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塩は悪者:しかし、どのように塩が体に影響を及ぼすかはまだ開拓中の領域科学

Salt Is Bad for You: But How It Affects Your Body Is Still Frontier Science

The Conversation 2019.03.12

 

 過剰の塩摂取量は人々の健康に有害であることを研究は示してきた。それは高血圧を発症させ、心疾患や脳卒中の危険率を増加させる。警告運動によるか、政府介入によるかで世界的に減塩プログラムが勢いを増している。これは南アフリカでも同様である。3年前、パンやスープのような主食について強制的な塩摂取目標を実行させる最初の国となった。これは2025年までに塩摂取量を30%減らす世界保健機関の勧告に沿っている。南アフリカでは塩摂取量目標のさらなる低下が今年の後半に発効するように設定されている。

 南アフリカが採用した方法は任意でない塩の摂取量を目標とすることであった-それは食品に成分として既に加えられる塩である。これは心疾患や脳卒中の鍵となる駆動要因である高血圧を予防する最も費用効果のある方法と考えられた。人々が摂取する塩の量を減らすことは南アフリカで推定23,000件の心血管疾患と毎年5,600件の死亡を予防できると研究は見積っている。そして塩摂取量を減らす新しい法律は心血管疾患の保健介護に関して5,125米万ドルの国費を節約できる。

新しい法律が健康に関して望まれる効果を発揮するかどうかに関してはまだ初期の段階である-効果が見えるにはさらに2,3年を要する。しかし、政策はパンのような主食中の塩を減らす方向に確かに進んでいる。

 新しい法律が実行される前に、世界的な高齢化に関するWHO研究の部分として我々は南アフリカの塩摂取量をレビューし、塩摂取量が減ったかどうかを調べるために現在、この課題を繰り返している。南アフリカも過剰な塩摂取量と心血管健康に関する公衆警告を促進させるために協調的な努力をしてきた。これは調理中や食事中に食卓で食べ物に塩を加えるような人々の行動を変えることに効果的であることを研究は示唆している。しかし、中長期的にはこれらの介入は、政府が予想している健康結果をもたらすか?鍵となる指標は低い血圧や、心臓発作や脳卒中のような数少ない心血管疾患であろう。答えは、どれくらいの塩が体に影響を及ぼすかについての新しい科学的結果を考慮して調整された政策に部分的にある。これは世界中の科学者達によって探求される開拓中の領域である。また、我々の研究課題でもある。

 塩が体にどれくらい影響を及ぼすかについて数十年間維持されてきた幾つかの仮説に我々の研究は挑戦する。他の国際的な研究者達の結果と共に-我々の結果は、塩と心血管健康を巡る機構は元々考えられていた機構よりもずっと複雑であるかもしれない。このことは次に、高血圧のような一般的な疾患の予防や治療を改善するために細かく調整するための意味ある領域があることを示唆している。例えば減塩は高塩摂取量に関係したホルモンの有害効果を大きく減らすかもしれないこと我々は強調する。血圧、心臓構造、血管は全て影響を受ける。これは塩摂取量を目標とした政策の重要性のさらなるエビデンスを提供する。

 

我々が現在知っていること

 何年間にも渡るエビデンスを押しつけてきたことは高塩摂取量と高血圧や心臓発作のような心血管疾患と強く関係していた。しかし、新たに出現した研究は塩摂取量と高血圧との関係についての生理学的機構について疑問を呈し始めた。何十年間も医学教科書で有力な一般的理解は、高塩摂取量は喉を渇かすと言うことであった。高い水摂取量は結果として血圧を上げる血液量を増加させることになり、最終的に水と塩は両方とも腎臓によって排泄され、血圧は維持される。

 しかし、ドイツの研究者ジェンス・ティツェは皮膚に塩が蓄えられることを明らかにした。研究者達は、高塩摂取量が最少水分損失を付随することをさらに示した。これらの驚くべき結果は世界中の保健科学社会で懐疑をもたらした、血圧機構をもっと良く理解することが必要であることを強調している。

 アメリカの研究者アレクセイ・バグロフとオルガ・フェドロバは、塩がどのように心血管健康に影響を及ぼすかで、別のプレーヤーを明らかにした。マリノブファゲニンは、ブフォ・マリナス・トードの毒液中に発見された活性物質と同じ性質を持つステロイド・ホルモンである。ホルモンの機能は塩収支を制御することで、したがって、高塩摂取量に対する応答で生産される。しかし、過剰な塩摂取量に応答して非常に高いステロイド・ホルモン濃度は血圧を上昇させ、心臓構造に影響を及ぼし、動物の血管壁の硬さを増加させた。

 我々は健康で若いヒトで初めてこれをテストすることを最近計画した。我々は塩摂取量の増加とステロイド・ホルモンの増加との間に強いポジティブな関係を確認した。高塩摂取量は非常に若い人々でも大動脈の硬さと関係していることを明らかにした。そこで我々は、これはステロイド・ホルモンか、または塩自身のためかどうかをテストした。我々は我々の統計で両方を含めたとき、悪者はステロイド・ホルモンであり、必ずしも塩ではないことを我々は明らかにした。大動脈の硬さと関係しているのはステロイド・ホルモンだけでなく、血圧上昇とも、11.8 g/dの平均塩摂取量を摂取している若い健康な成人の左心室量とも関係していた。WHO5 g/d以下の塩摂取量を勧めている。

 

結論

 我々の結果は主食中の塩を毎日の塩摂取量以下にさらに下げる南アフリカの第2段階実行を支持する。心血管健康を維持するために過剰な塩摂取量減らす継続的な公衆警告運動の重要性をエビデンスは強く支持している。