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過度の減塩によるほとんど知られていない6つの危険

6 Little-Known Dangers of Restricting Sodium Too Much

By Hrefna Palsdottir

Healthline Newsletter 2016.08.17

 

ナトリウムは重要な電解質で、食卓塩の主成分である。ナトリウムの摂り過ぎは高血圧と関係しており、保健機関は摂取量を制限するように勧めている。ほとんどの現在のガイドラインは2.3 g/d以下の摂取を勧めている。ある人には1.5 g/dまでも勧めている。しかし、ナトリウムの摂り過ぎが問題を引き起こすが、あまりにも少ない摂取量も悪い。減塩のし過ぎによるほとんど知られていない6つの危険を述べる。

 

1.インシュリン抵抗の潜在的な上昇

 2,3の研究は低塩食とインシュリン抵抗の増加を関係付けた。インシュリン抵抗は、体の細胞がインシュリンホルモンからの信号に十分応答しないことで、インシュリンや血糖値の増加をもたらす。インシュリン抵抗は多くの重要な疾患、例えば、二型糖尿病や心疾患の主たる駆動要因と考えられている。152人の健常人による一つの研究は、低塩食で7日後にインシュリン抵抗が増加したことを明らかにした。必ずしも全ての研究が一致している訳ではないが、幾つかは影響がないことを、あるいはインシュリン抵抗の低下さえも明らかにした。しかし、これらの研究は期間、研究集団、減塩の程度を変えており、そのことで結果は異なってくる。

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 低塩食はインシュリン抵抗の増加と関係しており、高血糖やインシュリン量を引き起こす状態である。これは二型糖尿病や他の重要な疾患を導く。

 

2.心疾患に明らかな利益はない

 減塩は血圧を下げることは真実である。しかし、血圧は唯一疾患の危険因子である。我々が本当に注意すべきことは心臓発作や死亡のような厳しい終末である。幾つかの観察研究は心臓発作、脳卒中、死亡の危険性に及ぼす低塩食の影響を調べてきた。一つの研究は、3 g/d以下にすることは心臓発作や脳卒中を含めて心疾患による死亡の危険率を増加させることと関係していることを明らかにした。混乱することに、他の研究は、多くのガイドラインが現在勧めている低ナトリウム量で心疾患による死亡の高い危険率を報告した。しかし、他の研究は矛盾する結果を報告してきた、したがって、この事項は解決されたとは言えない。2011年比較試験のレビューで、減塩は心臓発作または脳卒中による死亡の危険率を減少させず、心不全による死亡の危険率を増加させた。

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 エビデンスは混在しているが、幾つかの観察研究は、低塩食が心臓発作や脳卒中による死亡の危険率増加と関係していることを示している。

 

3.心不全による死亡危険率の増加

 心臓が血液と酸素の必要量を満たすために体中に十分な血液を送り出せなければ心不全である。これは心臓が完全に働いていないことを意味しないが、それでも非常に重要な心臓の問題である。興味深いことに、低塩食は心不全の人々の死亡の危険率増加に関係してきた。比較試験の一つのレビューは、心不全の人々について減塩は死亡の危険率を増加させることを明らかにした。事実、影響は強かった-減塩している人々は死亡の危険率が160%高かった。それでも結果は僅か一つの研究によって強く影響され、したがって、もっと研究が必要である。

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 心不全の人々が低塩食で死亡の危険率を高くするらしいことを示す幾つかのエビデンスがある。しかし、これはもっと研究して確認する必要がある。

 

4.低塩食はLDLコレステロールとトリグリセライドを上昇させるらしい

 多くの要因が上昇したLDLコレステロールやトリグリセライドを含めて心疾患の危険率を増加させる。幾つかの研究は、低塩食がLDLコレステロールとトリグリセライド量の両方を増加させるらしいことを明らかにした。健常人による2003年レビュー研究で、低塩食はHDLコレステロールで4.6%、トリグリセライドで5.9%をそれぞれ増加させた。ごく最近のレビューはコレステロールで2.5%の増加、トリグリセライドで7%の増加を報告した。その上、これらの研究は、減塩は平均して血圧に僅かな低下を引き起こすだけで、高血圧者で僅かに強い効果を示すだけであることを明らかにした。

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 減塩は心疾患の一般的な危険因子であるLDLコレステロールとトリグリセライドを上昇させるらしいことを幾つかの研究は明らかにした。

 

5.糖尿病による死亡の危険率増加

 糖尿病は心臓発作と脳卒中の危険率を増加させる。したがって、糖尿病についての多くのガイドラインは減塩を勧めている。しかし、幾つかの研究は、低塩摂取量と一型糖尿病と二型糖尿病の両方で死亡の危険率増加との関係を明らかにした。しかし、これらは観察研究で、それらの結果は注意して解釈されるべきである。

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 一型糖尿病と二型糖尿病の患者は低塩食で死亡の危険率を増加させるかもしれない。しかし、これはさらに研究されることを必要としている。

 

6.低ナトリウム血症(低血中ナトリウム量)の高い危険率

 低ナトリウム血症は血中の低いナトリウム量によって特徴付けられる状態である。その症候は脱水によって起こる症状と類似しており、重症の場合には、脳が膨張し、頭痛、発作、昏睡、死すらも引き起こすかもしれない。老人のようないくつかの集団は低ナトリウム血症の高い危険率を持っている。老人が病気になり易かったり、血液中ナトリウム量を下げる薬剤を飲みやすい原因はこのためである。運動選手、特に長距離耐久種目に参加する人々も運動に関連した低ナトリウム血症を発症させる高い危険率にある。彼等の場合、水を多く飲み過ぎることにより、また汗で失ったナトリウムを補充できなかったことにより通常起こる。

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 低ナトリウム血症、または低血中ナトリウム量と呼ばれる状態は老人やある種の運動選手のような人々に影響を及ぼすかもしれない。低塩食はこれらの状態の危険率を上昇させる。

 

7.どれくらい多くのナトリウム()を食べるべきか?

 ナトリウムの影響を考える時、J型曲線があることを研究は示唆している。多過ぎる摂取量は有害かもしれないが、少なすぎる摂取量も重要な結果をもたらす。健康問題と死亡との間のどこかに最低の危険率はあるように思う。3 – 5 g/dの摂取量が最適として示唆されてきた。それは平均的な人が既に食べている量、または3.371 g/dと同様である。この量は食卓塩7.5 – 12.5 g/に相当し、茶さじ1.5 – 2.5/d杯に等しい。しかし、ある人々では減塩でメリットがあるかもしれない。それらの人々は塩感受性のある高血圧者である。低ナトリウム食を要求される医療状態、または医者に減塩するように忠告されておれば、必ずそうすることを続ける。しかし、健康な状態に維持するように努めている健常人であれば、低塩食を続けることが健康を改善するという良いエビデンスはない。過剰な塩摂取量の人々のほとんどは加工食品、包装食品を食べており、食べ過ぎないようにすべきである。味を良くするために健康に良い食品に塩を加えることは安全で健康に良く、食事を一層美味しくできる。