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塩を欲しがる7つの原因

7 Possible Causes of Craving Salt

By Kimberly Holland and Renee Akers

https://www.healthline.com/      2022.12.19

 

我々の体は生存のために塩を必要とするが、我々が食べる多くの食品には、実際に必要な量よりも多くの塩が含まれている。塩への渇望は、潜在的な健康状態の症状である可能性がある。

 

 歴史上、塩の入手は困難であったため、塩への渇望は生存のためのメカニズムであった。現在では塩は容易に入手でき、多くの加工食品に添加されているため、多くの人が過剰に摂取している。

 アメリカ心臓協会によると、体が最適に機能するために必要なナトリウム量は、1日500 mg以下である。高齢者は小さじ1杯の4分の1にも満たない量である。

 しかし、ほとんどの人が1日に約3,400 mgの塩を摂取しているため、アメリカ健康保健協会は成人に対し、1日の塩摂取量を1,5002,300 mg以下に減らすことを推奨している。

 塩が欲しくなるコールド・トラッピングもあるかもしれない。これが体にどのような影響を与えるのか、そして塩摂取量を減らすために何ができるのか、この記事を読み進めて下さい。

 

なぜ塩が欲しくなるのか?

 塩が欲しくなる理由は様々で、中には健康上の問題を示すものもある。栄養学の世界では、塩は悪いイメージを持たれている。塩の摂り過ぎは不健康で、命に関わることもあるが、塩の摂り過ぎでないことも危険である。塩は、筋肉の制御や体液バランスの維持など、多くの体の機能に不可欠である。

 治療が必要な病気の症状として、塩が欲しくなることがある。だからこそ、慢性的な塩の渇望を決して無視してはいけない。以下は、塩が欲しくなる原因となる可能性のある症状である。

 

1. 脱水

 体液には重要なミネラルが含まれている。これらのミネラルは体の正常な機能を助ける。塩に含まれるナトリウムもそのようなミネラルの1つである。これらのミネラルは電解質とも呼ばれ、発熱や過度の発汗などの症状が現われると、バランスが崩れる可能性がある。脱水症状になると、血液中のナトリウム濃度が過剰に上昇する。しかし、場合によっては、脱水症状によってナトリウム濃度が過剰に低下することもあり、これを低張性脱水症と呼ぶ。

 ナトリウム濃度が健康的なレベルを下回ると、塩辛い食物がより美味しく感じられるようになることがある。脱水症状や電解質バランスの乱れの兆候としては、以下のものがある:

  冷たく湿っぽい肌

  めまい

  ひどい喉の渇き

  頭痛

  尿量の減少

  気分の変化やイライラ

  心拍数の上昇

  筋肉の痙攣またはこむら返り

  吐き気または嘔吐

  疲労または体力の低下

  混乱

  発作

 脱水症状があり、耐菜人間の水分のみを補給し、ナトリウムを補給していない場合(電解質溶液ではなく普通の水を飲む場合など)、低張性脱水症になる可能性がある。

 脱水症状の原因はさまざまなである。例えば:

  利尿薬の服用

  胃腸の病気や障害、妊娠などによる嘔吐や下痢

  過度の発汗

妊娠中の水分摂取量と脱水症状について詳しく学ぼう。

 

2.アジソン病

 副腎は、生存に不可欠なホルモンを分泌する役割を担っている。アジソン病(副腎機能不全)は、左右の腎臓の上にある副腎で分泌されるコルチゾールとアルドステロンの量が減少する希な病気である。これらのホルモンが減少すると、体はナトリウムを失い始める。

 この病気の人は、塩への渇望に加えて、以下の症状を経験する:

  重度の疲労またはエネルギー不足

  めまい、失神

  低血圧

  食欲不振

  原因不明の体重減少

  長期または持続する下痢

  特に顔や口の中の皮膚の黒ずみ

アジソン病の可能性があると思われる場合は、治療せずに放置すると生命を脅かす可能性があるため、すぐに医師の診察を受けることを勧める。

 

