戻る

塩は悪いか悪くないか?古い論争の真相を究める

Is Salt Bad for You or Not? Getting to the Bottom of an Ancient Controversy

By Hrefna Palsdottir

AlterNet 2015.12.21

 

保健機関は長い間塩の危険性について我々に警告をし続けてきた。高塩摂取量は高血圧や心疾患を含め多くの健康問題を引き起こすと主張されてきたからである。しかし、数十年間の研究はこのことを支持する説得力のあるエビデンスを提供することに失敗してきた。その上、多くの研究は、少なすぎる塩摂取量は有害である可能性があることを実際に示している。本論文は塩とその健康効果を詳細に論説する。

 

何が塩か?

 塩は塩化ナトリウム(NaCl)も呼ばれる。それは重量で40%のナトリウムと60%の塩化物からなる。塩ははるかにナトリウムの最大摂取源であり、“塩”と“ナトリウム”と言う言葉はしばしば相互交換的に使われる。様々な塩にはカルシウム、カリウム、鉄そして亜鉛などの痕跡量を含んでいる。ヨードはしばしば食卓塩に加えられる。塩の基本的なミネラルは体内で重要な電解質として作用する。それらは体液バランス、神経伝達、筋肉機能に役立つ。いくらかの塩の量はほとんどの食品の中に自然に見つかる。塩は風味改善のためにも食品にしばしば加えられる。歴史的に塩は食品保存に使われた。高濃度の塩は食品を悪くする原因となるバクテリアの成長を阻止できる。塩は2つの方法で収穫される:岩塩鉱からと海水または多のミネラルの豊富な水を蒸発させることによってである。実際に多くの種類の塩が入手できる。普通の種類には食卓塩、ヒマラヤのピンクソルト、海塩がある。様々な種類の塩は味、テクスチャー、色が変わる。どの種類の塩が一番健康に良いかと思う場合、本当はどれでも全く同じである。

 

塩は心臓の健康にどのように影響を及ぼすか?

 保健当局は何十年間も我々に減塩するように言ってきた。5.8 g/d以下の摂取量にすべきであると言っている。しかし、アメリカ成人の約90%はこれ以上ずっと多くを摂取している。塩を多く摂取することは血圧を上げ、それによって心疾患や脳卒中の危険率が上昇すると言われている。しかし、減塩の本当の利益について幾つかの重大な疑いがある。減塩は特に塩感受性高血圧と呼ばれる医学状態の人々で血圧を下げることは真実である。しかし、健常な人々では平均的な低下は非常にわずかである。正常血圧者では、減塩は収縮期血圧でわずかに2.42 mmHg、拡張期血圧でわずかに1.00 mmHgしか低下しないことを2013年からの1研究は明らかにした。これは130/75 mmHgから128/74 mmHgに下がることである。これらは味のない食事に耐えることから受けようと望んでいる正に感動的な結果ではない。その上、減塩は心臓発作、脳卒中または死亡の危険率を減らすエビデンスを幾つかのレビュー調査は見つけられなかった。

 低塩食は全く有害であることを示唆するエビデンスがある。

ネガティブな健康効果には次のことがある:

  上昇したLDLコレステロールとトリグリセライド:減塩は上昇したLDLコレステロール(“悪い”)とトリグリセライドと関係してきた。

  心疾患:7.6 g/d以下の塩摂取量は心疾患による死亡危険率上昇と関係していることを幾つかの研究は報告している。

  心不全:減塩は心不全患者について死亡危険率を増加させること1つの解析は明らかにした。その効果はふらついており、塩摂取量を減らした人々の死亡危険率は160%であった。

  インスリン抵抗性:低塩食はインスリン抵抗性を増加させるかもしれないことを幾つかの研究は報告してきた。

  2型糖尿病患:2型糖尿病患者で減塩は死亡危険率の増加と関係していることを1つの研究は明らかにした。

胃ガンは最も一般的なガンの5番目である。それは世界中のガン死亡の3番目の主要原因であり、毎年700,000人以上の死亡原因である。幾つかの観察研究は高塩食と胃ガンの危険率増加と関係付けている。2012年からの数多くのレビュー論文は全部で268,718人の参加者を含む7研究の前向き研究からのデータを調べた。それは低塩摂取量の人々と比較して高塩摂取量の人々は68%も高い胃ガン危険率であることを明らかにした。

どうして、何故コレステロールが起こるかはじ十分正確には理解されていないが、幾つかの理論がある。

   細菌の増殖:高塩摂取量は、炎症や胃潰瘍を引き起こす細菌ヘリコバクター・ピロリの増殖を増加させる。これは胃ガンの危険率を増加させる。

   胃粘膜の損傷:塩含有量の高い食事は胃粘膜を損傷し炎症を起こし、それにより発癌性物質に曝される。

しかし、これらは観察研究であることを覚えておく。高塩摂取量は胃ガンを引き起こすことは証明されておらず、2つが強く関係しているときだけである。近代的な食事中の塩のほとんどはレストランの食事または包装、加工食品から来ている。事実、アメリカ人の食事中の塩の75%は加工食品から来ていると推定される。摂取量の25%だけが食品中に自然にあり、あるいは調理中や食卓で加えられる。塩辛いスナック・フード、缶詰やインスタント・スープ、加工肉、漬物、醤油は高塩含有量食品の事例である。パン、カテッジ・チーズ、朝食のセリアルを含めて、実際に驚くほど高い塩含有量の見た目には塩気のない食品もある。減塩しようと思えば、食品表示はほとんど常に塩(ナトリウム)含有量を記載している。

いくつかの健康状態は塩を減らす必要がある。医者が減塩するように望んだときには、明確に減塩を続ける。しかし、健康で主に全体の単一成分の食品を食べられれば、塩摂取量を心配する必要は多分ない。この場合、味を良くするために調理中または食卓で塩を自由に加えられる。極端に多くの塩を食べることは有害であるが、少なすぎる摂取量も健康に悪い。しばしば栄養の場合のように、最適摂取量2つの極端な値の間の何処かにある。