戻る

塩は実際に悪者か?

Is Salt Actually Bad for You?

By Rachael Link

Healthline Newsletter 2017.08.21

 

 塩は食べ物に味を付けるために一般的に使われている自然にある化合物である。美味しさを増す他に食べ物保存に使われ、細菌の増殖を抑えるのに役立つ。しかし、過去2,30年間に塩は悪い評判をとり、高血圧、心疾患、胃がんの状態と関係付けられてきた。事実、ごく最近のアメリカ人のための食事ガイドラインは5.8 g/d以下に塩摂取量を制限するように勧めている。しかし、塩は人々には異なった影響を及ぼし、かつて信じられたほど心疾患に大きな影響を及ぼさないことをいくつかのエビデンスは示している。本論文は塩が実際に悪者かどうかを決定する研究を深く探す。

 

塩は身体で重要な役割を演ずる

 塩はお分かりのように塩化ナトリウムとして知られており、約40%のナトリウムと60%の塩化物からなる化合物であり、二つのミネラルは健康に重要な役割を演ずる。ナトリウム濃度は身体によって注意深く制御され、その変動は悪い副作用をもたらす。ナトリウムは筋肉の収縮に関与しており、汗による損失は運動家の筋肉収縮に寄与している。塩はまた、神経機能を維持し、血液量と血圧の両方をしっかりと制御する。他方、塩化物はナトリウムの次に血液中に二番目に多くある電解質である。電解質は電荷を運ぶ体液中に見出させる元素で、神経衝撃から体液収支まであらゆることに必須である。塩化物が低濃度になると、呼吸アシドーシスと呼ばれる状態になり、そこでは血液中に二酸化炭素が蓄積し、血液をより酸性にする原因となる。これらのミネラルは両方とも重要であるが、人々はナトリウムに対して違った応答をすることを研究はしめしている。

 ある人々は高塩食に影響されないが、他の人々は高血圧になったり、ナトリウム摂取量の増加で腫れる。これらの影響を受ける人々は塩感受性であると考えられ、他の人々よりも塩摂取量をもっと注意深くモニターする必要がある。

要約:

塩はナトリウムと塩化物を含んでおり、それらは筋肉収縮、神経機能、血圧

そして体液収支を制御する。

 

高塩摂取量は胃がんと関係している

 塩摂取量の増加は胃がんの危険率増加と関係していることを幾つかのエビデンスは示している。これは、胃がんの高い危険率と関係している細菌の種類であるHelicobacter pyloriの増殖を塩が促すからではないかとされている。1,000人の参加者で調べた2011年の研究は、高い塩摂取量が胃がんの高い危険率と関係していることを示した。268,718人の参加者による別の大規模レビューは、高い塩摂取量の人々は低い摂取量の人々よりも胃がんの危険率が68%高いことを明らかにした。しかし、これらの研究だけが胃がんと高塩摂取量との関係を示すことに注目することは重要である。高塩摂取量が実際に胃がんの発症に寄与しているかどうかを決めるためにもっと研究が必要である。

  要約:

  塩摂取量増加は胃がんの危険率増加と関係しているとされてきたが、この関  係を理解するにはさらなる研究が必要である。

 

減塩は血圧を下げるかもしれない

高血圧は心臓に関して特別な緊張の原因となり、心疾患の危険因子の一つとなる。いくつかの大規模研究は、低塩食が特に高血圧者で血圧を下げるのに役立つかもしれないことを示してきた。3,230人の参加者による一つのレビューは、中程度の減塩は血圧に中程度の低下をもたらす、すなわち、収縮期血圧で4.18 mmHg、拡張期血圧で2.06 mmHgの平均低下を起こした。減塩は高血圧者と正常血圧者の両方で血圧を下げるが、この効果は高血圧者で大きかった。事実、正常血圧者については、減塩はわずかに収縮期血圧で2.42 mmHg、拡張期血圧で1.00 mmHg下げた。他の大規模研究は同様の結果を示し、減塩は特に高血圧者で血圧低下を述べた。何人かの人々は血圧に及ぼす塩の効果に対してより感受性であるかもしれないことを心に留めておく。

塩感受性の人々は低塩食でより血圧低下を起こし易く、一方、正常血圧者はあまり影響を受けないようだ。しかし、以下で考察するように、低塩摂取量は心疾患または死亡の危険率低下と関係していないので、血圧のこの低下がどれくらい利益があるかは不明である。

 要約:

 減塩は、特に塩感受性の人または高血圧者で血圧を下げるかもしれないことを

研究は示す。

 