3.慢性的なストレス

 ストレスを感じるとなぜ塩が欲しくなるのか?研究者達は正確な原因についてはまだ議論を続けているが、塩辛い物を食べると気分が良くなると考える人もいる。これは、塩が視床下部からドーパミンの放出を誘導するためである。

 他の専門家は、塩は生きるために不可欠であるため、脳は生命維持のための反応として塩を渇望するようになると主張している。しかしながら、ストレスに対する塩渇望の効果は動物でのみ実証されており、人間でも同様の効果があるかどうかを確認するにはさらなる研究が必要である。

 この議論をさらに進めるために、人間の渇望を研究するために使用される新しいツールは、ストレスによる渇望が複雑な心身の機能であり、完全には理解されていないことを示している。

 

4.バーター症候群

 バーター症候群の人は、ナトリウムを再吸収することができない。摂取したナトリウムは全て尿に排出される。そのため、常にナトリウムが不足している。

 バーター症候群には2つのタイプがある。重症型は出産前(出生前)に発症する。典型的なタイプは幼児期に発症し、症状は比較的軽度である。

 子供は塩分の多い食物を食べたがることがある。その他の症状としては、以下のものがある:

  低出生体重

  成長速度の遅れ

  低血圧

  筋力低下、痙攣

  頻尿(特に夜間)

  過度の喉の渇き

  便秘

 

5.嚢胞性繊維症

 嚢胞性繊維症は、通常、乳児期初期に発見される遺伝性疾患である。嚢胞性繊維症になると、体内の塩化物バランスの維持が困難になる。これは多くの臓器系にとって重要である。皮膚では、塩化物が失われることで、汗を通してナトリウムが失しなわれる。

 塩辛い皮膚は、嚢胞性繊維症の特徴的な症状である。2020年のある研究によると、嚢胞性繊維症患者の汗に含まれるナトリウム量は、嚢胞性繊維症のない人に比べて24倍高いことが示されている。

 その結果、多発性硬化症の患者は塩をもっと摂りたくなることがある。食事に塩を多く取り入れる前に、医師に相談することを勧める。

 

6.偏頭痛

 偏頭痛はさまざまな症状を引き起こす神経疾患であるが、最もよく知られているのは頭痛である。ある研究では、偏頭痛のある人は塩辛い食物や甘い食物を欲しがる傾向があることが分っている。

 これは、これらの食物を摂取することで痛みが軽減される場合があるためである。研究者達はまた、より健康的な食事をし、加工食品(添加塩分や砂糖を多く含む場合がある)を避けると、離脱症状として偏頭痛が悪化する可能性があると提唱している。そのため、甘い物や塩辛い物を摂取すると、偏頭痛が軽減される可能性がある。

 その他の偏頭痛の症状には、吐き気や嘔吐、光や音への過敏症、痺れやチクチクする感じ、オーラと呼ばれる視覚障害などがある。

 

7.薬剤

 一部の薬は副腎に影響を与え、薬剤誘発性副腎機能不全を引き起こし、塩辛い食物を食べたくなることがある。これらには以下が含まれる:

  ヒドロコルチゾン(コルテフ)、トリアムシノロン(ナサコート、ケナログ、トリエセンスなど)、フルチカゾン(フロナーゼ)などのグルココルチコイドの長期使用の突然の中止。

  ニボルマブ(オプジーボ)、ペンブロリズマブ(キイトルーダ)、イピリマブ(ヤーボイ)などの免疫チェックポイント阻害剤

  カボザンチニブ(カボメティクス)、レンバチイブ(レンビマ)などのタンパク質キナーゼ阻害剤

  フルコナーゾル(ジフルカン)などの抗真菌剤

  トラマドール(ウルトラム)

  リファンピシン(アエムコロ)

これらの薬を服用中に、異常な喉の渇きや塩の欲求を感じた場合は、これらの副作用についてすぐに医師に相談する。

 

助けを求める

 チップスやポップコーンが時々食べたくなるのは珍しいことではないが、常に塩を欲がる場合は、より深刻な問題の症状である可能性がある。したがって、ためらわずに医師の診察を受け、症状について相談する。塩への欲求は深刻な物ではないかもしれないが、医師の診察が必要な問題の最初の兆候である可能性もある。

