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ガスを殺すフロー電池は、長期間のエネルギー貯蔵のために

食塩を導入する

Gas-Killing Flow Battery Deploys Table Salt for Long Duration Energy Storage

https://cleantechnica.com/    2023.11.

 

 2000年代初頭には、低コストの天然ガスがアメリカの発電事業から石炭を追い出し始めた。現在、新しいエネルギー貯蔵システムの支援を受けて、低コストの再生可能エネルギーがガス発電所を追い抜き始めている。これらの貯蔵コストを引き下げることは、エネルギーへの移行を本格化させるのに役立ち、オランダのフロー電池のスタートアップであるAquabatteryは、昔ながらの食卓塩がその役割を果たしてくれると期待している。

 

長期エネルギー貯蔵用の新しい塩のフロー電池

 新しいナトリウム・イオン電池技術が登場している徒考えているなら、それはかなり良い推測である。研究者達は電気自動車のリチウム・イオン電池のリチウムに代わるナトリウムに注目しているが、Aquabatteryが提供するエネルギー貯蔵システムはそのようなものではない。

 Aquabatteryは薄い膜によってのみ分離された2つの特殊な液体が一緒に働き始めるときに起こる化学反応を利用するフロー電池技術を専門としている。Clean Technicaのレーダーでは、フロー電池電気自動車の話題が時折登場するが、フロー電池の注目の主な焦点は、新しいガス「ピーカー」プラントを建設しない場合でも、その必要性を減らすことができる定置型の長期エネルギー貯蔵システムにある。それらは完全に排除する。

 フロー電池には定置型エネルギー貯蔵用として従来のリチウム・イオン電池アレイに比べていくつかの利点がある。まず、無毒で不燃性の地球に豊富に存在する材料を導入できるため、サプライチェーン側のコストが削減される。

 フロー電池は貯蔵タンクのサイズを戦略的に調整することにより、スタートアップまたはスケールダウンも比較的簡単である。Aquabatteryはその代表的な技術を「可逆的な水の解離に基づく酸塩基フロー電池」と説明している。

 「電池は化学エネルギーの形で電気を、酸、塩基、塩水の溶液に蓄え、これらは別々のタンクに保管される。」と同社は説明する。「ポンプは、膜で分離された電極を備えたパワー・スタックを通してこれらの流体を循環させる。膜は電解質間のイオン交換を可能にして発電する。」

 スケーラビリティに関しては、Aquabatteryがカバーしている: 

  「出力は電極の表面積に依存し、保存期間は電解液の量に依存する。これにより、

  フロー電池は簡単にカスタマイズでき、長期間の用途や実用規模の導入に適して

  いる。」

   

完璧なフロー電池の探求

 ノルウェーの大手エネルギー会社Statkraftは、ヨーロッパのエネルギー市場のニーズに合った長期エネルギー貯蔵解決策を模索してきた。一般的なリチウム・イオン・アレイは46時間持続する。フロー電池とその他の新しい長時間持続技術は数日から数週間続く場合も含め、8時間以上の持続時間を提供する。

 Statkraftはすでに、水力発電事業の保有を通じて、長くて深い長期間のエネルギー貯蔵を行っている。しかし、水力発電は地理と水の入手可能性によって制限される。フロー電池は新しい水力発電システムに必要な必然的なインフラストラクチャーや地球工学を回避することに加えて、Statkraftにははるかに幅広い貯蔵の機会を提供する。

 なぜもっと大きなリチウム・イオン電池のアレイを作らないのかと疑問を持っているなら、それは良い質問である。Statkraftは、リチウム・イオン技術が一部の状況ではあるが、他の状況では有用ではないと評価している。

 「リチウム・イオン電池は何よりも先ず、数秒から1時間までの短期の系統バランス調整に適した解決策である。」とStatkraftドイツ支店の商業資産管理責任者であるMatthias Holzenkampは説明する。

 「電池は短期間に大量の電力を供給できるため、電力供給の短期的な変動に対処するのに非常に効果的である。」と彼は付け加えた。「電池は1日のバランスを取るためにも重要であるが、他の安価な技術と競合することがよくある。」Holzenkampは風力や太陽エネルギーが安定して使用できる地域では、従来の電池が引き続き使用されると

見ている。しかし、気象パターンがより変わりやすいヨーロッパでは、長期エネルギー貯蔵の必要性が明らかである。

 「ヨーロッパ市場は主に数日、数週間にわたる長期的な柔軟性を必要としている。」と彼は強調する。「例えば、太陽が当たらない1週間を補うために電力を蓄える場合、巨大な電池は必要になるが、電池は滅多に使用されないため、利益が得られない。」と彼は言う。「電池は非常に高価ななおで、元を取るには長期間の稼働が必要である。」

 

StatkraftAquabatteryの出会い

 近年、1970年代にエクソン社が最初に研究した亜鉛臭素配合を含む多くの新しく異なるフロー電池が研究室から登場する。Statkraftは、Aquabatteryで探している物を見つけたようである。両社は先週、オランダのデルフト市でAquabatteryの卓上塩流電池のパイロット・テストを目的とした新たな提携を発表した。すべてが計画通りに進めば、エネルギー転換の見返りは大きくなるであろう。

 「長期エネルギー貯蔵は、エネルギーのピーク時から発電量の少ない時間帯にシフトし、高価な送電網インフラストラクチャーへの投資を延期するために使用できる。また、今日多くの国で問題となっており、風力発電所や太陽光発電所の送電網への接続を妨げている送電網の混雑も緩和される可能性がある。」とStatkraftは説明する。

 Statkraftは、Aquabatteryのフロー電池が最初は最低8時間、最長で「複数日または数週間」の長期間のエネルギー貯蔵を提供すると予想している。

 

アメリカがフロー電池は熱をキャッチ

 フロー電池はアメリカ市場にも適しており、アメリカ陸軍はすでにフロー電池への愛を共有する計画を立てている。今年初め、陸軍はコロラド州フォートカーソンでロッキード・マーチン社が開発したフロー電池の試験を開始した。彼等が気に入ったものであれば、ここアメリカだけでなく世界中の国防総省の施設にフロー電池が設置される可能性がある。

 アメリカエネルギー省もこの事件に取り組んでいる。例えば、同庁のアルゴンヌ国立研究所は、電気自動車充電ステーションの普及を目指して、マイクログリッドにおけるフロー電池の挙動を評価している。

 昨年7月、エネルギー省は新しいFindings from Storage 2023レポートの中でフロー電池技術を強く支持する声明を発表した。「より安価でより信頼性の高いエネルギー貯蔵を約束するフロー電池は、家庭や企業に電力を供給する方法を変革し、持続可能なエネルギーの新時代をもたらす準備が整っている。」と当局は熱意を示した。

 それはまだ分からない。しかし、エネルギー省はアメリカおよび他の地域でのいくつかの重要な新しい商用フロー電池導入もリストアップしており、業界がゴールデンタイムに向けて準備ができていることを示している。