中国のEV電池大手、リチウムの優位性に対抗する310マイル
走行可能なナトリウム・イオン電池を発表
China’s EV Battery Giant Reveals 310-Mile Sodium Battery to
Rival Lithium Dominance
By Mrigakshi Dixit
https://interestingengineering.comより 2025.04.22
新型ナトリウム・イオン電池は、CATLの新ブランド「Naxtra」の傘下に入る。
中国の電池大手、CATLのおかげで、電気自動車業界は大きな進歩を遂げようとしている。世界有数の電気自転車用電池メーカーであるCATLが、業界を一変させる新たなナトリウム・イオン電池を発売した。
CATLはナトリウム・イオン電池の生産開始に向けて準備を進めており、6月に生産を開始する予定であると報じられている。この新型ナトリウム・イオン電池は、CATLの新ブランド「Naxtra」の傘下となる。同社の最高マーケティング責任者であるKuo Jianは、月曜日に上海で行なわれた記者会見で、年末までに量産体制を確立すると述べた。
CATLは、テスラ、メルセデスベンツ、フォルクスワーゲン、BMWといった大手自動車メーカーにとって重要な動力源である。ロイター通信によると、CATLの電池は現在66ヶ国以上で走行する1,832万台以上の自動車に搭載されている。
安全なナトリウム・イオン電池
長らく主流のリチウム・イオン技術の有望な代替技術として注目されてきたナトリウム・イオン電池は、低コストと安全性の向上を期待できる。
リチウム・イオン電池は、損傷時に発火する危険性があるため、危険な場合がある。これに対し、ナトリウム・イオン電池はより安定的で安全なエネルギー貯蔵方法を提供する。
AFP通信によると、Naxtraの最初のユニットは小型で、大型車のスターター電池として使用される予定である。この初期段階に続き、同社は今年12月までに、電気自動車とハイブリッド乗用車の両方に搭載可能な、より大型のナトリウム・イオン電池の生産を開始する予定である。
Naxtra電池ラインは、電気自動車に1回の充電で500 kmの走行距離を提供すると期待されている。
コストは非公開
SCMPによると、CATLの新型ナトリウム・イオン電池のエネルギー貯蔵密度は175 Wh/kgで、電気自動車で一般的に使用されているリン酸鉄リチウム電池の185 Wh/kgに匹敵する。しかし、CATLはこの新型電池の予想コストや生産能力については明らかにしていない。
CATLのCEO、Robin Zengは、ナトリウム・イオン電池が市場におけるリチウム、鉄、リン酸電池の半分に置き換えると予想していると述べた。
興味深いことに、CATLの新型ナトリウム・イオン電池は、低温下での車両の始動性を大幅に改善すると期待されている。これは、低温下での始動性の低下や故障に悩まされる既存の電池にとって共通の課題となっている。
この耐寒性は、低温が頻繁に発生する地域にいて大きなセールスポイントとなる可能性がある。
上海モーターショーの直前に、CATLのShenxing電池の第二世代を発表した。この急速充電対応の高性能電池は、Zeekr、Nio、Avatrといった中国ブランドの車67台に今年搭載される予定である。報道によると、この電池の航続距離は800 kmである。さらに、CATLの電池交換インフラの発展を戦略的に活用している。最近、電気自動車メーカーのNioは、交換可能な電池技術を搭載した新型電気自動車「Firefly」を発表した。
このアプローチにより、電気自動車の燃料補給時間が短縮され、消費者の航続距離に対する不安を軽減できる可能性がある。
さらに、同社は上海モーターショーで革新的なデュアル電池システムを発表した。同社のテクニカル・ディレクターであるGao Huanによると、このシステムは、2つの電池のうち1つが故障した場合でも動作を継続できるため、特に電気自動車の安全性を高めるという。
しかしながら、同社はアメリカが中国からの輸入品に課した大幅な関税の潜在的な逆風に直面している。これらの関税は、主要な電池部品のコスト上昇につながる可能性がある。結果として、電気自動車の全体的な価格がアメリカ市場における競争力に影響を与える可能性がある。