カリウムを豊富に含む塩代替品は脳卒中関連リスクを低下させる
Potassium-Enriched Salt Substitutes Tied to Lower Stroke-Related Risks
By Kelsey Costa
Medical News Today 2025.02.14
● ナトリウムを減らし、カリウム摂取量を増やすことは、脳卒中のリスクを最小限に抑えるための重要な戦略となり得る。
● 最近の研究によると、通常の塩の代わりにカリウムを豊富に含む塩代替物を使用すると、再発性脳卒中率が14%低下し、脳卒中に関連する死亡率が21%低下する可能性がある。
● 専門家は、塩代替品はシンプルで低コストの介入として脳卒中のリスクを軽減するのに役立つ可能性があるが、健康的な食事とライフスタイルの一部であるべきであると示唆している。
脳卒中はアメリカで依然として大きな健康問題であり、死亡や長期障害の主な原因の1つとなっている。
アメリカ疾病予防管理センターによると、毎年795,000人以上が脳卒中を経験し、ほぼ3分毎に1人が脳卒中で亡くなっている。驚くべきことに、脳卒中の4分の1近くが再発性で、すでに脳卒中を患ったことがある人にも影響を及ぼしている。
脳卒中を予防し、個人や家族への影響を軽減することは非常に重要である。新しい研究は、塩代替品が脳卒中の再発と死亡率を減らす有望な戦略となる可能性を強調し、希望を与えている。
JAMA Cardiologyに掲載されたこの研究は、通常の塩をカリウム強化塩代替品に置き換えることが、低コストで安全かつ効果的な脳卒中介入となる可能性があることを示唆している。
結果によると、通常の塩と比較して、塩代替品を使用した人では再発性脳卒中率が14%大幅に減少し、脳卒中関連死亡率が21%減少した。これらの研究結果は、低ナトリウム塩代替品に関する世界保健機関の新しいガイドラインに沿ったものであり、血管の健康促進における塩代替品の役割を裏付ける過去の研究に基づいている。
カリウム強化塩代替品は再発性脳卒中および死亡リスクを低下させるこの研究は、中国北部の600ヶ所の村で実施された大規模なランダム化臨床試験である塩代替品と脳卒中研究の参加者のサブグループ分析である。参加者を平均約5年間追跡した。
塩代替品と脳卒中研究は、カリウムを豊富に含む塩代替品が、通常の塩と比較して、脳卒中、主要な心血管疾患、死亡率のリスクにどのような影響を与えるかを調査した。塩代替品は塩化ナトリウム75%、塩化カリウム25%で構成されていた。
この特定のサブグループ分析には、脳卒中の既往歴のある15,249人が含まれていた。参加者の平均年齢は64歳で、54.1%が男性であった。研究者は、2023年11月から2024年8月の間にデータを評価した。これらの参加者のうち、再発性脳卒中は2,735件あり、そのうち致命的脳卒中は691件、非致命的脳卒中は2,044件、死亡は3,242件、記録されている。
研究者達は、通常の塩の代わりに塩代替物を使用した人は、再発性脳卒中のリスクが14%減少し、全体的な死亡率が12%減少したことを発見した。結果は出血性脳卒中ではさらに顕著で、30%減少し、脳卒中関連の死亡は21%減少した。
重要なのは、カリウム強化塩代替品の使用によって、高カリウム血症のリスクが大幅に増加しなかったことである。
塩代替品が脳卒中のリスクを下げる仕組み
食生活、特に塩の摂取は、脳卒中のリスクに重要な役割を果たす。通常の塩には高濃度のナトリウムが含まれており、過剰に摂取すると血圧が上昇する可能性がある。
「時間の経過と共に高血圧は血管壁へのストレスを増加させ、血管にプラークや狭窄を生じさせる。」と、この研究には関与していないイェール大学ニューヘブン脳卒中センターの血管神経学助教授Rebecca DiBiase医学博士(公衆衛生学修士)はMedical News Todayに語った。
