塩:どれくらい多いと多すぎるの?
Salt: How Much Is Too Much?
By Honor Whiteman
Medical News Today 2016.06.15
塩摂取量はアメリカ合衆国で主要な健康関心事となってきた。きちんと整理された研究は食事中の多すぎる塩は心疾患、脳卒中のような危険な疾患の危険率を増加させることを主張してきたので、減塩が勧められている。しかし、塩を摂取する時、どれくらい多いと“多過ぎる”のだろうか?
アメリカ人の食事ガイドラインは、健康的な食事の一環として成人は毎日2,300 mg以下のナトリウムを摂取することを勧めている。しかし、今年の初めに発表された疾患管理予防センター(CDC)からの報告書は、アメリカ合衆国の成人と子供の約90%は勧告されているナトリウム摂取量以上を摂取しており、ほとんどの成人は1日当たり3,400 mg以上を摂取していることを明らかにした。アメリカ人の塩摂取量を減らして“命を救う”ためには行われなければならない必要性がもっとあることを述べて、CDCセンター長のトム・フリーデン博士は報告書の結果を“警報”として印象付けた。そしてアメリカの食品医薬品局も同意しているように見える;今月の始めに、その機関は総塩摂取量の約75%を占める加工食品中のナトリウムを減らすためのドラフト・ガイドラインを提出した。
これらのガイドラインの目標は、高い塩摂取量に関連した健康リスクを下げるために、毎日の2,300 mgの推奨量に消費者の塩摂取量を下げることである。
しかし、そのような量はあまりにも低すぎることを何人かの研究者達は示唆している。事実、その様な少量の塩摂取量は良いよりも悪いかもしれない、とある研究者は言っている。
塩摂取量:利益と危険性
アメリカ心臓協会(AHA)によると、アメリカのアメリカ人のナトリウム摂取量の約90%は塩化ナトリウムで、食卓にあり、保存や味付けのためにしばしば加工食品に加えられる。
体は何某かの塩を必要とすることは良く知られており、神経や筋肉のために塩は重要で、体液の調整に役立っている。
昨年細胞代謝(Cell Metabolism)誌で発表された一つの研究でも、塩摂取量は有害な細菌を防ぎ、感染の危険性を下げることを示唆した。しかし、多くの塩の食べ過ぎは、高い塩摂取量と高血圧、脳卒中、心疾患との関係の研究によると、特に、心臓血管の健康を考えると、重要な健康問題の危険性を増加させる。
今年の始めに農業食品化学誌(Journal of Agricultural and Food Chemistry)で発表された研究でも、高い塩摂取量は肝臓の損傷を引き起こすかもしれないことを示唆したし、一方、別の研究は高い塩摂取量と様々な硬化症の危険率増加と関係付けた。高い塩摂取量が体に有害なとなる根拠はありそうである;多過ぎる塩は体に水分を貯留させる原因となり、そのことは心臓や血管に余分な緊張を与えることになり、心臓血管疾患の危険率を増加させる。しかし、どの時点で塩摂取量を抑えれば我々の健康に役立ち、害を及ぼし始めるのを止められるのだろうか?これは議論すべき問題として残されている。
現在の塩摂取量推奨値は低すぎるか?
現在のガイドラインは毎日2,300 mg以下のナトリウムを摂取することを勧めているが、先月のMedical News Todayに報告された研究は毎日3,000 mgのナトリウムでも低すぎるかもしれず、危険な健康状態になることもあることを示唆した。カナダのマックマスタ―大学の研究者達が行った研究によると、一日に3,000mg以下の塩摂取量の成人は平均的なナトリウム摂取量の人々よりも心臓発作、脳卒中、若死にの危険率が高いことが分かった。その上、1日当たり6,000 mgとして定義される高い塩摂取量で心疾患や脳卒中の危険率が大きい既に高血圧となっている成人だけであることが分かり、チームは高い塩摂取量の健康リスクに疑問を持った。
“我々のデータは高血圧の人々で高い塩摂取量を減らすことの重要性を強調しており、低いレベルの塩摂取量を減らすことを支持していない。”とマックマスターのミカエル・G.デグルート医学校の研究リーダーであるアンドリュー・メンテは結論を下した。
これは現在の塩摂取量ガイドラインに疑問を呈した最初の研究ではない;ニューヨーク市のアルバート・アインシュタイン医科大学のミカエル H.・アルダーマンが行った2014年の研究は、1日当たり2,500 mg以下への減塩は高い塩摂取量と関連した健康状態の危険性を下げることと関係してないことを明らかにした。
‘科学は明らかである-減塩は血圧を下げる’
そのような結果にもかかわらず、1日当たり2,300 mg以下のナトリウム摂取量低減は高い塩含有量の食事の健康リスクを予防できる科学的事実が沢山ある、とFDAは結論を下している。“医学研究所の専門家たちは、1日当たり2,300 mgまでのナトリウム摂取量低下はアメリカ人の血圧低下に有意に役立ち、結局、何十万人もの若者の疾患や死亡を予防できる、と結論を下してきた。”と食品安全性と実用栄養についてのFDAのセンター長であるスーザン・メイネは述べている。
その上、次の10年でアメリカのナトリウム摂取量を約40%低下させることは約50万人の命を救い、約1千億ドルの保健介護費用を減らせると示唆した前の研究を機関は指摘している。
CDCは減量に関するFDAの意見を繰り返している。“科学は明らかである-減塩は血圧を下げ、高血圧は心臓血管疾患の主要な危険因子である。”とフリーデン博士は言っている。
今月の始めにニューヨーク・タイムズで語っている所では、減塩は健康結果を改善することに同意しない多くの研究者達がいるが、彼らが引用している研究は“致命的な欠陥”がある、とフリーデン博士は主張していることを博士は認めた。フリーデン博士がどんな欠陥に言及しているかの説明で、減塩食のネガティブな効果を引用している多くの研究は結論を出すために少数の尿試料しか使用しておらず、結果を誤らせることになる、と2015年の食事ガイドライン諮問委員会のメンバーである栄養学者のシェリル・アンダーソンはワシントン・ポストで語った。その上、これらの研究のいくつかは“逆の因果関係”を導きやすく、そこでは心臓血管疾患を引き起こす低塩食の代わりに、そのような疾患が人々に低塩食を食べさせるようにさせている、とアンダーソンは言った。
塩摂取量についてはさらなる研究が必要
多くの保健専門家たちは国民全体で減塩する政府の戦略を支持しているように思われるが、推奨値を作る前に低塩食の長期間保健効果に関してもっと研究すべきであると言う声もある。その上、多くの研究者達や食品雑貨製造者協会(GMA)を含む機関は、健康にとって最も有益となる正確な塩摂取量を指摘するためにはさらなる研究が必要である、と思っている。“政府内外の人達のように、最適な健康のためのナトリウム摂取量の許容範囲を決めるためにはもっと研究が必要である、と我々は信じている。”とGMAの主席科学役員であるレオン・ブルーナーは言っている。
“あまりにも少ないナトリウム摂取量から来る健康リスクと同様に多過ぎるナトリウム摂取量の人々についての健康リスクを示す研究をこの評価は含めるべきである。”
現在のエビデンスに基づくと、塩摂取量については現在の食事ガイドラインに従うことが高い塩摂取量に関連した健康リスクを減らすためには最良の方法であるように思われる。しかし、そのような推奨値が悪いと証明されるかどうかは今後の問題である。