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塩の神話を揺り動かす:減塩が正当化されるかもしれないとき

               Shaking up the Salt Myth: When Salt Restriction May Be Warranted              

By Chris Kresser

https://chriskresser.com/shaking-up-the-salt-myth-

when-salt-reduction-may-be-warranted/  on April 27, 2012より

 

 塩に関する私のシリーズでこれまで3件の論文で考察してきたように、一律の減塩についてのエビデンスは弱く、しばしば矛盾していた。異なった文化を横断して、塩摂取量は血圧または心血管危険率とせいぜい弱く相関しており、低い又は高い塩摂取量の両方とも極端な塩摂取量のいずれかで一層弱い健康結果と関係している。全員への勧告として、ほとんどの人々に対しての減塩は不必要で、長期間では有害となるかもしれないと思える。

 ほとんどの人々は様々な保健機関によって勧められている量まで減塩する理由はないが、臨床と人口データに基づくと、低塩摂取量が必要かもしれない健康状態が2,3ある。一般的に、これらの人々は重大な健康問題を持っている人々で、特に腎機能が最適でない場合で、これらの人々に減塩を支持するデータは幾分、矛盾している。

 

腎機能低下と塩摂取量

 高血圧者については、ある高血圧者は塩感受性を遺伝によって受け継いでいるエビデンスがあり、主に腎臓のナトリウム輸送の障害で引き起こされていると思われる。塩感受性機構の我々の理解はまだ不完全であるが、ある人々は塩摂取量の変動に対してはるかに感受性であることを我々は知っている。この特性を持っているこれらの人々は高塩摂取量に対して大きな血圧応答を示し、減塩で利益を得やすい。しかし、カリウム摂取量はこれらの効果に大きく影響を与え、塩感受性現象を取り除くことさえあるかもしれないと思われている。事実、カリウム摂取量が通常の摂取範囲内で増加した時、塩感受性は投与量依存的に抑制される。したがって、これらの人々は塩を制限するよりもリンゴのカリウムを含めてもっと利益を得るかもしれない。

 エビデンスは混在しているが、慢性腎臓疾患の患者は塩摂取量を減らすことにより良い結果を得るかもしれない。損傷した腎機能の人々は典型的に腎糸球体のろ過速度を低下させており、高濃度のナトリウムを排泄させることは難しいかもしれない。ナトリウムのろ過が損傷している時、塩摂取量の増加は腎臓に有害である可能性があり、危険濃度のタンパク尿になるかもしれない。これらの患者は食事中の塩の量について注意する必要があるが、これは非常に個人的な状況であり、大抵は腎臓疾患の種類や重症度に依存している。

 

高塩摂取量は過剰なカルシウム排泄量の原因となるかもしれない

 その上、腎臓結石になり易い人々は塩摂取量を減らす必要があるかもしれない。高いナトリウム排泄量は尿中のカルシウム排泄量を高くするからである。再び、この話題に関するエビデンスは混在しているが、過剰な塩摂取量は尿中ナトリウムとカルシウムの排泄量増加と関係していることが示され、最高の塩摂取量の被験者は最大の尿中カルシウム排泄量である傾向であった。特に水分摂取量が不十分なとき、高いカルシウム排泄量は腎臓結石になるかもしれない。

 高い塩摂取量でカルシウム排泄量が増加するため、骨粗鬆症の人々も同様に減塩で利益を得られるかもしれない。尿中カルシウム損失の増加は、特にカルシウム摂取量が低い場合には、骨密度の低い危険性のある人々では問題である。しかし、高塩摂取量は骨粗鬆症を引き起こすとは信じられていないし、高塩摂取量の潜在的な骨粗鬆症効果はカルシウムとカリウムの十分な摂取量によって相殺される。

 もちろん、これらの研究の大多数は標準のアメリカ人食を食べている被験者で行われたことを忘れないことが重要である。その食事は穀物に重点を置き、多くの重要なビタミンが欠乏している塩を含んだ加工食品で、我々が知っているミネラルは高血圧、心血管疾患、腎臓の健康で重要な役割を演じている。これらのナトリウム研究が栄養価の高い旧石器時代の食事を食べている集団で行われれば、高塩摂取量と関係したネガティブな効果を無視できるかもしれない。これまで見てきたように、高濃度の塩を食べる文化の多くはアメリカ人よりも心血管疾患、腎臓疾患、骨粗鬆症の発症率が低い。他のミネラルを十分に摂取することは血圧制御と健康結果に関係したことでずっと重要であるかもしれないエビデンスがある。

