の低下のために“中程度の範囲”を超えてナトリウム摂取量を下げることを支持するエビデンスはない。
現在のアメリカ高血圧協会会長のウィリアム・ホワイト博士(ファーミントンのコネチカット保健センター大学)は、医学研究所の結論をあまり問題にしないが、公衆が新しいメッセージにどのように応答するのかについての関心はある、と言った。“食事でもはや塩について心配する必要はない、と不勉強な仮説を立てるという潜在的な害がある。”とホワイトはheartwireに語った。
医学研究所も報告書は二つのメッセージを持っていることを強調して、そのような解釈について関心がある、とストロムは言った。:第一は、ナトリウム摂取量と心臓血管疾患の危険率との間にはポジティブな関係があると言うことであり、第二は、1日当たり2,300 mg以下にナトリウム摂取量を下げることはこの心臓血管疾患の危険率を減らすことを示す矛盾したデータがあることである。ナトリウム摂取量と重症な疾患の危険率増加とを関係付ける研究がないことは長く論争の話題となってきた。過剰な塩摂取量がヘルスケア費用の増加と同様に世界中で数百万人の死亡の原因であることを多くのモデル化された研究は推定してきた。
政治的な意思のテスト
heartwireの話によると、アメリカ高血圧協会の総会に出席した高血圧症と腎臓疾患の専門家であるジョージ・バクリス博士(イリノイ州シカゴ医科大学)は“政治的な”相違としてアメリカ心臓協会と医学研究所との間の対抗する意見に言及している。彼は医学研究所のデータに賛同しており、レビューを行った研究者達を高く賞賛した。しかし、昨年内に発表された別の医学研究所報告書も非常な低ナトリウム食を支持しているが、ストロムらが主導したこの別のグループはデータの新しい解釈を提供した。
塩摂取量を下げれば下げるほど有益であると言うエビデンスはない
“私は誰にでも2 g以下のナトリウムを処方しない。ある人々は塩を摂取しない。二番目は約2,400 mgの一匙の塩で、2,400 mgはオリジナルなDASH食である。したがって、2,000 – 2,400 mgのナトリウム摂取量であれば、問題なく生活できる。それ以下にしても追加的な利益はなく無意味であり、それ以下にすれば、潜在的に有害である。私は医学研究所の結果に全面的に賛同する。医学研究所の結論に何の問題もない。”とバクリスは言った。
バクリスはストロムやホワイトと同じことを言った。臨床医がナトリウム制限をゆるめれば、水門が開き、食事に危険な量の塩を自由に加えられると感じるようになるのではないかと言う恐れに注目している。バクリスは最も重要なことを次のようにheartwireに語った。低ナトリウム食が高血圧発症を予防すると言う記述は完全に嘘である。低塩食は血圧上昇を遅らせるが、完全に上昇を除くことは出来ない、と彼は言った。高血圧は環境因子によって影響をされる遺伝性疾患であり、高血圧の強い家族歴を持った患者は、家族歴のない人々よりも早くに血圧上昇が始まる。
“高血圧は患者の遺伝的な負荷によって強調される加齢に伴う疾患である。遺伝的な負荷に加えて過剰な塩摂取量はより疾患の発症を強くする。”とバクリスは言った。
マクドナルドで食べる?塩を減らしなさい!
アメリカの疾病予防管理センターが要求した医学研究所報告書は、非常に低い量までナトリウム摂取量を減らすことに伴う潜在的な害を示唆した。例えば、低ナトリウム摂取量は、心不全の治療を積極的に受けている収縮性心不全の中期から後期段階の患者で悪い心臓血管疾患効果の危険性に導くかもしれないと言うエビデンスがある。また糖尿病、慢性腎臓疾患、老人、アフリカ系アメリカ人を含むいろいろなグループで積極的な低ナトリウム摂取量の利益と臨床結果を示す限られたエビデンスもある。エビデンスは一般的な人々と違っているこれらのサブグループのどれかを治療するほど十分に強くはない、と医学研究所は述べている。
“現実的に1日当たり1,500 mgを達成するのは非常に難しい。人口の1%以下が毎日の基準で多くのナトリウムを摂取している。それは容易な食事ではない。したがって、国民の目標としてそのようなゴールを達成することは全く意味がない。”とストロムはheartwireに語った。
血圧低下のためにナトリウム摂取量を1,500 mgに下げる最初の勧告は高度に管理された臨床試験に由来していた、とバクリスはheartwireに語った。その時でも血圧低下は小さく、集団レベルでは有益かもしれないが、個人での影響は無視できる。“その上、その様な少量の塩を摂取すれば、量の変化にとても弱くなる。気温が暑かったり、多く汗をかいたりすれば、摂取量不足になりがちで、摂取量不足になれば、腎臓障害を受け易くなる。”と彼は付け加えた。
heartwireへ、食事を用意する時、個人が従来のナトリウム摂取量を守ることはほぼ不可能である、とオパリルは言った。“体重が400ポンドあり、マクドナルドかケンタッキー・フライドチキンに行ったときは何時でも、塩を多く食べ過ぎることを知っている。これらの加工食品には大量の塩が使われているからで、普通に作られた食事に対するキャンペーンでは正しい。”とオパリルは言った。
非常に高い塩摂取量は血圧を上昇させる傾向がある一方、日本人は最高のナトリウム摂取量であるが、心臓血管疾患の危険率は最低であることにオパリルは注目した。“単純化し過ぎであり、誰にでも1日当たり1,500 mgのナトリウム摂取量にさせようと簡単に試みようとするのは悪い健康メッセージである。”
低ナトリウム食に従う心不全患者
心不全や腎不全患者は一般的に少ない塩摂取量を勧められている。多く摂取し過ぎると、トラブルを起こすと思われているからだ、とホワイトは言った。患者が中程度の塩摂取量よりも高い塩摂取量の食事をする時、血漿量増加と高血圧があるかに起こり易くなるからだ。高血圧または心不全の患者については、食事に塩を加えないように、新鮮食品または冷凍食品を食べるように心がけることを彼は忠告している。高血圧患者には1日当たり全部で3 – 4 gのナトリウムを摂取するように彼は患者に勧めているが、心不全患者には1日当たり2 – 3 gのナトリウムを摂取することを心掛けるように勧めている。
一日1,500 mgは現実的に達成が非常に難しい
“腎臓疾患や心不全のような高血圧関連の疾患患者に話すとき、私が彼等に何時も言っていることは、食事に塩を加えることは最小限のナトリウム量にすることである。最大の給源は食べている食品に既に入っている物で、特にそれが加工食品または包装食品の場合である。したがって、我々は患者に表示を読むように言う。4切れのピザを食べれば、そこには正に2 – 3 gの塩があることを彼らのほとんどは知らない。”とホワイトは言った。
収縮性心不全患者は排泄機能が低く、量の過剰負荷を受け易い、とバクリスは言った。これらの患者は低ナトリウム食を必要とする。しかし、利尿剤使用のために、臨床医は低ナトリウム血症に対して警戒をする必要がある。