呼吸器疾患と乾癬に有効な塩治療法
Salt Therapy Beneficial for Respiratory Conditions, Psoriasis
Clinical Advisor 2013.06.03
塩として一般的によく知られている塩化ナトリウム(NaCl)は自然界に多くあり、疑いもなく世界中で最も頻繁に使われている香辛料である。調味料、保存剤として、そして治療目的で塩の使用はほとんどあらゆる文明で記録されてきた。
塩は日常生活で必須の物であり、いくつかの言語に派生で反映されている。事実、ラテン語の“サラリウム”から来た“サラリー”と言う言葉はローマの兵士に支払われるお金を意味しており、彼らは塩で食料を買った。同様に、オーストリアの都市ザルツブルグは文字通り“塩の要塞”として翻訳され、その名前はザルザッハ川で塩を運ぶ船に由来している。
背景
通常の塩摂取量は細胞の水バランスの制御と同様に神経系を適正に機能させるために必要である。
塩はいろいろな形で見つかっている。海塩は非常に多くあるので、保存についての科学的考察はされて来なかった。他の塩鉱床は世界中でかつて古代の海洋が蒸発して大量の塩鉱床を残したと考えられる地域に分散している。全世界の塩生産量は2.9億トンと推定されており、アメリカ合衆国が4.4千万トン以上で最大の塩生産国である。民間療法で、ヒリヒリする喉を温かい塩水でうがいすることや柔らかい組織の感染に塩湿布をすることは多くの一般的に使われている塩療法の二つである。
科学
塩治療法の有効性を研究する大多数の臨床試験は呼吸器疾患を目標にしている。治療法は自然の塩洞窟で時間を過ごすことからエアロゾル化された高張塩水を吸い込むまでの範囲に及んでいる。呼吸管で塩の作用機構には多くの側面がある。塩粒子は空気中のほとんどの粒状物質よりも小さいので、気道の奥深くまで吸い込まれる。一度呼吸管に入ると、塩は治療作用カスケードの引き金を引く。
塩はムコ多糖類を加水分解する酵素として作用し、自然の絨毛作用を改善する。それで気管支浮腫は和らぐ。塩は抗菌性である。坑炎症作用と共にこれらの性質のため、塩は気管支の過剰反応性を抑える。
エアロゾル化された高張塩水は嚢胞性繊維症治療として研究されてきた。研究者達は24人の嚢胞性繊維症患者をランダム化して一日に4回霧状にした高張塩水(7％NaClを5 ml)を軽い利尿剤のアミロイドで前処理し、またはしないのいずれかに投与した。治療は最初と治療中定期的に肺機能と粘液浄化値を測定しながら2週間続けられた。
試験の最後に、霧状にされた塩水だけを使った研究グループは即時と継続の粘液浄化値の両方で2倍の改善を示し、肺機能(1秒間の強制排気量で測定)に7％近い改善を示した。二つのグループの劇的な差についての仮説は、利尿剤によって阻止されなくなった機能に対して塩の自然な水保持作用に任せることによって、ムコ多糖類を加水分解する酵素作用がより効果的になったことであった。
肺機能に及ぼす乾燥塩エアロゾルの効果についての研究は重症の閉塞性肺疾患患者393人に焦点を置いた。参加者は伝統的な治療(気管支拡張を目的とした)だけ、またはエアロゾル塩治療と併せた伝統的な治療に割り当てられた。1時間後、二重の治療を受けた患者は酸素飽和濃度に6.5％の増加を、呼吸数に26％の低下を示した。それと比較して標準治療グループではそれぞれわずかに3％と19％であった。
皮膚科学は塩治療については別の新たな分野である。世界の人口の約2％から3％は乾癬で悩んでいる。フェーズ３試験で、研究者達は367人の乾癬患者をランダムに伝統的な紫外線治療だけ、または紫外線治療と死海の高張塩水に浸すことのいずれかに分けた。35回の治療後、組合せグループは紫外線治療だけのグループよりも46％大きい症状改善を示した。
塩はまた重症の疾患を持つ子供達でアトピー性皮膚炎を軽減する。研究者達は死海の塩を加えたクリームを利用する治療と伝統的な皮膚軟化クリームによる局所治療を比較した。86人の子供達がランダム化され、12週間後に死海の塩を加えたクリームを利用した参加者は全ての症状領域で大きな改善を示した。
安全性
過剰な塩摂取量は、特に心臓血管疾患、腎臓、ホルモン状態に潜在的に危険であると思われてきたが、局所の適用については警告すべきことはなかった。
コスト、投与の仕方
吸入治療で使われるイオン化塩発生装置は大体50ドルから数百ドルかかる。局所に使う塩製品は幅広くどこでも入手でき、濃度や純度によって1ヵ月の使用で30ドルから100ドルかかる。
要約
色々な形態の塩治療法は安全で効果的であることをデータは示している。しかし、多くの状態は1種類以上の治療法や投薬を必要とする。この治療法は症状の障害軽減に大きな効果を示しているので、特に乾癬患者で塩治療法を考える。