塩に関する科学は対立している、と研究は認める
論文のわずか半分以上が、塩が健康に悪いという考えを支持している
Science on Salt Is Polarized, Study Finds
By Columbia University’s Mailman School of Public Health 2016.02.17
塩分の多い食事の健康効果に関する科学的報告書やコメントの解析は、人口全体の減塩は良い健康と関係していると言う仮説を支持する人々と、支持しない人々との間の対立を明らかにしている。全部で54%が仮説を支持し、33%が支持しない、そして13%が分らないであった。International Journal of Epidemiology(国際疫学会誌)で新しい論文の共著者はルドビック・トリンコート(コロンビア大学公衆衛生メイルマン校の疫学功労者);デビッド・ジョーンズ(公衆衛生メイルマン校の社会医学科学の博士課程学生でデータ・アンド・社会研究所所員);そしてサンドロ・ガレア(ボストン大学公衆衛生校校長でメイルマン校の疫学准教授)である。
研究者達は一次研究、メタアナリシス、臨床ガイドライン、コンセンサス声明、コメント、手紙、物語風レビューを含めて1979年-2014年に発表された269件の学術報告書を系統的にレビューした。報告書が減塩と心疾患、脳卒中、死亡との間の関係を支持するか、拒否するかに従ってそれぞれは分類された。報告書の半分以上は2011年以来発表されており、新たなコンセンサスがなかったとしても、疑問への関心度が増加していることを示唆していた。仮説の両側に関する論文で見られた引用解析は、異なった結論を書いている報告書を引用するよりも同じ結論を書いている報告書をより引用しがちであった。大部分の文献では、賛否を表す強いエビデンスを提供している影響力のある論文の数が少なかった。
“ほとんど異なる2つの立場がある-全人口の減塩は臨床結果を改善すると言う主張を1つは支持し、1つは異議をとなえる、”とジョーンズは言う。“それぞれは自分達の見解を共有する他の研究者を引用する傾向がある少数の多作著者らによって推進されており、両側にはほとんど明らかな協力関係はない。”
“我々は研究で財政的な偏見にかなりの注意を払っている。しかし、我々が尋ねる疑問に長年の信念がどれほど偏見をもたらすかには我々はほとんど注意を払わなく、新しいデータが利用できるとしても、彼等の結果を発表する、”とガレアは言う。
系統的なレビューの解析は一次研究の選択でほとんど一貫性を明らかにしなかった。一次研究がレビューで選ばれても、著者レビューが同じ研究を選ぶ機会は1/3以下であった。結果はエビデンスとしてカウントすべきことについて不明確や不一致を指摘する、と著者らは主張する。さらに、一次エビデンスとして引用する研究についての選択が系統的レビューの結論に直接的に影響を及ぼした。
塩を巡って科学的論争が続いておりながらも、地方から地球レベルまで公衆衛生当局は摂取量を下げる政策を立法化してきた。WHOガイドラインは塩摂取量を制限することを勧めている。2015年12月に、ニューヨーク市は塩含有量の高い食事を表示するようにチェーン・レストランに要求する最初のアメリカの都市となった。
“政策立案者はしばしば矛盾した不確定なエビデンスに直面したとき、行動の方向を選ばなければならない。不確実性の誤用と確実性の誇張の両方は公衆衛生の意志決定プロセスの結果を形作ることが出来る、”とトリンコートは言う。
著者らは、学術研究論文と著者らとの間の関係を理解する新しい方法を適用した研究で使われた引用解析法を言っている。将来、同じ方法が、大きな同意のある話題と同様にe-シガレットのような論争問題を含む他の話題に適用されうる。