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塩は敵ではない。当局が塩を悪者にすることを止める時

Salt Is Not the Enemy. It’s Time Authorities Stopped Demonising It

By Michelle Minton

Competitive Enterprise Institute 2017.03.09

 

 40年前、アメリカ合衆国議会は最適な健康のための食事を勧めるために栄養に関する既存の全てのエビデンスをレビューするという不可能に近い課題に取りかかった。その結果は穀物の恩恵を吹聴しながら他の栄養素の中で脂肪、コレステロール、塩を悪魔と位置付ける一連の食事勧告値であった。これらの‘事実’はアメリカ合衆国だけでなく世界中で食事療法者にとって絶対的真実となった。数十年後にそれらの勧告値が間違っていると理解するまで続いた。

 1970年代以来、コレステロール摂取は心疾患の発症で非難されることは完全に取り消され、脂肪摂取が早くも悪者となっている。次に塩がなるかもしれない。

 しかし、高血圧として知られている慢性的な血圧上昇は無くならなかった。高血圧は心臓発作や脳卒中のような致命的な状態と強く関係している重要な状態であり、それは世界中の数億人の人々に影響を及ぼす。高血圧発症を抑えるための効果的な解決策を見つけ促進させることは医療システムへの負担を減らし、数え切れないほどの生命を救う。間違ったアプローチを続けることの意味は高血圧による死亡を減らすことに失敗し、もっと効果的な他のアプローチを不明瞭にするかもしれない。残念なことに、アメリカ人は間違ったアプローチを喜んで受け入れるかもしれない。公衆保健当局が高血圧の原因と高血圧に対する解決策として彼等の兵力を全て塩に注いでいるからである。世界中の人々が同じ様な塩摂取量のように見えるが、塩に対しては誰も同じようには応答しないことが真実である。アメリカ合衆国では、平均的な成人は約8.6 g/dの塩摂取量であり、イギリスでは平均値は7.9 g/dに近い。両国とも保健当局によって勧められている6.1 g/d以上である。

 我々だけではない。45ヶ国約70,000人についてのデータを解析したカリフォルニア大学デービス校の研究者達によると、人が摂取している塩摂取量の‘通常の範囲’は6.6 – 12.2 g/dである。さらに、加工食品中の塩含有量が増加し、加工食品の消費量が増加しているにもかかわらず、この範囲は過去50年間以上安定してきたことを研究者達は繰り返し明らかにしてきた。一方、必ずしも全ての人が塩感受性ではない。少数の人々が高塩摂取量の結果として血圧上昇を経験しているが、大多数-75%以上-は極端に高い塩摂取量でも血圧に変化はない。また、ある人々については減塩により実際に血圧は上昇する。集団の平均塩摂取量が勧告値以下に低下しながら、死亡の危険率は増加していることを示す研究の数は増加している。

 この新たに発表された研究は塩を巡る研究社会の既存の分裂した論争内で確かに論争を助長してきたが、政府や保健機関の運動を遅らせるために何もしてこなかった。

 イギリスでは、社会教育と食品供給で塩を減らすことにより食品標準局は集団の減塩ついて塩摂取量を設定した。政府の要請によって2001年と2011年の間で平均塩摂取量は9.1 g/dから7.9 g/dに低下させた結果、努力は大成功であった。しかし、イギリスの塩摂取量を調べた他の研究者達は塩摂取量の有意な変化に異論を唱えている。どちらにしても、明らかな成功は他の諸国に要請に従うように拍車をかけた。例えば、アメリカ合衆国では、食品医薬品局は食品製造者に同様の‘自発的’減塩計画を提案した。

 しかし、現在、それは止まっており、いくつかの批判的な疑問を尋ねている。第一に、勧められている限界値以下に集団の摂取量を持って行くことが可能であろうか?イギリス人は平均して食事から1.3 g/dの塩を減らしているかもしれないが、彼等はまだ十分に世界中で観察されている通常の塩摂取量範囲内で、勧められている限界値よりもまだずっと高い。第二に、もっと重要なことに、勧められている最高値以下の平均摂取量に我々が達すれば、集団の健康は本当に改善されるか?集団の減塩計画が心臓発作や脳卒中の危険率低下をもたらすと主張する研究は空想に基づいている。すなわち、ほとんどの人々にとって減塩が血圧に影響を及ぼさない、健康を改善しない、そして集団の大多数の健康を実際に害するかもしれないことを示す多くの研究があるにもかかわらず、空想に基づく研究は減塩が血圧を下げる、減塩が疾患危険率を下げるとの仮説に基づいている。保健機関は高血圧に対するもっと実行可能な解決策を見落としてきた。

 食事でカリウム摂取量を増加することは血圧を下げると証明されている。(カリウムの豊富な食品をいくつか挙げると、バナナ、アボガド、ポテトそしてほうれん草。) 減塩と違って、この効果はいずれの人種、性別、年齢でも、そして高血圧の重症度の人々でも観察されてきた。例えば、約1.7 g/dのカリウム増加 (調理したほうれん草2カップ半に相当) 4.3 g/dの減塩とほぼ同程度に血圧を下げることを2003年の研究は明らかにした。イギリス人の30%以上が勧められているカリウムの最低摂取量以下であることを考えると、カリウム摂取量増加は高血圧危険率低下の重要な観点であるように思われる。しかし、そのことはほとんど無視されてきた。

 カリウムに加えて、体重は血圧と決定的に関係してきた。事実、塩摂取量と体重の両方の効果を別々に調べた研究は、減量が減塩よりも血圧により大きな効果を持っていることを明らかにしている。両方を行えばさらに効果は大きくなった。最も効果的なアプローチは3点全て-カリウム摂取量増加、減塩、減量-を行うことである。その上、各アプローチを採用し組み合わせて生活様式に組み込むことは容易であるかもしれない。

 高血圧になったとき、効果が無いことが示されている単一成分によるアプローチではなく、我々は緊急に本当の解決策を必要とする。