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わずか6分で80%充電:新型ナトリウム・イオン電気自動車電池は3,000回以上の充電サイクルを達成

80% in Just 6 Minutes: New Sodium-Ion EV Battery Achieves 3,000+ Charge Cycles

By Kapil Kajal

https://interestingengineering.comより   2025.05.19

 

インドの科学者達は、新しいナトリウム・イオン電池によって、より安価で安全な選択肢を発見したかもしれない。

 

 世界は都市の電気自動車から村の太陽光発電パネルまで、クリーン・エネルギーへの移行を急速に進めており、より優れた電池への需要が高まっている。しかし、現在のリチウム・イオン電池は高価で、希少な原材料に依存している。

 インドの科学者達は、新しいナトリウム・イオン電池によって、より安価で安全な選択肢を発見したかもしれない。

 

わずか6分で80%充電

 インドの国営科学技術省傘下のJawaharlal Nehru先端科学研究センターの研究チームが、新型ナトリウム・イオン電池を開発した。

 もの電池は6分で最大80%まで充電でき、3,000回以上の充電サイクルに耐える。これは、他のほとんどのナトリウム・イオン電池よりもはるかに高速で長寿命である。

 研究チームは、Premkumar Senguttuvan教授と博士課程の学生であるBiplab Patraによって率いられている。彼等は、この電池用に特殊な負極材料、Na1.0V0.25Al0.25Nb1.5(PO4)3を開発した。

 研究者達は、3つの重要な方法で電池の性能を向上させた。まず、粒子をナノスケールという極めて小さなサイズにした。次に、各粒子を薄い炭素層で包んだ。最後に、材料に少量のアルミニウムを添加した。これらの工程により、電池の充電速度が向上し、長期間にわたってより安全に動作できるようになった。

 資源が限られているリチウムとは異なり、ナトリウムは安価で、世界中の国々で豊富に存在する。そのため、ナトリウム・イオン電池はより優れた選択肢となる。また、この新しい電池は、リチウム・イオン電池によくある火災や急速な劣化といったリスクも回避する。

 科学者達は、電気化学サイクルやコンピューター・シミュレーションといった高度な手法を用いて、この電池の性能を試験・確認した。

 

電気自動車用ナトリウム・イオン電池

 この画期的な技術は、多くの分野で活用できる可能性がある。これらのナトリウム・イオン電池は、電気自動車の動力源として、太陽光発電所や風力発電所のエネルギー貯蔵、ドローンの駆動、そして電力網が未整備の農村部の家庭への電力供給など、さまざまな用途が考えられる。

 この技術は、クリーン・エネルギーを全国で手頃な価格で利用できるようにすることに貢献する。

 世界的に、ナトリウム・イオン電池への関心が高まっている。中国企業のCATLは最近、「Naxtra」と呼ばれるナトリウム・イオン電池を発売した。この電池は、最大500 kmの航続距離を持つ電気自動車に電力を供給できる。

 日本の企業は、約5,000回の充電サイクルに耐えられるナトリウム・ベースのモバイル電池を開発した。これらの開発は、世界がリチウムの先を見据えていることを示している。

 ナトリウム・イオン電池は通常、エネルギー密度が低いため、リチウム・イオン電池よりもわずかに大きく、蓄電量も少なくなる。