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ナトリウム・イオン電池代替品

The Sodium-Ion Battery Alternative

By Kevin Clemens

Batterytechnoline.com/         2021.03.04

 

リチウム・イオン電池に対する安価な代替品としてナトリウム・イオン電池技術が間近に現われている。

 

 リチウムは地球上で34番目に多い元素で、kg当たり43.40 – 45.70米ドルの価格である。ナトリウムは6番目に多い元素で、kg当たり2.57 – 3.43米ドルである。リチウムをナトリウムと置き換える市販電池を開発するために電池研究者達や投資家達の間で強い関心がある理由が分りますか?

 もちろん、それは簡単ではない。リチウムとナトリウムは両方とも自然には純粋な形で存在しない非常に反応性の高い金属である。リチウムはまたは水酸化リチウム化合物として主に市販されており、それらのいずれも電池生産用の出発物質として使われる。ナトリウムの最も一般的な形態は塩化ナトリウム(食卓塩)で、それは様々な商用利用される炭酸ナトリウムに工業的に変えられる。

 

リチウムはコストをかけて勝者である

 リチウム・イオン電池もナトリウム・イオン電池も両方とも1970年代と1980年代に研究されたが、1990年代までにリチウム・イオン電池の優れたエネルギーと電力容量で主役となり、携帯用電子器機、電気自動車、および蓄電機器を支配してきた。初期の頃に電気自動車はニッチ市場で、蓄電機器は普及しなかったので、リチウム化学の高コストは大きな関心を持たれなかった。しかし、今ではガソリン自動車の内燃期間と同等の価格となった電気自動車を目標として、電池のキロワット当たりのコストが重要となってきた。

 リチウムに関連した費用に加えて、他の原料費はリチウム・イオン電池に影響を与える。最高のエネルギーと電力バージョンはニッケルをベースにした陽極電極を使う。ニッケルは高価で、ニッケルの陽極構造を安定させるために使用されるコバルトも同様である。そのコストに加えて、コバルトは非常に政情不安定な世界の地域のコンゴ民主共和国に最も多くある。

 

ナトリウム復活

 これによりナトリウム・イオン電池への関心が新たに高まっている。20203月に、効率的なナトリウム・イオン電池の設計を作成に役立てるために、鉄、マンガン、およびリンに基づく電極を使う南デンマーク大学の研究を我々は報告した。彼等の研究で、特にマンガンは電池の電圧と容量を改善する裏付けを示した、と研究者達は言った。

 20206月に、ワシントン州立大学とパシフィックノースウエスト国立研究所の研究者達は、「…豊富で安価な材料から潜在的に実行可能な電池技術を生み出し、幾つかの市販リチウム・イオン電池化学と同様に多くのエネルギーを保持し作動するナトリウム・イオン電池を」彼等は作り出したことを発表した。

 ワシントン州立大学チームは層状金属酸化物陽極と特別なナトリウム・イオンを含む液体電解質を作り出し、陽極とのより良異相互作用をもたらす「より塩辛い溶液を作り、ナトリウム・イオンを連続的に移動させるようにした。このことは前のナトリウム・イオン電池研究で問題として観察された不活性な表面結晶成長を予防し、妨げられない発電を可能にした。

 「我々の研究は陽極構造進化と電解質との表面相互作用との間の基本的な相互関係を明らかにした。これらは層状陽極のナトリウム・イオン電池のためにこれまで報告された最高の結果であり、これがリチウム・イオン電池と比較できる実行可能な技術であることを示している。」とワシントン州立大学機械材料工学部の教授であるYuehe Linは言った。

 

/Brighi

    この三次元固体電極はホウ酸塩結晶内でナトリウム・イオンを拡散させる。この新しい材料は無秩序でありながら

    高度に対称的な構造を形成し、市販電池のリチウム移動に匹敵するナトリウム移動を可能にする。

 

組立障害

 ナトリウム・イオン電池用の固体電極の考えも精査されている。ジュネーブ大学の研究は、ナトリウムを移動させるために室温で作動できる不燃性の固体電極をもたらした。前に、日本とアメリカの研究グループは120℃以上で良いナトリウム導体としてヒドロホウ酸塩を明らかにした。ジュネーブ大学研究者達は伝導温度を下げる研究に取り組み始めた。「我々は互換性のある優れた特性で非常に良い結果を得た。我々は安定性の問題なく室温から250℃までの電解質としてヒドロホウ酸塩を使うことに成功した。その上、それらはより高い電位差に抵抗する。つまり、電池はより多くのエネルギーを蓄積できる。」とジュネーブ大学の結晶学実験室の教授でジュネーブ大学報告書のプロジェクト・リーダーのRadovan Cernyは言った。ホウ素と負に帯電した水素の球体を出現させるのはジュネーブ大学によって開発されたヒドロホウ酸塩の構造である。これらの球体の空間は、正に帯電したナトリウム・イオンが通過するのに十分な空間を残している。「それにもかかわらず、負電荷と正電荷が相互に引き合うので、我々はヒドロホウ酸塩を破壊するために構造で無秩序を作り出し、ナトリウム・イオンを動かせるようにする必要があった。」とジュネーブ大学の博士研究員であるMatteo Brighiは言った。

 

地平線に

 リチウム・イオン電池は直ぐにナトリウム・イオン電池に置き換えられる予定はない-リチウム化学の固執とコバルトをほとんどまたは全く含まないリチウムリン酸鉄陽極そして/または新しいニッケルをベースにした陽極はリチウム・イオン電池の価格低下を押し下げ続ける。

 工業電池分野で本当の革新はベンチから市販まで10 – 15年かかると言われている。つまり、広く使用されるナトリウム・イオン電池の可能性はまだ遠いことを意味するが、豊富で安価な材料の使用が間近に迫っているので、リチウム・イオン電池の低コストの代替品であることを知っておくことは良いことである。