中国の科学者達は水を使って電池の効果を高める方法を発見した
Chinese Scientists Have Found a Way to Make batteries More Efficient – by Using Water
By Victoria Atkinson
https://www.livescience.com/ 2024.05.18
中国の研究者達は電解液に臭化物を加えることで、水性電池のエネルギー容量を高める方法を発見した。
中国の研究者達は、新しい水ベースの電池設計は従来のリチウム・イオン電池よりも安全でエネルギー効率が高いと主張している。
この水電池の寿命は1,000回以上の充放電サイクルである、とチームは4月23日、Nature Energy誌で報告した。
電池の最も重要な特性に1つは、エネルギー密度、つまり電池のサイズや重量に対するエネルギー量である。リチウム・イオン電池は特にエネルギー密度が高く、電気自動車や携帯機器で広く使用されている。しかし、電解質と呼ばれる液体成分には通常、システムが過熱すると発火または爆発する可能性のある有機化学物質が含まれている。有機化学物質が含まれている。
対照的に、水ベースの電池ははるかに安全であるが、動作電圧範囲が狭いため、一般的にエネルギー密度が低くなる。しかし、水電解質内で起こる化学反応をハッキングすることで、リチウムのチームは水系電池のエネルギー密度と全体的な性能の両方を劇的に向上させた。
電解液は実際には多くの異なる化学物質の混合物であり、それぞれが電池性能の異なる側面を制御する。メディエーターと呼ばれる添加剤は、一連の補助的な酸化還元反応を起こすことで、溶液全体で電子を移動させる。
水性電池の場合、最も一般的なメディエーターはヨウ素である。一連の個別の酸化還元反応を通じて、このハロゲン元素はサイクル毎に最大6個の電子を移動し、ヨウ化物(I-)をヨウ素酸塩(IO-3)に変換できる。しかし、反応速度が遅く、不要な副産物が発生するため、この添加剤を使用すると通常、エネルギー効率の低い電池になる。
この媒介酸化還元シーケンスの効率(したがって全体のエネルギー密度)を改善するために、中国科学院のXianfeng Liと同僚達は、酸性溶液中にI-イオンと臭化物(Br-)イオンの両方を含む混合ハロゲン電解質を開発した。電子を移動できる別のハロゲン元素である臭素を導入することで、この困難な化学反応の足がかりが提供され、反応速度が上がり、厄介な副産物の形成が抑制された。
詳細な電気化学分析と分光学的分析により、研究チームは臭化物イオンがヨウ化物とともに酸化還元反応に参加し、重要な中間体を形成して電子移動シーケンスの速度と効率を高めていることを実証した。
その後、研究者達はこの「ヘテロハロゲン」電解質が、負極(アノード)として異なる材料を使用したいくつかの一般的な電池タイプの全体的な性能に与える影響を評価するための一連の実験を開始した。
この新しい電解質は、電動工具などの高エネルギー携帯機器によく使用されるカドミウム・アノードと併用した場合、標準的なリチウム・イオン電池と比較してエネルギー密度がほぼ2倍になった。一方、発電所や再生可能エネルギー発電機に電力網のエネルギー貯蔵用として取り付けられることが多いバナジウム・システムは、特に長い寿命を示し、1,000回を超える充放電サイクルにわたってピーク性能を維持した。
どちらの場合も、研究チームはエネルギー効率が向上したと報告し、水性ヘテロハロゲン・システムは現在のリチウム・イオン技術と比較してコスト競争力があると計算した。
研究チームは、この大幅な性能向上により、水性電池が既存のシステムに代わるより安全で高エネルギー密度の代替品として広く使用されるようになることを期待している。