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CATL- 40°Fでも作動する第二世代ナトリウム・イオン

電気自動車電池を発表

中国最大の電池メーカーが、極度の温度に耐えられる新しいナトリウム・イオン電池を開発中。

CATL Announces 2nd-Gen Sodium-Ion battery Theat Works Even at -40 °F

By Chris Young

https://interestingengineering.comより 2024.11.19

 

中国最大の電池メーカーであるContemporary Amperex Technology Co., Limited CATL)は、同社のナトリウム・イオン電池が前例にない極寒の天気でも性能を発揮できると主張している。

 

世界若手科学者サミットで講演したCATLの主任科学者Wu Kaiは、国営企業の第二世代ナトリウム・イオン電池は華氏マイナス40度でも正常に放電できると主張した。

中国現地メディアの報道によると、この新型電池は2025年に中国で発売され、2027年には大量生産される予定。

 電池の耐久性は電気自動車普及の大きな障害であり、この新開発により、より多くのドライバーが電気自動車に乗り換えるようになる可能性がある。

 

CATLのナトリウム・イオン電池の利点

 ナトリウム・イオン電池はリチウム・イオン電池と同様に機能し、充電と放電のサイクル中に電荷を運ぶイオンが正極と負極の間を移動する。しかし、ナトリウム・イオン電池はいくつか重要な領域で優れている。エネルギー効率が高く、充電が速いため、大きな可能性を秘めている。また、極端な温度にも安定しており、熱暴走のリスクが少なく、過熱しにくい。

 重要なのは、ナトリウムが自然界に豊富に存在するため、これらのタイプの電池はコスト効率が非常に高いことである。また、リチウム、コバルト、または火災の際に汚染ガスを放出するその他の類似の材料を必要としないため、毒性も低くなる。

 InsideEVがレポートで指摘しているように、中国ではすでにナトリウム・イオン電池を搭載した電気自動車の生産が始まっている。これには、JACが製造したYiwei EVJMEVEV3などが含まれる。

 CATLWu Kaiによると、同社の新しいナトリウム・イオン電池は来年市場に投入されるときには最も耐久性の高いものになるという。上に挙げた多くの利点の中でも、新しい電池は極度の温度での安定性に関して限界を押し広げている。

 これらの電池は華氏マイナス40度の温度に耐えられるため、この電池を使用する電気自動車は極端な状況でも走行距離が失われることはない。多くの人が電気自動車はこのような状況では信頼性ガ低いと懸念しているため、これは電気自動車普及の大きな障害に対応するものである。

 

リチウム・イオンの重要な限界を克服

 リチウム・イオン電池は、寒くても暑くても、極端な温度の影響に苦しむ。これは、リチウム・イオンが通常の温度で自由に動き回ることができなくなるためである。最終的には、リチウム・イオンが受ける抵抗により、電気自動車の走行距離が短くなり、充電時間が長くなる。

 ナトリウム・イオン電池はリチウム・イオン電池よりも優れているが、規模の経済性により、後者の方が入手しやすいままである。

 リチウム・イオン電池は1990年代から大量生産されているが、科学者達は最近になってようやくナトリウム・イオンのエネルギー貯蔵能力を再発見した。これは、製造インフラが充実しており、リチウム・イオン電池のコスト削減に貢献していることを意味する。

 ナトリウム・イオン電池の明らかな利点にもかかわらず、克服すべきハードルがまだいくつかある。まず、メーカーは電池の開発規模を拡大する必要がある。ナトリウム・イオン電池の化学的性質に関する問題も存在する。

 9月、アメリカエネルギー省のアルゴンヌ国立研究所の科学者達は、ナトリウム・イオン電池が400サイクルに耐えられる新しいカソードを開発したと発表した。

 これは、ナトリウム・イオン電池をリチウム・イオン電池に代わる実行可能でコスト効率の良い代替品にするための重要なステップになると研究者達は述べている。