減塩は心血管疾患による死亡低下と関係しているか？
Is Reduced Salt Intake Linked to the Fall in Deaths from Cardiovascular Disease?
By David McNamee
Medical News Today 2014.04.15
BMJ Openに発表された新しい研究によると、過去10年間でイングランドの心血管疾患による死亡率は急速に低下してきた。これは同じ期間の平均塩摂取量の低下と関係しているのだろうか？イギリスのロンドンのクイーン・メリー大学の研究チームが調査している。
2003年と2011年の間で、イングランドの平均塩摂取量は15％低下し、心疾患と脳卒中による死亡は約40％低下した。
これらの印象的な低下は二つの統計値間の確信的な関係を示唆している。しかし、塩摂取量が心疾患と脳卒中についての危険因子、例えば高血圧に寄与している程度は後に異論のある論争を提供している。
最近、メディカル・ニュース・トゥデイはデンマークの研究者達による研究について報告した。彼等は“行き過ぎて非現実的な低さ”としてアメリカの疾病予防管理センターからの塩摂取量勧告値を公言した。
世界人口の95％は既に塩の最適量(毎日6.7 gから12.6 gの間)を摂取しており、疾病予防管理センターが塩摂取量を3.8 gまで下げようとする試みは実際に悪い健康結果と関係しているとその研究は考察した。
疾病予防管理センターは“減塩による血圧低下は死亡率を低下させるだろうという主張を支持できない、そのような研究はないからだ、”と研究の著者であるニールス・グラウダル博士はメディカル・ニュース・トゥデイに語った。
しかし、“血圧自身は心疾患や脳卒中の主要な危険因子であり、”塩摂取量は血圧を上昇させることは知られていると主張するBMJ Openの新しい研究によってこれは論争されている。
研究は次のように主張している：
“減塩は2003年から2011年までにイングランドで血圧低下の重要な
一因であるらしい。結果として、減塩はこの期間に脳卒中と虚血性心疾患
死亡率の低下に重要な役割を演じたようだ。”
メディカル・ニュース・トゥデイへの話として、研究著者のグラハム・マグレガー教授が言うには、アメリカ高血圧学会誌に発表されたデンマーク研究には方法論的な欠陥があり、彼の研究と彼等の研究との間の結果の食い違いの理由となっている。
“これらのコホート研究は本当に時間の無駄で、ほとんど何時も不正確な結論を出している。塩摂取量の測定が不備なので、結論は非常に弱い。”とその研究で用いられた尿テストに言及して彼は我々に語った。“食事推定は見込みがなく、スポット尿はさらに悪い。したがって、測定した推定値は全く駄目だ。”
2003年から2011年までに31,500人以上の成人データを解析した研究
新しい研究についてのデータは31,500人以上の回答者を含むイングランドの保健調査から提供された。また、2003年から2011年の間に集められたほとんど3,000人のランダムに選ばれた人々の尿からの国民食事栄養調査を使って、人口の平均塩摂取量が計算された。
毎日の塩摂取量はこの期間中平均して1.4 g(9.5 gから8.1 gに)低下したことを研究者達は知った。
減塩は食品産業界による通常の目標値改定で達成されたことをグラハム・マグレガー教授は我々に語った。“言い換えれば、少しずつ成分を変えていくこと、あるいは業界に製品中の塩の量を減らすように徐々に要請してきた。”と彼は言った。
しかし、イングランドの成人人口の70％は、イギリスが勧めている１日当たり6 gの塩摂取量以上であり、摂取量の80％は加工食品からであった。
塩摂取量の低下と同様に、調査で平均コレステロール、血圧、喫煙率の低下があった。果物野菜摂取量、そして平均体格指数は両方ともわずかに上昇した。
体重増加を除いてこれらの要因の全ては、脳卒中による死亡数の40％低下と心疾患による死亡数の42％低下に寄与している、と研究者達は考察している。
降圧剤を用いない平均血圧低下は減塩に関係している
しかし、研究は降圧剤を服用していない人々の平均血圧で2.7/1.1 mmHgの低下も記録した。
減塩が全体的な集団の血圧を下げ、そのことが心血管疾患による死亡数の低下に一番大きな影響を及ぼしている、と研究者達は信じている。
しかし、研究が影響を及ぼすかもしれないデータを持っていないいくつかの要因があった。研究に参加した人々の運動量を考慮していない研究があり、個人レベルで参加者の変化を突き止めることは出来なかった。
研究に関してコメントして、イギリス心臓財団の主席栄養士ヴィクトリア・テイラーは、研究で記録されている減塩はポジティブな変化である、と言っている。彼女は次のように付け加えている：
“高塩摂取量と血圧上昇、冠状心疾患や脳卒中についての危険因子を結び
付ける多くのエビデンスがある。この研究は血圧低下を通して減塩戦略が脳
卒中や心疾患による死亡にどのような影響を及ぼしているかを見ているので、
興味深い。”