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減塩は心臓発作、脳卒中、死亡の危険率を上げるかもしれない

Low Salt Intake May Raise Risk of Heart Attack, Stroke, and Death

By Honor Whiteman

Medical News Today 2016.05.21

 

 高い塩摂取量は血圧上昇と心臓問題の大きな危険率と関係してきた。しかし、新しい研究によると、低い塩摂取量はまさしく有害であるかもしれない。

 減塩が平均塩摂取量と比べて心臓発作、脳卒中、死亡の危険率を増加させるかもしれないことを研究は明らかにした、とランセットに発表された。カナダのマクマスター大学ミカエル・G.デグルート医学校の筆頭者アンドリュー・メンテとその仲間たちは、彼らの結果が高い塩摂取量の高血圧者だけが塩摂取量を減らすべきであることを示している、と言っている。さらに、研究者達は毎日の塩摂取量についての現在の勧告値はあまりにも低く設定されているかもしれない、と示唆している。

 アメリカ人は毎日2,300 mg以下のナトリウム(塩1匙に相当)を摂取することをアメリカ人の食事ガイドラインは勧めている。しかし、今年の初めころ出された疾病予防管理センター(CDC)の報告書は、アメリカ人の約90%は勧告限界値以上の塩摂取量であることを明らかにした。多すぎる塩摂取量は高血圧、心臓発作、脳卒中、他の心臓血管疾患の危険率の増加を導くことは広く受け入れられている。しかし、現在のガイドラインで勧められている量まで塩摂取量を下げることは本当にそのような結果をもたらす危険率を下げるのだろうか?これがメンテと仲間たちが研究で計画したことである。

高い塩摂取量の危険率は高血圧者だけに見出された

 チームは49ヶ国に及ぶ130,000人以上のデータを分析した。彼らは参加者の塩摂取量を調べ、これが高血圧者や高血圧者でない人々の間で心疾患や脳卒中の危険率とどう関係しているかを調べた。平均塩摂取量の人々と比較すると、参加者が高血圧者であるかどうかに関わらず、心臓発作、脳卒中、死亡の罹患率は低い塩摂取量の人々で高かった。

 興味深いことに、研究では低い塩摂取量は1日当たり3,000 mg以下の摂取量として定義された。それはアメリカ合衆国の現在の勧告値以上である。さらに、高血圧者だけが1日当たり6,000 mg以上として定義されている高い塩摂取量と関係している危険を受け易いように見えることを研究者達は知った。チームの結果は高血圧者にとっては“非常に重要”である、とメンテは言う。

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“我々のデータは高血圧者で高い塩摂取量の重要性を強調しているが、それは塩摂取量を低い量に下げることを支持していない。減塩は高い塩摂取量の高血圧者を一番の目標としていることを結果は示しているので、我々の結果は重要である。”

アンドリュー・メンテ

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研究は現在の塩摂取量勧告値に疑問

 彼らの結果に基づくと、減塩戦略は高い塩摂取量の高血圧者を目標にすべきである、とメンテは示唆している。さらに、塩摂取量についての現在の1日当たり勧告値はあまりにも低く設定されているかもしれないことを結果は示している、とチームは信じている。

“本研究は塩摂取量と健康との間の関係に関する我々の理解を深め、全国民に減塩を勧める現在のガイドラインの適正性に疑問を呈している。特に高血圧者に焦点を置いて中程度に減塩を勧める手法はより現在のエビデンスに沿っているように思える。”と研究の共著者であるマックマスタ―大学とアイルランド・ガルウェイ国立大学のマーティン・オドンネルは言っている。