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心臓に望ましいことのために:塩を抑制し続けなさい

For the Good of Your Heart: Keep Holding the Salt

By Naomi D.L. Fisher

Harvard Health Blog 2016.07.11

 

貴方の医者は多分、特に高血圧であれば塩を減らしなさいと言ってきた。何年間も、過剰の塩摂取量は血圧を上げ、心疾患による死亡を増加させると我々は理解してきた。有害な元素はナトリウムで、それは塩化物と結合して塩となる。したがって、低塩摂取量が心疾患と死亡の危険性増加と関係していたと報告している研究を最近のランセット誌が発表したとき、論争が予言できた。

 厳密な科学的研究の豊富さは過剰な塩摂取量と高血圧、心臓発作、そして脳卒中との関係を支持している。しかし、高塩摂取量の人々と低塩摂取量の人々は両方とも心血管疾患や死亡で苦しむ可能性が高いとランセットの論文は報告した。10.2 12.7 g/dの「中程度」の塩摂取量が一番良い目標であると彼等は結論を下した。これを視野に入れて、ほとんどのアメリカ人のために5.8 g/dと言う塩摂取量の上限を設定した。一方、アメリカ心臓協会はほとんどの人々のためにもっと少ない3.8 g/d以下とした。高い塩含有量と考えられている平均的なアメリカ人の食事は約10.2 g/dの塩を含んでいる。

 ドグマと矛盾しているように見える研究を読むとイライラする。それらの研究は科学への信仰を完全に損なう可能性がある。したがって、新し科学が発見されたのかどうか、または悪い科学が報告されたのかどうかを学ぶために、我々は全ての研究の詳細を注意深く解析しなければならない。そして塩物語りの例では、ほとんどの専門家達や膨大なエビデンスは、最近の研究が間違っていると言う結論を支持している。

 塩摂取量を測定している研究は異なった方法を使っている。最高の科学的厳密さを持った黄金基準はランダム化比較試験である。それは大集団の半分は高塩食を食べ、半分は低塩食を食べることを意味する。数週間、数ヶ月そして数年間にわたって食べた1つの食品毎に塩含有量を測定しなければならない。その上、彼等がどのグループに属するかを誰も知らない。明らかにこれは実行できることではなく、不可能である。したがって、我々は塩摂取量の手っ取り早い測定法、そして間接的な測定法を探している。

 大規模グループ用の一番利用できる方法は塩摂取量の代わりとして尿中ナトリウムを測定することである。入ってくる物を測定する代わりに、出てくる物を測定する。しかし、ほとんどの人々の塩摂取量は全く一定ではない。それは、我々が毎日食べている物に応じて非常に低い値から極端に高い値までの範囲で幅広く変化する。そしてしたがって、尿中ナトリウムも幅広く変動する。

 この現実を取り扱う最高の方法は複数の日に長期間にわたって24時間尿を集めることである。ここで問題はランセット研究から始まる。それは複数の24時間尿収集を調べないで、むしろ各参加者から僅か1日に1回の尿収集であった。これは全ての人の毎日の塩摂取量で不正確な推定値となった。

 別の大きな間違いは「逆因果関係」と呼ばれる偏向の結果である。それは死亡の高い危険性が低塩摂取量によって引き起こされないことを意味している。その代わり、その関係は逆であった。ランセット論文中の参加者達は健康なボランティアではなく、高血圧や糖尿病のような状態と診断され、またはそのような危険性があるため、特に登録されていた。彼等がより少ない塩を摂取量した(そして総合的に少ない食事)のは、正に彼等の診断と総合的な健康のためであった。

 うまく行われた研究と保護効果戦略からのエビデンスは、減塩が心血管疾患を予防することを明らかに示している。12.8 g/d以上の塩摂取量の推奨は年間、1万人以上の死亡をもたらすだろう。ランセット論文の厳密な反証に興味があれば、The New England Journal of Medicineによって発表された反論報告を見て下さい。

 議論は健全であるが、これは、我々の集団のほんの僅かな部分の人達だけが低塩食を食べている現実から我々を混乱させるべきではない。我々のほとんどははるかに多くの塩を摂取している。低塩食は人々の小さな部分集合には有害であるが、大多数については現在の減塩努力を変えるためにより説得力のあるエビデンスをおそらく取り上げることになる。

 我々が摂取している塩のほとんどは-塩振り出し器からではなく-加工食品から来ていることに気付かないかもしれない。この事実は減塩をより難しくしている。我々が購入する非常に多くの食品は塩が含まれているからである。

 アメリカで減塩するために公的な取り組みが進んでいる。事実、食品医薬品局は食品産業界に自主的な減塩目標を勧めてきただけである。加工食品中の塩目標値を設定し、血圧低下や脳卒中および心疾患による死亡を見てきたイギリスや日本のような他の国々より我々は遅れている。

 食事中の減塩は心臓発作や脳卒中を予防するために証明された健全な戦略である。食事中の塩含有量に注意を払うことによって、我々は我々自身の健康を管理することに向けてもう一歩踏み出すことができる。