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デンマークの溶融塩電池は、90%の効率で電力を供給できる

可能性がある

Denmark’s Molten Salt Battery Could Power 100,000 Homes with 90 Efficiency

By Aman Tripathi

https://interestingengineering.comより   2025.03.28

 

充電プロセスでは、電気を熱に変換し、溶融塩の温度を600 ℃まで上昇させる。

 

 1GWhの溶融塩貯蔵システムの開発により、大規模な再生可能エネルギー貯蔵分野は飛躍的に発展する見込みである。このシステムは、最大90%の効率で約10万世帯に10時間分の電力を供給できるようになる。

 この画期的な成果は、デンマークの熱エネルギー貯蔵開発企業Hyme Energyとスイスの流体エンジニアリング専門企業Sulzerの協業によるものである。

 

 「溶融塩を用いたエネルギー貯蔵は、熱回収、再生可能エネルギー貯蔵、小型モジュール炉など、産業の脱炭素化とエネルギー転換の加速に貢献する魅力的な機会である。」と、Sulzerのアドバンス・エンジニアリング・マネジャーであるBenoît Martinは述べている。

 「Hyme Energy社と協力し、この革新的な技術をさらに検証し、すべての人々の利益となるよう尽力できることを大変嬉しく思う。」

 この提携は、20244月にデンマークのエスビャウでMOSS実証プラントが無事に開所したことを受けてのものである。この施設は、最高600 ℃の温度で溶融塩に再生可能エネルギーを貯蔵するというコンセントを実証した。

 「当社の技術は既存のインフラと統合できるように設計されており、持続可能なエネルギーへの移行を目指す産業にとって導入が容易になる。」と、Hyme Energy社のCEO兼共同創設者であるAsk Emil Løvchall-Jensenは述べている。

 

溶融水酸化物塩を用いたエネルギー貯蔵

 この技術は、塩素製造のコスト効率に優れた副産物である溶融水酸化物塩を利用し、再生可能エネルギー源から回収したエネルギーを貯蔵する。

 2タンク貯蔵設計と独自の水酸化物塩腐食制御技術を駆使することで、再生可能エネルギー源からの電力を溶融水酸化物塩に最大2週間貯蔵する。

 充電時には、電気が熱に変換され、溶融塩の温度は600 ℃まで上昇する。排出時には、高温の溶融塩を蒸気発生器に循環させ、高温の蒸気を発生させる。この蒸気は産業プロセスで直接利用され、タービンを駆動して発電に利用される。

 Hyme Energy社によると、このシステムは産業用熱利用で約90%、コジェネレーションで80%から90%の効率を達成している。発電のみの場合、効率は40%と推定されている。

 「当社の信頼性の高い解決策は、断続的な再生可能エネルギーを安定した柔軟なグリーン熱に変換し、妥協のない脱炭素化を可能にする。」とHyme Energyは述べている。

 

世界最大の産業用熱エネルギー貯蔵システム

 Sulzerは、中国の100 MW集光型太陽光発電プロジェクトへのポンプ供給を含む、溶融塩ポンプ開発における豊富な経験を有しており、Hyme Energyの商業化への取り組みを強力に支援するであろう。

 「MOSSプラントは20244月の稼動開始以来、良好な成果を上げている。現在、Hyme Energy社と協力し、システムのさらなる最適化、解決策の競争力向上、そして強力なサプライチェーンの構築に取り組んでいる。」とMartinは付け加えた。

 Hyme Energy社は現在、デンマークのホルステブロに世界最大級と謳われる200 MWhの産業用熱エネルギー貯蔵システムを開発中である。このシステムは、デンマークとスェーデンの乳製品協同組合であるArla Foods社のプロセス熱コストを年間約300万ユーロ(310万ドル)削減すると予測されている。