ナトリウムおよびカリウム電池用の氷構造陰極はできるか?
Can Ice Structure Anodes for Sodium and Potassium Batteries?
By Kevin Clemens
Batterytechnoline.com/ 2022.01.14
リチウム・イオン電池は電気自動車および携帯電子器機の電気エネルギー貯蔵の主要な設計になっている。これはより多くの地球に豊富な材料を使用する、より安価で環境に優しい電池構成の探求を止めなかった。ブリストル大学の研究者達は成長して昇華する氷の結晶を使用して多孔質構造に形成されるセルロース・ナノ結晶(セルロースのナノサイズの形態)を使用して、高性能のナトリウムおよびカリウム・イオン電池を開発した。このプロセスは氷テンプレートと呼ばれ、大きなナトリウム・イオンとカリウム・イオンを運べる大きなチャネルを構造内に残す。
ナトリウム・イオン電池やカリウム・イオン電池などのリチウム・イオン電池の代替品は、地球の地殻内のナトリウムとカリウムの両方が豊富にあり、同様の電気化学物質であるため、魅力的である。しかし、Li+(0.76Å)と比較してK+(1.38Å)のイオン半径が大きいため、3.35Åのグラファイト層間間隔を持つ通常の陰極のグラファイト層へのK+イオンの挿入(インターカレーションと呼ばれる)は実質的な体積変化をもたらし、陰極材料に出入りするイオンの動きを比較的遅くする。これにより、数少ない充放電サイクルで構造が劣化し、容量が低下する。ナトリウム・イオン電池/カリウム・イオン電池の開発における課題は、電池性能を低下させることなく数多くのサイクルを達成するのに十分な安定性を維持しながら、充放電工程中にNa+/K+に迅速に対応できる適切な陰極材料を見つけることであった。
氷からのパターン
氷テンプレートを使用して陰極内でK+およびNa+イオンを簡単に動かすことができるように、十分に大きなチャネルを備えた炭素ベースの陰極構造を作成できる。この技術は氷の結晶を所望のパターンで形成させる温度勾配にさらされる溶媒(通常は水)中で懸濁液またはスラリーの凍結を含む。次に氷は加熱され、氷の結晶が昇華し、氷によって形成された構造パターンの固体粒子が残る。スラリーを焼結して硬い固体を形成できる。
これらの新しいナトリウムおよびカリウム・イオン電池の性能は、他の多くの同等のシステムよりも優れていることが示され、スラリーに持続可能な原料であるセルロースを使用している。
「これらの新しい電池性能には驚かされた。これらをさらに発展させ、この技術でより大規模な装置を製造できる大きな可能性がある。」とブリストル大学の材料科学工学教授であるスティーブ・アイヒホルンはニュース・レリースで述べている。
「我々は電極材料として階層的に調整され、垂直に整列されたチャネルを備えた低コストのセルロース・ナノ結晶/ポリエチレン・オキシド由来のカーボン・エアロゲルを製造するための新しい制御可能な氷テンプレート戦略を提案した。これはナトリウムおよびカリウム・イオン電池の貯蔵能力とサイクル安定性を適切に調整するために利用できる。」とブリストル複合材料研究所の博士号を取得したJing Wangは述べている。「環境に優しい合成プロセスにおける前駆体の再生可能性と比較的低コストでの拡張性の恩恵を受けて、この作業は近い将来、持続可能な電気自動車と大規模なエネルギー貯蔵配電網の大規模な用途を促進するための魅力的なルートを提供する可能性がある。
アイヒホルン教授は次のように述べている。「これらの調査結果に照らして、我々は今、業界と協力して古代の戦略を産業規模で開発し、この独自の技術を亜鉛、カルシウム、アルミニウムおよびマグネシウム・イオン電池などの他の様々なエネルギー貯蔵システムに簡単に拡張できるかどうかを調査したいと考えている。したがって、次世代のエネルギー貯蔵システムにおけるその普遍的な可能性を示している。」