ナトリウム・イオン電池が458 Wh/kgを達成:
画期的な材料がリチウムとの差を縮める
この材料により、ナトリウム技術はリチウム・イオン電池との競争に近づく。
Sodium-Ion Batteries Hit 458 Wh/kg: Breakthrough Material Closes Gap with Lithium
By Prabhat Ranjan Mishra
https://interestingengineering.comより 2024.12.22
研究者達はナトリウム電池の効率を高めることができる新しいタイプの材料を開発した。ヒューストン大学のカネパ研究所を含む学際的な研究者の国際チームによって開発されたこの材料は、ナトリウム電池のエネルギー性能を高め、より持続可能で手頃なエネルギーの未来への道を切り開く可能性がある。
研究者達は化学式NaxV2(PO4)3のリン酸バナジウム・ナトリウムという新素材が、エネルギー密度を15%以上高めることで、ナトリウム・イオン電池の性能を向上させることを強調している。
エネルギー密度の向上
この材料は従来のナトリウム・イオン電池の396 Wh/kgに比べて458 Wh/kgとエネルギー密度が高く、ナトリウム技術をリチウム・イオン電池に近づけている。
ハワイ大学のRobert Welch電気・コンピューター工学助教授で、カネパ研究所の主任研究員であるPieremanuele Canepaは、ナトリウムはリチウムより約50倍安く、海水から採取することもできるため、大規模なエネルギー貯蔵にとってはるかに持続可能な選択肢になると述べた。
「ナトリウム・イオン電池はより安価で製造が容易なため、リチウムへの依存を減らし、世界中で電池技術をより利用しやすくなる可能性がある。」
電池のプロトタイプ
研究者達はまた、新しい材料であるNaxV2(PO4)3を使用した電池のプロトタイプを作成し、エネルギー貯蔵の大幅な改善を実証した。プレス・リリースによると、NaxV2(PO4)3は「Na超イオン伝導体」またはNaSICONと呼ばれるグループの一部であり、充電および放電中にナトリウム・イオンが電池内外にスムーズに移動できるように設計されているとのことである。
この材料はナトリウムを独自に処理し、単相システムとして機能できる。つまり、ナトリウム・イオンを放出または吸収しても安定している。研究者達によると、これによりNaSICONは充電中および放電中に安定を保ちながら、金属ナトリウムに対して3.7 Vの連続電圧を供給できる。これは既存の材料の3.37 Vよりも高い。
研究者達はまた、この差は小さいように見えるかもしれないが、電池のエネルギー密度、つまり重量当りのエネルギー貯蔵量が大幅に増加すると主張している。効率の鍵となるのはバナジウムで、バナジウムは複数の安定状態で存在できるため、より多くのエネルギーを貯蔵・放出できる。
「連続的な電圧変化が重要な特徴である。これは、電極の安定性を損なうことなく、電池がより効率的に機能できることを意味する。これはナトリウム・イオン技術にとって画期的なことである。」とCanepaは語った。