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塩欲求を起こさせる脳回路解明

Brain Circuit That Makes You Crave Salt Identified

By Ana Sandoiu

Medical News Today 2017.09.27

 

  塩は必ずしも全て悪いわけではないが、摂取量が多すぎると心臓の健康に大きな影響を及ぼす。しかし、減塩は難しく、新しい研究は塩を摂取しないようにすることは非常に難しくしている神経回路を明らかにした。

 適正な塩摂取量は健康に重要である。塩の中のナトリウムは身体の筋肉を収縮させ、緩和させ、神経間に電気信号を送り、体液をバランスされた濃度に維持するのに役立つ。

 それに加えて、腎臓、水分量、細胞機能間の繊細な相互作用を通して、ナトリウムは血圧を制御する働きをする。

 しかし、多過ぎる塩摂取量は健康に逆効果となる。血液中のナトリウムが多すぎる時には、腎臓は上手く対処できず、水は細胞から血液中に吸い出され、血流中に移動する。

 これにより血液量は増加し、健全な血圧に維持するために心臓と血管は一層激しく働かなければならない。時間が経過すると、動脈が硬化し、心臓発作や脳卒中を起こす可能性を増加させる。

 これらの理由のため、アメリカ人の食事ガイドラインは、中年や老人に毎日2.5 g以上の塩を摂取しないように勧めている。これは大体茶さじ2/3に相当する。しかし、減塩は難しい。新しい研究はどうしてそうなのかを理解するために役立つ。

 マサチューセッツ州ボストンにあるベス・イスラエル・デーコネス医療センターの内分泌学、糖尿病、代謝部からの研究者チームは我々の塩欲求を実証する脳回路を詳しく述べた。

 ブラッドフォード・ローウェル博士が科学者達を率い、ローウェル実験室の博士課程修了の研究者であるジョン・M.レッシュは研究の筆頭者である。彼等の結果はニューロン誌に発表された。

 

ナトリウム欲求を引き起こす神経を研究

 ナトリウム欠乏は二つのホルモン:アンジオテンシンⅡとアルドステロンを増加させることは良く知られた事実である。著者らの説明によると、最近の研究は、アンジオテンシンⅡに応答する神経と同様にアルドステロンに応答する神経は我々の塩欲求を喚起する。

 現在の研究について、研究者達はNTSHSD2神経と呼ばれるアルドステロン応答神経に焦点を置くことを決めた。新しい研究の共著者でもあるジョエル・ギーアリング博士が率いた前の研究者達は、アルドステロン応答NTSHSD2神経はナトリウム欠乏で活性化されるが、これが生じる細胞機構は不明であることを示した。新しい研究でレッシュと同僚が“NTSHSD2神経がナトリウム欠乏によって活性化される細胞と分子機構”を研究しようと決めた理由がこれである。このため、研究者達はこれらの神経を個別に研究するために電気生理学的に脳スライスと単細胞のRNA連続を使った。その後、彼等は遺伝子除去-すなわち、幾つかの遺伝子発現を阻止-を使って、我々のナトリウム欲求を呼び起こすこれらの神経の役割を調べるために化学遺伝子的活性化も共に使った。

 

塩摂取量は‘脳によってしっかりと制御される’

 レッシュとチームは、ナトリウム欠乏ネズミで前に観察されたナトリウム欲求の同じ突然の発現をネズミが経験するかどうかを見ようとする試みでナトリウム欠乏を起こしてないネズミで人工的にNHSHSD2神経を活性化させた。

 NTSHSD2神経はそれらの神経でナトリウム欲求を引き起こすには十分でないことを研究者達は明らかにした。ネズミがナトリウム欲求を示したアンジオテンシンⅡホルモンからの信号と関連した時だけでナトリウム欲求を示す。

 これで研究者達はアンジオテンシンⅡに応答する別の神経の部分集合があると信じた。アンジオテンシンⅡはナトリウム欲求を引き起こす上で重要な役割を果たすようである。

 これらの正確な神経は不明であるが、アンジオテンシンⅡタイプの1a受容体を示す下垂体器官の神経が“ありそうな候補者”であるとチームは信じている。

 “我々はナトリウム欠乏を検出し、欠乏を修正するナトリウムの特別な欲求を引き起こす特別な回路を脳内に明らかにした、”とレッシュは言う。

 “さらに、ナトリウム摂取量が脳によりしっかりと制御されており、これらの神経の機能不全がナトリウムの過剰または過少摂取量を導き、そのことが時間経過で心血管系にストレスをもたらすことをこの研究が明らかにしている。”-ジョン M. レッシュ

 

 “どのようにナトリウム嗜好が働くかに関しては幾つかの疑問が残っているが、主要な疑問はどこでアンジオテンシンⅡが脳内で働き、アルドステロンに応答するNTSHSD2神経と協力して信号がどのように働くかである、”とレッシュは付け加える。“我々の知識におけるこれらのギャップに埋められるように我々は既に研究を始めている、”と彼は結論を下している。