 

血圧制御に重要な他のミネラル

 血圧に役割を果たすかもしれない他のミネラルに多くの研究が注がれてきた。いくつかのミネラル、特にサプリメント・ミネラルが血圧、または心血管疾患の危険率を下げるかどうかに関してエビデンスは混在してきた。しかし、疫学データと人類学的データは、カリウム、マグネシウム、カルシウムのようないくつかのミネラルの高い食事は血圧を下げるのに有益であるかもしれないことを示唆している。

 カリウムは高血圧、腎臓結石、骨粗鬆症の危険率を減らすと同時に血圧の管理で塩摂取量よりもはるかに重要であるようだ。人類の生物的機械はナトリウム量の数倍も多いカリウム摂取量で進化して来たと信じられている。現在のアメリカ人の摂取量である2,500 mg/dと比較して、旧石器時代の人類は推定10,500 mg/dのカリウムを摂取していたからである。したがって、近代の食事のNa/K比は我々の遺伝的に決定された腎臓の処理法と非常に不適当に組み合わされている。さらに、比較的高いカリウム摂取量の心臓保護効果は原始的な食事を食べている集団の低い心血管疾患発症率を根拠として仮定されてきた。その集団では、高血圧は集団のわずか1%にしか影響を及ぼさないことを示してきた。

 果物や野菜に多くあるカリウムの摂取量増加は、カルシウムの腎臓排泄だけでなく血圧値、高血圧の発症、骨粗鬆症や腎臓結石の発症を下げることに中程度の減塩よりもずっと有効であるかもしれないことを研究は示唆している。したがって、カリウム含有量の多い植物性食は高塩摂取量に関連した典型的なネガティブ結果を予防するのに重要である。

マグネシウムも血圧に及ぼす潜在的な効果について研究されてきたが、あまり良く理解されていない。疫学研究はマグネシウム摂取量と血圧との間に典型的に逆相関を示してきたが、しかし、臨床研究からのデータは高血圧治療でマグネシウムの役割に説得性をもたらさなかった。この矛盾したエビデンスにもかかわらず、いくつかの研究は、細胞内マグネシウム欠乏はインシュリン抵抗に影響を及ぼし、高血圧に導く血管の柔軟性を変え、前炎症性の変化と内皮機能不全を誘引し、最終的に心血管疾患の危険率を増加させることを示してきた。したがって、高マグネシウム食は高血圧または心疾患の危険性がある人には有益であるようだ。

カルシウムは血圧管理に役割を演ずると考えられている別の主要なミネラルである。カルシウム・サプリメントではなく高カルシウム摂取量は血圧低下と高血圧発症危険性の両方に関係してきた。事実、カルシウム・サプリメントは心臓発作の30%危険率増加と関係しており、心疾患の危険性がある人々はについては潜在的に危険である。高血圧やその後の心血管疾患に対して自分を守ろうとしている人々については、サプリメントを勧めるのではなく、カルシウムの豊富な食事で十分である。(そしてもちろん、ビタミンK2も同様に十分に摂取することを忘れないように!)

 

メッセージを家に持ち帰りますか?自分で判断するために使って!

 結局、良い健康に必要な塩の量は各人の必要量、健康状態、塩感受性に対する遺伝的な素因に基づく。心血管疾患や腎臓疾患の人々についてさえも、減塩についてのエビデンスは混在しており、多くの場合、決定的ではない。塩摂取量に関するデータは概して標準的なアメリカ食を食べている集団からの物であることを忘れないことは重要で、カリウム、マグネシウム、カルシウムの豊富な自然食品である旧石器時代の食事を食べている集団で、塩摂取量が何か悪い効果を示すかどうかは分かっていない。これらのことは、食事の中にどれくらい多くの塩が含まれているかを決める時に考察すべき重要な点である。

 

塩の関する私の最後の論文について、私は勧める塩の種類と、ほとんどの人々についてはどれくらい多くの塩が理想的であるかについて考察する。