戻る

塩代替品は心臓病、脳卒中、全死因死亡のリスクを低下させる可能性がある

Dietary Salt Substitutes May Lower Risk of Heart Disease, Stroke, All-Cause Death

By Beth JoJack

Medical News Today     2022.08.16

 

  中国で実施された2021年の塩代替品と脳卒中に関連する研究では、塩代替品が心臓発作、脳卒中、早期死亡のリスクを軽減することが判明したが、研究者達はその結果が多の集団にも当てはまるか確信が持てなかった。

  入手可能な証拠の体系的レビューにより、食事性塩代替品が心臓発作、脳卒中、あらゆる原因や心血管疾患による死亡のリスクを低下させることが判明した。

  その有益な効果はおそらく世界中の人々に当てはまるであろう。

最近、Heart誌に掲載された入手可能な証拠の系統的レビューでは、食事性塩代替品が心臓発作、脳卒中、あらゆる原因や心血管疾患による死亡のリスクを低下させることが判明した。

ナトリウムが多くカリウムが少ない食事は血圧を上昇させることが知られている。世界中で約128,000万人が高血圧であるが、診断され治療を受けている人はそのうち42%のみである。高血圧は、世界的に早期死亡の主な原因となっている。

塩代替品では、塩化ナトリウムの一部が塩化カリウムに置き換えられる。

 

塩代替品の効果に関する大規模研究

 オーストラリア・ジョージ・グローバル・ヘルス研究所のエグゼクティブ・ディレクターであり、ニューサウスウェールズ大学シドニー校の医学部教授であるBruce Neal博士は、塩代替物と脳卒中に関する研究を実施した数名の研究者の1人である。2014年に始まり、中国の600の農村から2万人以上の参加者を集めて5年間続いたこの研究は、これまでに実施された中で最大規模の食事介入の1つとして宣伝されている。通常の塩を食事用塩代替品に切り替えると、脳卒中のリスクが12%減少することが分った。研究参加者は、塩代替品の注射による有害な影響を経験しなかった。

 研究者達は体系的な検討を行なって、塩代替品に切り替えることで何かを得られるのは中国人だけではないことを示した。

 「彼等の目標は、さまざまな集団やさまざまな地域にわたって結果にある程度の一貫性があることを示すことであったと思う、」と、カリフォルニアのFountain Valleyにあるオレンジ・コースト医療センターのメモリアルケア心臓血管研究所の非侵襲的心臓病学の心臓専門医兼メディカル・ディレクターであるJennifer Wong博士は述べた。

 

グローバル・データの分析

 研究者達は、塩の代替品を調べた研究のデータベースを調べた。最終的に、彼等はメタ分析に21件の研究を含めた。

 「…我々は基本的にこれらの論文を非常に体系的かつ標準化された方法で検討し、すべての論文から同じ情報を抽出して、それを…にまとめる。それが全体として実際に何を意味するかを理解するための物語の要約である。」とNeal博士はMNTに語った。

 21件の研究はヨーロッパ、西太平洋地域、南北アメリカ、東南アジアで実施された。食事性塩代替品による介入の期間は、1ヶ月から60ヶ月の範囲であった。塩代替品中の塩化ナトリウムの割合は33%から75%まで変化した。塩化カリウムの割合は25%から65%の範囲であった。

 

塩代替品と血圧

 血圧は mmHgで測定される。これには、収縮期と拡張期の2つの数値が含まれる。収縮期は心臓が体中に血液を送り出す力を示す高い数値であり、拡張期は心拍間の短い休止期間中の動脈内の圧力が低いことを示す数値である。

 系統的レビューでは、研究者達の分析により、食事性塩代替品が収縮期血圧を全体的に4.61 mmHg低下させることが示された。拡張期血圧の全体的な低下は1.61 mmHgであった。

 地域、年齢、性別、高血圧病歴、体重、ベースライン血圧、尿中ナトリウムとカリウムのベースライン・レベルなどの要因は、血圧の低下に影響を与えていないようである。研究では、塩代替品によるカリウム摂取量の増加が参加者に害を及ぼすという証拠は示されなかった。

 Wong医師はMNTに対し、腎臓病患者に対するカリウムの過剰摂取量の影響を心配しているため、その話を聞いて感謝していると語った。「したがって、少なくともこの試験で使用されたカリウムの量では悪影響が存在しないことが示された大規模な試験が行なわれて、非常に安心した。」と彼女は述べた。

 

塩代替品の利点の証拠

 Neal医師はMNTに対し、心臓専門医は血圧を下げるために塩を食事性塩代替品に置き換えるよう定期的に患者に指示していると語った。同氏は、塩代替品と脳卒中に関する大規模な研究は、塩代替品の使用が血圧測定用カフの数値以外の結果をもたらすことを示しているため、価値があると付け加えた。

 「非常に大規模な試験で、実際に血圧を下げるだけでなく、脳卒中、心臓発作、死亡率も下げると言う証拠が得られ、国民の認識が大きく変わった。」とNeal博士は説明した。「一部の人々の間では、これである程度決着がついたという見方もあったかもしれないが、政策立案者、塩製造業者、小売業者に現在は行なっていない方法で塩の代替品を実際に推奨し始めてもらうという点で、このような大規模な研究を行なうことは非常に重要である。」

 

世界の塩供給を変える

 Neal博士は今後10年にわたって、世界の人々の塩の摂取方法を変えることに取り組む予定である。

 「世界規模で甲状腺疾患の問題に対処するために、世界の塩の供給は過去数十年間で一度、普通の塩からヨード添加塩に変更された。」とNeal博士はMNTに語った。「したがって、我々が今やりたいのは、世界の塩の供給を通常のヨード添加塩からヨード添加カリウム強化塩に変えることに取り組むことである。」

 健康への影響は甚大になるであろうとNeal博士は信じている。研究者達は、塩代替品と脳卒中に関する研究を進める中で、中国の人々がヨード添加塩を、カリウムを豊富に含む塩に切り替えた場合の影響を計算した。

 「そうすれば、中国だけで毎年100万件の脳卒中や心臓発作を防ぐことができることが分った。」とNeal博士は語った。

 

塩摂取量を少し変える

 Neal博士によると、この点の素晴しい点は、食用塩代替品への切り替えは実行可能な行動変容であるということである。「それらは低コストで人々にとって使いやすい。」と彼は言った。「生活様式を大きく変える必要はない。」

 管理栄養士、栄養士、栄養食事アカデミーの全国メディア広報担当者であるRoxana Ehsaniは、個人が塩の使用を制限し、「主に塩の代替品」に切り替えるよう努めるべきであると言う証拠は明らかであるとMNTに語った。彼女はまた、乾燥ハーブやスパイスは「風味と抗酸化物質を加えるが、ナトリウムは含まない」ため、料理に取り入れることを提案している。

 食品科学・栄養コンサルティング会社Think Healthy Groupの社長兼最高経営責任者Taylor Wallaceは、今回の系統的レビューにより、加工食品中のナトリウム量を減らす必要性を示唆する一連の研究がさらに増えたと述べた。

 彼は、食事中のナトリウムのバランスを取るために、一般的にカリウムの摂取量を増やすことを推奨している。「カリウムは主に野菜や果物などの植物性食品に由来する。」と同氏はMNTに語った。…したがって、塩摂取量を減らすだけでなく、お気に入りの果物や野菜をたっぷり摂取するようにする。」「そうすれば、中国だけで毎年100万件の脳卒中や心臓発作を防ぐことができることが分った。」とNeal博士は語った。