柔らかい金属固体電池は生物学を模倣し、EVを1回の充電で
500マイル走行させる可能性を秘めている
Soft Metal Solid-State Battery Mimics Biology, Could Drive EVs 500 Miles per Charge
By Aamir Khollam
https://interestingengineering.comより 2025.06.09
固体電池が軽量化された。ナトリウム-リチウムの画期的な進歩は、リチウム・イオン電池よりも長寿命となり、スマートフォンやEVなどに革命をもたらす可能性がある。
ジョージア工科大学の研究者達は、固体電池の未来を一変させる可能性のある新たな金属の組み合わせを開発した。
リチウムと、柔らかく意外な元素であるナトリウムを混合することで、研究チームはこれらの電池の動作に必要な圧力を大幅に低減する方法を発見した。
この革新は、スマートフォンから電気自動車まで、あらゆる機器の電源として、より軽量で長寿命化につながる可能性がある。
この調査結果は、ジョージア工科大学の機械工学部と材料科学工学部の教授であるMatthew McDowellの研究室によって発売された。
彼のグループは、ブレークスルーに関する特許を申請した。
全固体電池における圧力問題
全固体電池は、リチウム・イオン電池よりも高いエネルギー密度と優れた安全性を約束する。可燃性液体ではなく固体電解質を使用しているため、より安定している。
しかし、動作させるのはしばしば高圧が必要である。その圧力をかけるために必要な金属板は電池自体よりも重く、かさばることがよくある。
「全固体電池は通常、この高圧をかけるために金属板を必要とする。その板は電池自体よりも大きくなることがある。」とMcDawellは述べ。「そのため、電池は重く、かさばりすぎて、効果的に機能しなくなる。」
長年の研究と期待にもかかわらず、この課題が固体電池の普及を阻んできた。
なぜナトリウムなのか?
ジョージア工科大学の研究者Sun Geun Yoonが率いる研究チームは、リチウムにナトリウムを加えることで状況が一変することを発見した。ナトリウムは電池の電気化学プロセスでは不活性であるが、その軟らかさが重要な役割を果たす。
「金属ナトリウムの添加が画期的な進歩である。」とMcDawellは述べた。「ナトリウムは電池システム内で活性ではないため、直感に反するように思えるが、非常に柔らかいため、リチウムの性能向上に役立つ。」
ナトリウムの柔らかさは誇張ではない。制御された環境であれば、手袋をはめた指で金属に押し付けただけで跡が残るほどである。リチウムと組み合わせると、低圧力で容易に変形し、固体電解質との接触状態が良好になる。これにより、電池全体の性能が向上する。
生物学から借用した概念
ナトリウム・リチウム電池の性能が優れている理由を解明するため、研究チームは生物学に着目した。具体的には、形態形成(生物の構造が局所的な条件に応じて進化する仕組み)と言う概念を用いた。
形態形成は材料科学では希であるが、今回のケースでは、ナトリウムとリチウムの相互作用がこのパターンを示した。研究者達は、ナトリウムが可変可能な相のように振る舞い、電池使用中の構造変化に適応する様子を観察した。
McDowellのチームは、他の大学と共同で、国防高等研究計画の資金援助を受けたプロジェクトの一環として、このコンセプトを開発した。
より長寿命コンパクトな電池へ
この研究の意義は広範囲に及ぶ。携帯電話の電池寿命を大幅に延ばしたり、1回の充電で500マイル(約800 km)走行可能な電気自動車の実現につながる可能性がある。
エネルギー容量を犠牲にすることなく圧力要件を低減できることは、固体電池の大規模化に新たな可能性をもたらす。
実用化には依然として課題が残っているが、McDowellのグループは新材料の試験を続けている。彼等の目標は、固体電池をリチウム・イオン電池の標準規格とより競争力のあるものにすることである。もし成功すれば、この転換は電池技術に大きな飛躍をもたらす可能性がある。