低塩摂取量は心疾患または死亡の危険率を減らさないかもしれない

 高塩摂取量は胃がんや高血圧のような幾つかの疾患の危険率増加と関係しているかもしれないことを示している幾つかのエビデンスがある。これにもかかわらず、減塩食は心疾患や死亡の危険率を実際に低下させないかもしれないことを示す幾つかの研究がある。7件の研究からなる大規模な2011年レビューは、減塩が心疾患や死亡の危険率に何の影響を及ぼさないことを明らかにした。7,000人以上の参加者による別のレビューは、減塩は死亡の危険率に影響を及ぼさなく、心疾患の危険率と弱い関係だけしかないことを示した。しかし、心疾患や死亡の危険率に及ぼす塩の効果は幾つかのグループで変わるかもしれない。例えば、低塩食は死亡の危険率低下に関係していたが、肥満者についてだけであることを一つの大規模研究は示した。

 一方、低塩食は心疾患の人々で死亡の危険率を159%低下させたことを他の研究は実際に明らかにした。減塩がどのように異なった集団に影響を及ぼすかを明らかにするためにさらなる研究が明らかに必要である。しかし、減塩は誰についても心疾患や死亡の危険率を自動的に低下させることはないと確かに言える。

  要約:

  低塩食は全集団に心疾患や死亡の危険率を低下させないかもしれないことを  研究は示しているが、いくつかのグループは塩に対して異なった応答をする。

 

低塩摂取量は悪い副作用がある

 高塩摂取量は幾つかの条件と関係しているが、あまりにも低い塩摂取量も悪い副作用をもたらす。減塩食は血中コレステロールと血中トリグリセライドの濃度増加と関係していることを幾つかの研究は示してきた。動脈中に蓄積し心疾患の危険率を増加させる脂肪物質が血液中にある。低塩食は血中コレステロールを2.5%、血清トリグリセライドを7%増加させることを大規模な2012年研究は示した。低塩食は“悪い”LDLコレステロールを4.6%、血中トリグリセライドを5.9%増加させることを他の研究も明らかにした。減塩は血液から細胞へ糖を移動させるに必要なホルモンであるインシュリン抵抗を引き起こすことを他の研究は明らかにした。インシュリン抵抗はインシュリンをあまり効果的に働かないようにし、血中糖濃度を高くし、糖尿病の危険率を増加させる。低塩食は低い血中ナトリウムである低ナトリウム症と呼ばれる状態をも引き起こす。低ナトリウム症では、低いナトリウム濃度、過剰な熱または過剰な水和状態のため、身体は特別な水を保持しているため、頭痛、疲労、吐き気、めまいを引き起こす。

  要約:

  低塩摂取量は低い血中ナトリウム、血中トリグリセライドまたはコレステロ  ールの増加、そしてインシュリン抵抗の高い危険率と関係している。

 

塩感受性現象を最小にする方法

 塩の関連した腫れを無くしたい、または血圧を下げる必要があれば、そうするために幾つかの簡単な方法がある。まず第一に、減塩は高塩摂取量で現象を経験する人々によっては有益であるかもしれない。減塩するために一番容易な方法は塩振出器を全く排除することと思うかも知れないが、その必要はない。食事中の塩の主要な給源は実際に加工食品で、平均的な食事中にある77%もの塩に相当する。塩摂取量を最小にするためには、全ての食べ物について加工食品を取り替えるように心がける。これは塩摂取量を減らせるだけでなく、ビタミン、ミネラル、繊維そして必須栄養素の豊富な健康食を勧めることにも役立つ。

塩摂取量をもっと減らす必要があれば、レストランの食事やファーストフードを減らす。低塩の缶詰野菜やスープを選び、食品に味付けするために塩を加え続けるとき、ほどほどにする。減塩する他に、血圧を下げられる幾つかの他の要因がある。マグネシウムとカリウムは血圧を制御するのに役立つ2つのミネラルである。葉物野菜や豆類のような食品を食べてこれらの栄養素摂取量を増加することは血圧を下げるのに役立つかもしれない。低炭水化物食は血圧低下に有効であることを幾つかの研究も示している。結局、健康的な食事と生活様式で中程度の塩摂取量は塩感受性になるかもしれない効果をいくらか弱めるための一番簡単な方法である。

 要約:

 加工食品をあまり食べないでマグネシウムとカリウムの摂取量を増加させる  ことは塩感受性の現象を抑えるのに役立つ。

 

結論

 塩は食事の重要な部分であり、その成分は体の中で重要な役割を演ずる。しかし、ある人々については、多過ぎる塩は胃がんや高血圧の危険率増加のような状態と関係しているらしい。それにもかかわらず、塩の影響は人々によって異なっており、誰にとっても悪い健康効果をもたらすものではない。医者に塩摂取量を下げるように忠告されれば、そうすることを続けなさい。さもなければ、塩感受性のまたは高血圧の人々は低塩食から最も利益を得られるように思える。ほとんどに人々について、約6 g/dの推奨塩摂取量は理想的である。