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中国:世界最大のナトリウム・イオン電池ユニットが

1日当たり12,000世帯に電力を供給

中国は、100 MWhの蓄電解決策が将来的に2倍になる予定であると主張している。

China: World’s Largest Sodium-Ion Battery Unit to Power 12,000 Homes a Day

By Ameya Paleja

https://interestingengineering.comより 2024.07.03

 

100 MWhの容量を誇る世界最大のナトリウム・イオン蓄電池が、中国湖北省銭江市で稼動していると報じられている。

 

 国営発電会社である大唐集団は6月末にこの蓄電池を送電網に接続した。世界が化石燃料からの脱却を目指す中、太陽や風をエネルギー源として利用するには、電池ベースのエネルギー貯蔵解決策が不可欠である。風力タービンやソーラーパネルで稼動する大規模な再生可能エネルギー発電所では、発電の断続性を乗り越え、将来の使用に備えて蓄電するために、同等の規模の貯蔵解決策が必要である。

 リチウム・イオン電池は、その高い貯蔵密度により、電子機器や電動自転車のエネルギー貯蔵に最適な解決策となっている。その用途は再生可能エネルギーにも拡大しているが、大規模なエネルギー貯蔵には巨大な電池パックが必要である。

 再生可能エネルギー発電所は過酷な環境に設置されているため、電池パックも過度の熱にさらされ、発火の危険、最適とは言えない貯蔵性能など、リチウム・イオン電池の問題が悪化する。

 これが、科学者達がリチウム・イオン蓄電のよりユーザー・フレンドリーな代替手段を模索し、ナトリウム・イオン電池に拡張可能な代替手段を見付けた理由である。

 

ナトリウム・イオン電池の利点

 リチウム・イオン電池と比較すると、ナトリウム・イオン電池はさまざまな面で有利である。ナトリウムから作られており、豊富に存在し、リチウムに必要な大規模な採掘よりも入手が容易である。

 需要の増加により、リチウムの価格は史上最高値に達しており、より環境に優しいエネルギー源への移行が困難になっている。豊富に存在し、より安価な供給源からの代替品があれば、移行は容易になる。

 さらに、ナトリウム・イオン電池は安全性の記録が優れており、極低温や高温でも問題なく動作する。

 「マイナス20 ℃でも85%の完全放電率を保証できる。これは他の電池の追随を許さない。」と、湖北省大唐ナトリウム・イオン・エネルギー貯蔵プロジェクト・マネージャーの崔永楽はESS Newsに語った。

 「また、60 ℃の高温でも1,500回の充電と放電サイクルを保証することができる。」100 MWhプロジェクトは、この技術が拡張可能であることも実証している。

 

世界最大のナトリウム・イオン電池

 世界最大のナトリウム・イオン電池システムは、中国に拠点を置くサプライヤーであるHiNa BATTERYが製造した185 Ahのナトリウム・イオン電池を使用して構築された。このシステムは、42個の電池貯蔵容器と21セットのブースト・コンバーターで構成されている。

 興味深いことに、これらのシステムを電力網に接続することで、HiNa BATTERYは世界最大のナトリウム・イオン電池システムとしての記録を更新した。この記録は、中国南西部の南寧にある10 MWhユニットで保持された。このユニットは今年5月に稼動を開始した。

 銭江施設では、ナトリウム・イオン電池システムが1回の充電で最大10kWhの電力を蓄え、12000世帯の日常的なニーズに供給する。この規模では、施設は年間13000トンに相当する炭素排出量の回避に貢献する。

 南寧施設は将来的に100 MWhのエネルギー容量まで拡大すると予想されているが、銭江施設も次の段階で200 MWhの容量まで拡大するとCNEVPostは報告している。

 これらのユニットの貯蔵容量の増大は、ナトリウム・イオン電池がもはや研究室に限定されず、市場で存在感を示しつついあることを示している。