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血圧と心疾患における塩の役割

Salt’s Role in Blood Pressure and Heart Disease

By EXPERIENCE LIFE STAFF

experencelife.comより  2018.03.12

 

高血圧であるとしても、塩は犯人ではないかもしれない、と専門家達は言う

 

 360,000人以上が毎年高血圧による合併症のために死ぬ。しかし、血圧を下げるための努力で減塩する公衆衛生イニシアチブの事例は心血管疾患まで広げても鉄壁ではない。第一に、必ずしも全ての人々が塩感受性ではない。“正常血圧者の約80%は塩感受性ではないと言うデータはかなり一貫している、”と心臓研究科学者のジェームス・ディニコラントニオは説明する。前高血圧者の75%と高血圧者の55%も塩感受性でないことを示す研究を彼は引用している。その上、減塩努力は低血圧や心血管疾患危険率低下と幅広く関係している訳ではない。最近のコクラン・レビューのメタアナリシスは、減塩イニシアチブは高血圧でない人々で極わずかの血圧低下をもたらす結果であったことを明らかにした。高血圧の研究被験者では、“弱い利益エビデンス”しかなかった。そして体の塩感受性をテストする簡単な方法はないが、高血圧であっても、塩は犯人ではないかもしれない、と専門家達は言っている。

 “発熱のように高血圧は診断ではなく、むしろ記述である。高血圧者と思っている大多数の人々は高血圧について特別で明らかな原因を持っていない、”とアメリカストレス研究所の理事長であるポール・ロッシュは説明している。したがって、心血管の危険性を管理する時に、どれくらいの塩が多すぎるのか-そしてどれくらいの塩が少なすぎるのか?ここに最近の研究の幾つかが語っていることがある。

  The New England Journal of Medicineに発表された2014年の論文によると、毎日の塩摂取量を10.2 – 15.2 g/dに低下させた研究参加者では、その範囲のいずれかの側に摂取量を低下させている人々よりも心臓発作や脳卒中が少なかった。平均ほぼ4年間にわたる17ヶ国の100,000人を調べたレビューも、比較的高いカリウム摂取量が主要な心血管疾患と死亡の両方の低い危険率と関係していたことを明らかにした。

  中程度の摂取量と比較したとき、高い塩摂取量は高血圧者集団で心血管疾患と死亡の危険率増加と関係していた。しかし、The Lancetに発表された2016年の研究によると、研究者達は高血圧でない人々の間では何の関係も見出さなかった。研究はまた、高血圧者と高血圧者でない人々で低塩摂取量と心血管疾患および死亡の危険率増加との間にも関係を示した。

  2017年のアメリカ栄養学会の科学セッションと年会でボストン大学医学部のリンL. ムーアが発表した研究によると、6.4 g/d以下の塩摂取量の人々は比較的高い塩摂取量の人々よりも高い血圧で-そして高いナトリウム摂取量(平均3,717 mg/d塩として9.4 g/d)とカリウム摂取量(平均3,211 mg)を組み合わせて摂取した人々は最低の血圧であった。

 これらの研究と他の研究は塩摂取量と心血管危険率との間にJ字型関係を示唆した:摂取量がある量以上または以下の人々は健康危険率を増加させる経験をする傾向がある。研究はまた心血管の健康に及ぼす電解質カリウムの潜在的な保護効果を強調している。

 “どのような域値としても、J字型について明らかにされてきた域値は正確ではない。それらは大雑把な推定値であり、各研究よって変化する、”と疫学者のヒレル・コーエンは述べている。血圧とは関係なく、塩感受性は心血管疾患率や死亡率についての危険因子であることを研究は示してきた。しかし、危険性は遺伝子と食事や生活様式を含む環境との相互作用を表している。危険カテゴリーに入っている人々は血圧を下げる非薬物療法を検討するために医者と相談することをコーエンは勧めている。“どんなグループに入っていようと、平均について真実であることが個人について必ずしも真実である必要はない。人々のカテゴリーについての幅広い仮定を適用できないかもしれない、”と彼は言っている。