 

診察で何が起こるか

 診断に至るには、他の症状も理解しておくことが重要である。診察の準備として、症状日記をつけよう。普段と違う症状があれば、どんな些細なことでも記録しよう。どんな小さな症状でもかまわない。

 医師に相談する際は、公式の日記を必ず提示する。この記録があれば、医師はより正確な診断に導くことができる。また、診断に至るまでに必要な検査の種類を絞り込む際にも役立つ。

 医師は、電解質濃度を測定する血液検査で異常が見つからない場合、追加の血液検査を行なうことで、他の原因の可能性を除外または特定するのに役立つ。例えば、血液検査では、アジソン病の兆候となる可能性のある抗体やホルモンの血中濃度を調べることができる。

 

塩を使わずに塩への欲求を抑えるヒント

 塩はあらゆるところに、そしてあらゆるものに含まれている。実際、1日の塩摂取量の約70%は加工食品や外食から摂取されていると推定されている。

 パン、ソース、シリアル、缶詰野菜などのインスタント食品には、不要なナトリウムが含まれている可能性がある。ファーストフードの食事1回で、1日分のナトリウム摂取量を超えることもある。塩入りを使わなければ、気付かないうちにはるかに多くの塩分を摂取している可能性がある。

 医師から減塩を勧められた場合、風味を損なうことなく減塩できる。次の4つの材料を試してみて下さい:

1.黒コショウ

 塩入れの代わりに胡椒グラインダーを使おう。挽き立ての黒コショウは、挽き立ての黒コショウよりもピリッとした風味があり、塩なしで感じる風味不足を補う。

2. ニンニク

 ローストしたニンニクや生のニンニクは、野菜の付け合わせからサラダ・ドレッシングまで、料理に風味を豊かに与える。ニンニクの臭いが気になる場合は、調理することでニンニクの風味が和らぐ。

3.

 減塩料理の強い味方は、様々な種類の酢である。例えば、以下のようなものがある:

  赤ワイン・ビネガー

  米酢

  アップルサイダー・ビネガー

  バルサミコ酢

  フレーバー・ビネガー

 純粋な酢は、料理に塩分を1mgも加えずに、塩分をほとんど加えずに風味を再現できる。ただし、原材料を良く確認し、塩分が添加されていないことを確認する。

4.柑橘類

 酢と同様に、レモン、ライム、オレンジの酸味は、舌に塩辛い食物を食べているような錯覚を与えることがある。鶏肉や魚に柑橘類の酢をサッと掛けると、塩分を気にすることなく美味しく食べられる。

 

よくある質問

体が塩分を欲しがる一番の理由は何か?

 塩分が欲しがる理由はさまざまである。脱水症状もその1つである。下痢、嘔吐、発熱、運動の後には、水や電解質溶液を飲んで、体に水分とミネラルを補給する。

塩分が欲しがる場合は、何を食べたら良いか?

 新鮮な野菜や果物、全粒穀物、赤身の肉、植物性タンパク質源を組み合わせた軽食や食事を摂るようにするように心がける。リンゴなどの甘い果物と、ローストしたピーマンなどの風味豊かな野菜と組み合わせることで、塩分を足さなくても自然な風味を引き立てることができる。シャキシャキとした野菜、黒コショウ・ポップコーン、フムスやドライ・トマト・スプレッドなどのディップは、食感、歯ごたえ、そしてさまざまな風味を与え、満足感を与える。水分補給のために水を飲めば、食品本来の風味を引き出すことができる。

 

まとめ

 塩分への異常な欲求やその他の兆候や症状は、単にポップコーンやポテト・チップスが好きというだけの問題ではない可能性がある。もしかしたら、別の、おそらく深刻な病気の兆候かもしれない。

 塩分を欲しがり、重度の脱水症状が現れ始めたら、すぐに医療機関を受診する。重度の脱水症状をすぐに治療しないと、腎不全、発作、昏睡、そして場合によっては死に至るといった深刻な合併症を引き起こす可能性がある。