ナトリウム電池の商業化は、新しいアノード材料製造方法
により促進される
マイクロ波誘導加熱技術により、硬質炭素を迅速かつ簡単に製造できる。
Sodium Batteries’ Commercialization Gets Boost with New Method to Make Anode Material
By Prabhat Ranjan Mishra
https://interestingengineering.comより 2024.10.13
研究者達は、ナトリウム・イオン電池のアノード材料を数秒で製造する新しい方法を開発した。
韓国電気工学研究院(KERI)のナノハイブリッド技術研究センターの研究チームが開発したこの画期的な技術により、マイクロ波誘導加熱を使用して、ナトリウム・イオン電池用の硬質炭素アノードを30秒という超高速で製造することが可能になった。
Kim博士とPark博士が率いる研究チームは、まずポリマーと少量の高導電性カーボン・ナノチューブを混ぜてフィルムを作成した。研究によると、次にフィルムにマイクロ波磁場を適用してカーボン・ナノチューブに電流を誘導し、わずか30秒でフィルムを1,400℃以上に選択的に加熱した。
マイクロ波帯域の電磁場をナノ材料に適用する
KERIは長年の研究により、マイクロ波磁場を使用して金属などの導電性薄膜を均一に熱処理する技術を開発した。
この技術は、ディスプレイや半導体などの産業プロセスで大きな注目を集めている。同社のナノハイブリッド技術研究センターは、国内有数のカーボン・ナノマテリアル技術センターとして認められている。プレスリリースによると、研究者達はセンターの能力を活用してナトリウム・イオン電池のアノード材料に着手し、有望な結果を達成した。
チーム独自の「マルチフィジックス・シミュレーション」技術により、アノード材料を簡単に開発できた。
Chemical Engineering Journalに掲載された研究によると、この方法により、マイクロ波帯域の電磁場がナノ材料に適用されたときに発生する複雑なプロセスを深く理解することができ、ナトリウム・イオン電池のアノード材料を調製するための新しいプロセスが生み出されたという。
ナトリウム・イオン電池はより安全で、機能も良好
Jong Hwan Park博士は、最近の電動自転車の火災により、より安全で、より寒い条件でも機能するナトリウム・イオン電池への関心が高まっていると述べた。しかし、Park博士は、アノードの炭化プロセスはエネルギー効率とコストの点で大きな欠点であると主張した。
「当社のマイクロ波誘導加熱技術により、硬質炭素を迅速かつ容易に製造することができ、ナトリウム・イオン電池の商業化に貢献できると考えている。」とDaeho Kim博士は述べている。
硬質炭素は、ナトリウム・イオン電池の優れたアノード材料である。しかし、硬質炭素粉末の炭化と造粒には複雑なプロセスが伴い、かなりのエネルギーを必要とする。
KERIは、この技術が企業の関心を引くことを期待している
「ここで、ポリマー/単層カーボン・ナノチューブ・フィルム用の新しいマイクロ波誘導加熱プロセスを介して、ナトリウム・イオン電池用の硬質炭素アノードを製造するための簡単な方法を開発した。硬質炭素アノードのスケーラブルなロール・ツー・ロール生産のためのマイクロ波誘導加熱の持続可能性は、共振器よりも大きい円形シートを使用した局所加熱テストによって検証された。」と研究者達は述べている。