彼女は、「心臓の血管が狭くなると心臓発作を起こしやすくなり、脳につながる血管や脳内の血管が狭くなると脳卒中を起こしやすくなる。」と説明した。
ラッシュ大学健康科学部ラッシュ健康老化研究所の医師科学者で助教授のThomas M. Holland医学博士(理学修士)もこの研究には関わっていないが、「減塩の代わりにカリウム塩を加えると、ナトリウム摂取量が減り、血管への負担が直接軽減されるため、血圧を下げるのに役立つ。」と指摘した。
また、彼は「カリウム成分には血管拡張作用があり、血圧コントロールをさらに強化し、たすける。」と指摘した。Hollandは、ナトリウムを減らしてカリウムを増やすと、「主要な脳卒中の危険因子である血圧を緩和することで、脳卒中の再発や脳卒中関連死のリスクが軽減される。」と説明した。
以前の研究では、「血圧を少し下げるだけでも(わずか1 mmHg)脳卒中のリスクを5%下げることができる。」と、心臓血管の健康を専門とする登録栄養士のKiran Campbellは指摘する。したがって、彼女は「通常の塩をカリウムが豊富な塩代替品に置き換えることは、脳卒中患者にとって、手間がかからず、効果の高い解決策となる。」と付け加えた。
血管の健康のためにナトリウムとカリウムの比率を改善する
最近の研究には関与していないCampbellは、特に高血圧の場合、体内のナトリウムとカリウムの比率が、ナトリウムまたはカリウム単独よりも血圧に大きな影響を与える可能性があることを強調した。
したがって、カリウム強化塩代替品は役立つ選択肢かもしれないが、Campbellは、心臓の健康を促進し、脳卒中のリスクを減らすために、カリウムを豊富に含む食品を増やし、ナトリウムを多く含む食品を最小限に抑えることにも重点を置くことを推奨している。
彼女は、カリウムを多く含む以下の食品を摂取することを推奨している:
● ジャガイモ(皮付き)
● トマト
● バナナ
● アボガド
● 缶詰または乾燥豆とレンズ豆
● ヨーグルト
● 葉野菜
● 無糖のドライフルーツ
「これらの食品は、ナトリウムとカリウムの比率を改善するだけでなく、心臓血管の健康をさらに促進する必須の食物繊維と植物性栄養素も提供する。」と彼女は説明した。
彼女は、特定の薬を服用している人や「腎臓病や腎機能低下のある人はカリウムの摂取に注意し、カリウムが豊富な塩代替品は使用すべきでない。」と警告した。
Campbellはまた、塩摂取量を減らすための実用的な方法も推奨した:
● 塩の代わりにハーブやスパイスで料理に味付けする
● 高度に加工された便利な食品よりも、新鮮な自然食品を選ぶ
● 食料品の買物の際には「無塩」または低塩分製品を選ぶ
● レストランで食べるのではなく、自宅で食事を用意して、塩含有量を適切に管理する
脳卒中のリスクを減らすための幅広い食生活とライフスタイルの変化
塩代替品は有望であるが、最大の効果を得るには健康的な食生活とライフスタイルの一部にすべきであると専門家は同意している。
DiBiaseは、根拠に基づいたアプローチであるDASHダイエット(高血圧を予防する食事療法)を提案した。このダイエットは、果物、野菜、全粒穀物などの栄養価の高い食品に重点を置き、ナトリウムを最小限に抑える。
「このダイエットはそれほど制限的ではなく、比較的簡単な変更を加えるだけで取り入れることができる。」と彼女は指摘した。
単により健康的な食事と運動習慣を取り入れるだけで、脳卒中や心臓病のリスクを大幅に減らすことができる。」とDiBiaseは述べた。
彼女は最後に、「これをもっと早く教え、人々に毎日こうした変化を実践して貰えば、世界はもっと健康になる。」と叫んだ。